国内初の沖合における洋上風力発電の挑戦―プロジェクト現場レポート―

本ページでは、千葉県銚子沖および福岡県北九州市沖における洋上風況観測タワーと洋上風車の作業工程を解説していきます。

洋上作業工程

各工程の説明と現場状況の写真などを掲載していきます。

1.環境影響評価
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生物や景観などに係る事前調査を行い、洋上風況観測タワーと洋上風車の設置に伴う環境への影響を予測・評価します。

そして、洋上風況観測タワー及び洋上風車の設置前後や洋上風車の稼働時における実態調査を行って、 環境影響評価を検証します。

2.基礎構造物の設置
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基礎構造物は洋上風況観測タワーと洋上風車の土台部分で重力式及びハイブリッド重力式を採用しています。 最初に基礎採石を敷き詰め、水中ブルドーザーなどで整形した後に、起重機船で水中に降ろします。

海中に設置されているため、肉眼では見る事はできませんが、海底から海面まで十数メートルの 高さの構造物で重量は数千トンです。台風や地震などの厳しい自然環境下においても 洋上風況観測タワーと洋上風車を支えられるように設計・製作されたものです。

3.洋上風況観測タワーの設置
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洋上風況観測タワーは、洋上約100メートルの鉄塔です。 10メートル間隔の高さに風向計と風速計などの計測装置を搭載しており、 更に最大200メートルまでの上空の風況をリモートセンシング技術で観測することが可能な国内初の観測用のタワーです。

4.海底ケーブルの敷設
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海底ケーブルは電気ケーブルと通信ケーブルから構成されます。 電気ケーブルは洋上風車で発電した電力を陸上に送電すると共に、洋上風況観測タワーの計器類の電源などとして利用します。

また通信ケーブルは洋上風況観測タワーで取得した風向や風速などのデータを陸上に伝送すると共に、 洋上風車との情報通信により状態監視や遠隔操作などを行います。

5.洋上風車の設置
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洋上風車は2,000kW級の発電容量でブレードの中心は海面高さ約80m、ブレードの直径が約80mの 三菱重工製、日本製鋼所製の風車を設置します。

発電機や変圧器などが搭載されているナセルと言われる格納施設は、 塩害対策とし密閉性を向上させ、除塩フィルターによりナセル内への塩分の流入を制限しています。 また、ヒーターによる結露・腐食防止など様々な工夫がされています。

6.送変電設備の設置
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送変電施設は、洋上風車で発電した電力の変圧や開閉を行い、陸上の系統に接続するための設備で陸上に設置します。

7.試運転
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洋上風況観測タワーと洋上風車、海底ケーブルや送変電設備などの設置終了後、 各設備の試運転を行い、発電設備、観測設備、通信設備などの点検を行います。

特に風車の試運転では、電気系統、安全装置、ブレーキ、ピッチ制御などの動作確認を行います。

8.運転開始
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NEDOでは平成26年度まで約2年間、洋上風況観測タワーによる風況データの取得および 洋上風車における発電性能の検証や運転・保守に係わる技術の検討などを行います。

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