エネルギー問題解決に挑む 新エネルギーベンチャー技術革新事業、国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業

業界初! 太陽光パネルの障害を素早く発見し
場所を推定する「SOKODES(ソコデス)」を開発

株式会社システム・ジェイディー

取材:January 2016

開発のいま、そして未来

ユーザーに保守の必要性を周知
保守の意識が高まるとともに売上は順調

 2012年の春、携帯型SOKODES(ソコデス)が、翌年には組込型SOKODES(ソコデス)が発売されました。これまで容易には見つけることのできなかった太陽光パネルの内部断線などの故障を、屋根に上る必要もなく、わずか数秒で検出できるという画期的な製品です。

 商品名の「SOKODES(ソコデス)」は、「ソーラー」「故障」「ディテクティング」「システム」からとったものです。「『故障』だけ日本語にしたのは、日本の製品ということをアピールしたかったからです。商品へのこだわりです」と伊達さんは語ります。

 一方で、太陽光パネルは実際に故障することがあり、場合により故障が火災につながる可能性もあることが、充分に広く知られているとはいえません。SOKODES(ソコデス)を販売するためには、まずユーザーに向けて、太陽光パネルの保守の必要性があることを知ってもらわなければなりません。そこで、展示会やセミナーで、このような状況を紹介しました。

 「メンテナンスフリーといわれた太陽光パネルに故障があることが明らかになったのも、SOKODES(ソコデス)開発の成果だと思います。私たちの話を聞いて、多くの人が太陽光パネルの保守や管理の重要さに気づいてくれました」と松尾さん。

 発売当初はメガソーラーの建設ラッシュでしたが、多くの事業主はまだ太陽光パネルの保守に関心がありませんでした。しかし、時を経て保守の意識が高まるとともに、SOKODES(ソコデス)は注目され、売上が伸びていきました。

図7 メガソーラーで導入されているSOKODES(ソコデス)のしくみについて説明する松尾さん

 まず携帯型SOKODES(ソコデス)は、全国の電力グループ会社や保安協会、施工・メンテナンス会社、発電事業者へ350台を販売しました。組込型SOKODES(ソコデス)は、メガソーラー8カ所に導入されています。例えば、2015年に稼働を始めた九州にあるメガソーラー施設では、8000枚以上もの太陽光パネルの監視がSOKODES(ソコデス)を使って行われています。 SOKODES(ソコデス)は平成25年度「新エネ大賞資源エネルギー庁長官賞」など数々の賞も受賞しました。

NEDOプロジェクトでの審査が
製品のブラッシュアップにつながる

 SOKODES(ソコデス)は、NEDOの「新エネルギーベンチャー技術革新事業」とともに開発が進み、販売にこぎつけることができた製品です。開発に携わった3人に、NEDOプロジェクトについて聞いてみました。

 「このプロジェクトには基盤研究、実用化研究などのフェーズがあり、フェーズごとの審査で実現性が高いと認められなければ次に進めません。審査のたびに開発の成果を確認することができましたし、意見ももらえました。その意見をフィードバックして製品をブラッシュアップしました。私たちの技術が特許をとることができたのも、NEDOのアドバイスがあったからこそです。NEDOプロジェクトでは、マーケットを考慮した知財戦略も支援されました」と伊達さんは語ります。

 また、松尾さんは、「ベンチャー企業の製品でもユーザーに信用して手に取ってもらえたのは、NEDOプロジェクトで開発できたからこそだと思います。この事業ではフィージビリティスタディー(実現可能かどうかの調査)の段階から助成していただけたのも、大変助かった点です。調査や試作をじっくりできたのが、良い製品を産み出すことにつながったのではないでしょうか」と続けます。

 重村さんもこう加えます。「産学連携で開発を進めることができました。実証試験もどこでやったらいいか迷いましたが、NEDOに発電施設を紹介してもらうことができました」

 NEDOプロジェクトでは、基礎調査から実証試験まであらゆるサポートをしてもらえたので、事業化を加速することができたと3人とも口をそろえて語ります。

海外展開を目指し
まずはタイで実証試験、販売へ

 2015年2月からは、NEDO「太陽光発電システム遠隔保守実証事業」の委託を受け、NECネッツエスアイ株式会社とともに、タイでSOKODES(ソコデス)の実証にかかわる基礎調査を行いました。2016年上半期にはタイでの販売を予定しています。

 「タイの太陽光発電の導入増は、アジア新興国・地域のうちでも突出しています。メガソーラーの建設も決まり、SOKODES(ソコデス)の需要は伸びていくと考えています」と松尾さん。事実、タイ政府は太陽光発電量について2012年実績が377メガワット(MW)であるのに対し、3000MWを2021年に向けた目標値としています。まずタイを足がかりとして、SOKODES(ソコデス)の販路を海外へ伸ばしていこうと考えています。

図8 漏電の一種、地絡を検出する装置「地絡検出器20G」

図9 断線と地絡とを1台で推定できる新製品「SOKODES GF(ソコデスGF)」

 「海外へ販売するためには、装置を現地の規格に合わせなければなりません。まずはデザイン。例えばタイで発売するものはオレンジ色にして目立つようにしています。また、海外では国ごとにそれぞれ安全基準がありますから、安全面でも適したアプローチ方法を検討する必要があります。現在はオーストラリア、EU各国への販売に向けてEU加盟国の基準であるCE規格を取得する予定です」と重村さんも海外向けの装置の開発に余念がありません。
(2016年1月21日にはCE規格(安全規格IEC61010-1)の適合宣言を行いました)

 製品開発では、2016年にはユーザーからの要望により、国内向けで漏電の一種である地絡を検出する装置を新たに発売。本機能は、2016年春より販売を開始する新型の「SOKODES GF(ソコデスGF)」にも実装され、1台で2つの機能を搭載しています。これを踏まえ、海外向け製品でも、故障だけでなく漏電も検出できるようにしました。

 伊達さんはSOKODES(ソコデス)の今後の展開について、決意を新たにこう語ります。

 「製品としては、現在のSOKODES(ソコデス)が検査の対象としているのは、もっとも数多く使用されているシリコン結晶系の太陽光パネルですが、今後は、それ以外の太陽光パネルの故障検出もできるよう、バラエティーに富んだものにしようと思います。
 また、ビジネスとしては、製品を売るだけでなく検査サービスも展開して、ビジネスの幅も広げていきたいと考えています」

開発者の横顔

半導体検査の経験

株式会社システム・ジェイディー
取締役会長
伊達博さん

 SOKODES(ソコデス)開発のリーダーを務めた会長の伊達さん。企業や大学でずっと半導体の検査技術に携わっていました。ある研究センターで研究をしていたときに、これまでのノウハウをもとに起業しようと同僚に声をかけたのがシステム・ジェイディーの立ち上げのきっかけです。伊達さんの出身地である福岡県に戻ってきて、会社をつくりました。
 「いろんなご縁があってここまでやってくることができました。いままで培った技術を駆使してさらに良い製品を開発していきたいです」

製品とユーザーを橋渡し

株式会社システム・ジェイディー
取締役社長
松尾茂則さん

 システム・ジェイディー設立時のメンバーの一人である、社長の松尾さん。開発開始当初から全国各地での太陽光パネル調査に奔走しました。SOKODES(ソコデス)の技術指導のために日本全国を回り、太陽光発電のメーカーやユーザーと情報交換するほか、普及のため、太陽光パネルには保守が必要であることを広く訴え続けています。
 「SOKODES(ソコデス)の実証試験では、太陽光発電の現場に通うのが大変でした。交通の便がよくない施設が多いうえ、1日中、屋外で作業しなければなりませんから、真夏や真冬はつらい思いもしました。でも、調査が終わったあと、仲間とその土地のおいしいものを探して食べるのが楽しみになっています」

開発の中心となった電子回路のスペシャリスト

株式会社システム・ジェイディー
技術開発部部長
重村敏行さん

 ハードもソフトも設計し、製品開発の中心的な役割を務めました。重村さんの専門は電子回路で、これまで企業で電化製品などの電子部品の設計をしてきましたが、SOKODES(ソコデス)の開発にあたり、システム・ジェイディーのメンバーとして加わりました。
 「以前は半導体や太陽光パネルの開発などに関わったことはありません。何をするのにも、一から勉強でした。目まぐるしいほど忙しい日々も続きましたが、とてもやりがいがありました」

なるほど基礎知識

TDR測定

 TDR(time domain reflectometry:時間領域反射)測定は特性インピーダンスを簡単かつ正確に測定できるので、ケーブルやコネクタ、プリント基板、LSI(大規模集積回路)パッケージの検査などに広く用いられています。特性インピーダンスとは、交流回路の電圧と電流の比のことで、抵抗にあたります。伝送路で、高速信号を歪ませずに正確に伝えるためには、信号と特性インピーダンスを整合させることが必要です。

 TDR測定では、ケーブルやプリント基板などの伝送路に高速パルスやステップ信号を伝播させ、その反射波形を測定します。この反射波形は伝送路における特性インピーダンスの変化を表します。そこでこの反射波形を解析すると、特性インピーダンスの変化に対するパルスや信号の遅延量がわかり、測定回路を確認することができます。小型化や高密度化が進むLSIでは、断線や短絡(ショート)などの不具合が起きる場合も多く、それを検出するためにTDRを利用した検査装置が開発されています。

図11 TDR測定の模式図
波形が歪む距離(時間)を計測することで、障害位置を検出する

NEDOの役割|この成果を生み出した、NEDOプロジェクトについて

「新エネルギーベンチャー技術革新事業」(NEDO内担当部署:イノベーション推進部)

 NEDOは2007年度より、新エネルギーの分野におけるベンチャービジネスの参入促進や周辺関連産業の育成を目指し、中小企業やベンチャー等が持つ潜在的技術シーズを活用した技術開発の推進を支援しています。さらに、新事業の創成や拡大等を目指した事業化・ビジネス化を支援することで、石油代替エネルギーの産業構造に厚みを増し、新エネルギー産業全体としての経済性の向上も目指しています。

 これらの目的を達成するために、NEDOでは事業期間中に多段階でステージゲートを定め、社会のさまざまな情勢を踏まえて事業の実現可能性が高い技術シーズの絞り込みを行います。段階によっては、プロトタイプの試作やデータ測定等、事業化に向けて必要となる基盤技術研究の支援や、各研究開発テーマを事業化に結びつけるために技術・知的財産、経営等の外部専門家と連携し、ハンズオン支援を実施しています。

 本事業に採択された中小企業やベンチャー等の革新的な技術によって、新エネルギー分野の技術の選択肢を拡大するとともに、市場からベンチャーキャピタル等の資金を呼び込む仕組みを組み込むことで、新エネルギーの自立的な発展や、新たなナショナルプロジェクトの検討、加速させ日本の新エネルギーの分野におけるさらなるイノベーションの発展と導入普及の推進を目指します。

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