蓄熱媒体「水和物スラリ」で賢く冷房 省エネルギー空調システム

JFEエンジニアリング株式会社

エネルギー使用合理化技術実用化開発 「水和物スラリ空調システム開発」プロジェクト

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凝固温度は水より高い7℃!その時、蓄熱密度は、水の2倍に! 水よりも効率的にコンパクトに冷熱を蓄えることのできる「水和物スラリ」蓄熱空調システム
オフィスビルやショッピングセンターなど、多くの人が利用する業務用建築物などを快適な環境に保つために欠かせないのが、冷風や温風をつくり出す空調システムです。部屋ごとにエアコンを設置する家庭用冷暖房と違い、業務用建築物の空調システムは、はるかに大きなエネルギーを消費します。そのため、空調システムの省エネルギー化は、業務用建築物のオーナーや管理者にとって重要な関心事です。また、業務用建築物を含む民生部門のエネルギー消費は年々増加傾向にあります。地球温暖化防止の観点からも、空調システムのより一層の効率化が必要とされています。JFEエンジニアリング株式会社(以下、JFEエンジニアリング)は、従来からあった水や氷を利用して蓄熱する空調システムに代わって、「水和物スラリ」という化合物を利用した、新しい蓄熱空調システムを開発し、業務用建築物の空調システムの省エネ化に効果を上げています。基礎研究から、実証・実用化に至るNEDOの各種研究開発プロジェクト支援を、継続的に利用した研究成果が実を結んだ形です。2011年9月現在、神奈川県の川崎駅地下街、横浜市のショッピングセンター、岡山県備前市のベアリング工場など、計8施設で、実際に設置、利用されています。
このプロジェクトのここに注目!

より小さなエネルギーで冷熱を貯めるには

日本のエネルギー消費量のうち、オフィスや商業施設などの「民生(業務)」という部門が20%を占めています。さらに民生(業務)部門の消費エネルギーのうち、冷房などの空調用に使われるエネルギーが4割強を占めています。

オフィスや商業施設などではこれまで、冷房空調システムの省エネルギー対策の一つとして、氷蓄熱システムが採用されてきました。しかし、氷として冷熱を蓄熱するには、水を0℃以下にしなければなりません。それには、−5℃といった低温環境が必要で、大きなエネルギーを使う必要があります。そこで、「冷房に適した5℃から10℃の温度で液体が固体になるような物質を使った蓄熱技術」が求められてきました。氷よりも高い温度で蓄熱をする物質を利用すれば、エネルギー消費も少なく済み、省エネルギー効果をさらに高めることにつながります。

水和物スラリ、蓄熱効果は水の2倍以上

JFEエンジニアリングは、前身の日本鋼管株式会社時代*からエネルギーを多く使う製鉄会社として、省エネルギーは企業課題で、新しい技術を生み出そうとする気運がありました。そうした中、同社は「水和物スラリ」(商品名:「ネオホワイト」)という化合物を利用した省エネ型空調システムを開発しました。

※2002年、川崎製鉄株式会社(川鉄)と日本鋼管株式会社(NKK) の経営統合によりJFEグループが発足。2003年、日本鋼管は川崎製鉄のエンジニアリング部門を継承し、JFEエンジニアリングに社名変更した。

水和物スラリは、臭化テトラ-n-ブチルアンモニウム(TBAB)という物質を冷やすことで出来る水分子で包まれた構造をした固体と液体の混ざり合った流体です(写真左)。この水和物スラリを使った空調システムを使えば、省エネルギー化と二酸化炭素排出量の削減を図ることができます。

TBAB(右)と、冷却後の水和物スラリ(左)。TBABの水溶液は冷やされてスラリなるになると無色透明から白色に変わる

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水和物スラリの特徴は、多くの熱を保有することにあります。同じ質量、同じ温度の水と比べて、水和物スラリは2倍以上の熱(冷熱)エネルギーを蓄えておくことができます。つまり、同じ温度の水よりも2倍以上の時間、冷たさを保つことができるわけです(表1)。

また、水和物スラリが液体からスラリになるときの温度は、6〜12℃くらい。これは、オフィスの冷房として使うのに問題のない温度です。氷蓄熱システムで水を0℃まで下げて氷にするより、TBAB水溶液を6〜12℃に下げてスラリにするほうが、冷却エネルギーを少なく抑えることができます。

表1 蓄熱空調システムの蓄熱媒体の比較

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TBABを水分子で包む水和物スラリとは?