NEDOプロジェクトによって開発された技術がどのように製品やサービスとなって、活用されているかを、開発の現場を訪ねて紹介するシリーズ企画です。
JFEエンジニアリング株式会社
エネルギー使用合理化技術実用化開発 「水和物スラリ空調システム開発」プロジェクト

日本のエネルギー消費量のうち、オフィスや商業施設などの「民生(業務)」という部門が20%を占めています。さらに民生(業務)部門の消費エネルギーのうち、冷房などの空調用に使われるエネルギーが4割強を占めています。
オフィスや商業施設などではこれまで、冷房空調システムの省エネルギー対策の一つとして、氷蓄熱システムが採用されてきました。しかし、氷として冷熱を蓄熱するには、水を0℃以下にしなければなりません。それには、−5℃といった低温環境が必要で、大きなエネルギーを使う必要があります。そこで、「冷房に適した5℃から10℃の温度で液体が固体になるような物質を使った蓄熱技術」が求められてきました。氷よりも高い温度で蓄熱をする物質を利用すれば、エネルギー消費も少なく済み、省エネルギー効果をさらに高めることにつながります。
JFEエンジニアリングは、前身の日本鋼管株式会社時代*からエネルギーを多く使う製鉄会社として、省エネルギーは企業課題で、新しい技術を生み出そうとする気運がありました。そうした中、同社は「水和物スラリ」(商品名:「ネオホワイト」)という化合物を利用した省エネ型空調システムを開発しました。
※2002年、川崎製鉄株式会社(川鉄)と日本鋼管株式会社(NKK) の経営統合によりJFEグループが発足。2003年、日本鋼管は川崎製鉄のエンジニアリング部門を継承し、JFEエンジニアリングに社名変更した。
水和物スラリは、臭化テトラ-n-ブチルアンモニウム(TBAB)という物質を冷やすことで出来る水分子で包まれた構造をした固体と液体の混ざり合った流体です(写真左)。この水和物スラリを使った空調システムを使えば、省エネルギー化と二酸化炭素排出量の削減を図ることができます。
水和物スラリの特徴は、多くの熱を保有することにあります。同じ質量、同じ温度の水と比べて、水和物スラリは2倍以上の熱(冷熱)エネルギーを蓄えておくことができます。つまり、同じ温度の水よりも2倍以上の時間、冷たさを保つことができるわけです(表1)。
また、水和物スラリが液体からスラリになるときの温度は、6〜12℃くらい。これは、オフィスの冷房として使うのに問題のない温度です。氷蓄熱システムで水を0℃まで下げて氷にするより、TBAB水溶液を6〜12℃に下げてスラリにするほうが、冷却エネルギーを少なく抑えることができます。