水素を利用した“高効率な発電機” 家庭に設置する燃料電池の開発東京ガス株式会社
地球温暖化防止のためには、民生部門のCO2削減が急務となっています。そのための革新的な技術の一つとして、従来の省エネ機器のようにエネルギーを使う側ではなく、まるで"農園"のように自宅でお湯や電気を生み出す家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」が2009年5月世界に先駆けて販売されました。これまでは排熱として利用されていなかった熱エネルギーをお湯として利用することで、省エネやCO2削減を発揮することができます。2009年の販売開始以来、日本全国で1万台以上が活躍しています。
燃料電池は排出されるのが水だけであるため、宇宙船の電源として使用され、それと併行して工場、事業所用電源などとして使われていましたが、これを家庭で手軽に用いるためには法規制を見直したり、徹底的なコストダウンをはかったりする必要がありました。実際にエネファームを作る電機メーカーもさることながら、エネファームに都市ガスなどの燃料を供給するエネルギー事業者である東京ガスでも、NEDOプロジェクトを通じて、燃料電池の開発と普及のために、この課題に取り組み続けてきました。
都市ガスから電気と熱を取り出す
「エネファーム」(ENE FARM)は、都市ガスなどから水素をつくり、これを燃料として電気と熱をつくりだすシステムです。
燃料電池の中では、いわゆる水の電気分解と逆の現象が起こっています。電気分解では水(H2O)に電気を流すと水素(H2)と酸素(O2)が生まれます。燃料電池ではその逆、つまり、水素と酸素を反応させることで電気が生まれる反応が起きているのです。また、電気エネルギーを生みだすと、熱も生まれます。この熱も家庭用のエネルギーとして使い、約60℃のお湯として使うことができます。エネファームの場合、酸素は空気中のものをそのまま用いますが、水素は天然には存在しないものなので、都市ガスなどの化石燃料から取り出します。
省エネと二酸化炭素削減に効果的
東京ガスなどのエネルギー供給関連企業が発売を担い、電機メーカーが製造を担うという体制で、2009年に「エネファーム」という統一名称のもと各社から発売されました。
理論上のエネルギー利用率は、従来の火力発電システムの37%にくらべて、熱も利用するため81%と高効率です。そのため、火力発電と従来型給湯器による従来方式に比べて、理想的な場合、35%のエネルギー消費削減につながります。
また、発電時に発生するのは水のみで、環境面でも優れています。二酸化炭素は、都市ガスを水素に改質※するとき発生するのみ。従来方式より48%、二酸化炭素の発生を削減できます。また、化学反応による発電のため、静粛性が高い(作動音が静か)という、家庭や災害時使用に向いた特長もあります。
※改質 … 都市ガスなどから燃料電池に供給する水素を取り出すこと



