ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

Focus NEDO 65

18実用化Vol.5エネルギー使用合理化技術戦略的開発事業空気冷媒でマイナス60℃を実現する超低温冷凍システム マグロなどの流通を支える「超低温冷蔵倉庫」で、従来のフロン系冷媒ではなく、「空気」を冷媒とした革新的なシステムの開発に挑戦したのが、産業用冷凍機メーカーの株式会社前川製作所です。本事業では、ユーザーとなる冷蔵倉庫事業者と協同で、「空気」という安全で画期的な冷媒の活用と、年間消費電力最大50%削減という高い「省エネルギー性能」を併せもつ新技術を確立。空気冷媒冷凍システム「パスカルエア」を開発しました。「フロン冷媒問題」を解決する、マグロにも環境にも優しい空気冷媒冷凍システム マグロやカツオなどの安全な流通には、マイナス60℃という超低温の冷凍・冷蔵技術が欠かせません。しかし、大きな魚を凍結保管する「超低温冷蔵倉庫」は1960 年代に建設されたものが多く、当時の超低温冷蔵倉庫でよく使われていたフロン(HCFC22:ハイドロクロロフルオロカーボン22) は、オゾン層を破壊することからモントリオール議定書の規制対象物質に指定されており、既に2010 年から新規設備での使用が禁止。2010 年以降は既設の冷凍機への補充用に限りHCFC22 の製造が許可されているものの、2020 年になるとHCFC22 の製造自体も全廃と決められています。 そうした中、産業用冷凍機の主要メーカーである前川製作所も、この「フロン冷媒問題」を前に解決策を模索していました。そこでたどりついたのが「空気を冷媒として使おう!」という発想です。「高分子吸着剤による除湿型高性能空気冷凍システムの開発」というテーマで、2003 年度から2005 年度にかけてNEDO プロジェクトによる実用化開発を実施。従来のフロン系冷媒ではなく、「空気」を冷媒とした革新的なシステムの開発に挑戦しました。「パスカルエア」の心臓部ともいえる一体型圧縮・膨張機 空気冷媒冷凍システム「パスカルエア」は、基本原理としては気体を圧縮すると発熱、膨張させると吸熱するというシンプルな現象を利用しています。まず庫内の空気を直接圧縮機に吸引して圧縮。それを冷却水で冷やし、その後に膨張させると、最初の庫内温度よりも低い温度の空気が得られます。これを連続して行うことで庫内を冷却。従来システムのように、冷媒と冷蔵庫内の空気は熱交換器(エアクーラー)を介して間接的に冷却するのではなく、空気自体が冷媒としてぐるぐると系内を循環して冷やすので、熱交換によるエネルギーロスがないことに加えて、超低温冷蔵庫特有の冷却負荷を大幅に削減できるため、効率的な冷却が可能となります。 このシンプルでエネルギー効率の高い冷凍サイク「エネルギー使用合理化技術戦略的開発事業」とは オイルショックを契機に、国を挙げて省エネルギーに取り組んできた日本ですが、加えて、1990 年代初めより、地球温暖化が国際的な問題として議論されるようになりました。そこでNEDOは、「新・国家エネルギー戦略」(2006 年5 月)で示された目標達成のため、省エネルギー技術の研究開発について幅広く公募を行い、基盤研究から実用化開発、実証研究を含む技術開発を戦略的に実施しました。NEDOプロジェクトの成果は、企業の製造工程や私たちの開発秘話とその後を追った、「実用化ドキュメント」の過去の記事を要約して掲載していきます。ドキュメント手に届く最終製品のなかで生かされています。本シリーズは、高く、困難な壁を乗り越え実用化を達成したプロジェクトのその後を追う!プレイバックヒストリーCFC1996年に全廃R-11・R-122010年新規禁止2020年に全廃R-22・R-123R-134e・R-404AR-407C・R-410AHCFC HFC(代替冷媒)モントリオール議定書(オゾン層破壊+温暖化問題)京都議定書(温暖化問題)フロン系冷媒フロン系冷媒に関する国際的な取り決め