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概要

Focus NEDO 65

02ブレークスルーは必ず起こる宇宙飛行士山崎直子さん 『2001年宇宙の旅』という映画がありますが、現実の宇宙開発は映画のようには進んでいないものの、通信の速度やコンピューターの小型化など、映画の世界よりも圧倒的に速いスピードで開発が進んでいる技術もあります。一言で宇宙技術といっても分野はものすごく広く、さまざまな技術の集積で成り立っています。 なかでもロボット技術は、私自身、学生時代に制御の研究に携わっており、ロボットなくしては宇宙開発の今後の発展はないという思いできました。例えば、国際宇宙ステーションといった巨大な建造物は、人間だけでは作業ができないため、ロボットアームの助けを借りながら組み立てています。実際に宇宙でこうした作業を行う中で強く感じたのが、人とロボットが協調することの大切さ。信頼性と安全性です。 地上ではこれまで、いかに無人でできるか、人のいない場所で活躍するかといった観点で、産業用ロボットの研究が進んできました。現在、人の生活をサポートするロボットの開発も進んでいますが、宇宙では、宇宙ステーションという限られた場で、機械もあれば人もいるという状況となることから、早い段階で人とロボットの協調が重要視されてきたと思います。ただ、これからは宇宙も地上も、人とロボットの関係では目指すところは一緒ですね。 2020年に、世界のロボット関係者が一堂に集まってロボット技術を競う「World Robot Summit 」が日本で開催される予定です。“ロボットの競技”といっても、ロボットも人もそれぞれ機能拡張が進むと、人とロボットの境界がどんどん狭まっていくのかなと思います。 今までの延長線上で技術を考えていくのは、改善にはなりますが、イノベーションを起こそうとするとき、1世代、2世代飛び越えて先を見ることも大切です。荒唐無稽な夢と思われているような技術も、ブレークスルーは必ず起きるものです。そのときに、技術面だけではなく法律や倫理、社会の設計がどう変わっていくか。宇宙開発もロボットも、技術の進歩と合わせて、多くの人にどう活用してもらうかというソフトやアイデアの部分にも、注目していきたいですね。やまざきなおこ東京大学大学院航空宇宙工学専攻修士課程を修了後、NASDA(宇宙開発事業団、現・宇宙航空研究開発機構/JAXA)に入社。日本実験棟「きぼう」の開発業務に携わる。2001年9月に宇宙飛行士に認定され、10年4月、スペースシャトル ディスカバリー号による15日間のミッションに参加。ISSやスペースシャトルのロボットアームの操作などを担当。11年8月にJAXAを退職後は、内閣府の宇宙政策委員会委員等を務める。経済産業省とNEDO主催のWorld Robot Summit実行委員会諮問会議委員。未来技術への提言Directing the Future