成果報告書詳細
管理番号20110000001496
タイトル平成20年度~平成22年度成果報告 基礎研究から臨床研究への橋渡し促進技術開発/橋渡し促進技術開発/アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたデュシェンヌ型筋ジストロフィーオーダーメイド医療を産業化するシステムの確立
公開日2011/11/23
報告書年度2008 - 2010
委託先名メディカルアクト株式会社 国立大学法人神戸大学 神戸天然物化学株式会社
プロジェクト番号P07022
部署名バイオテクノロジー・医療技術部
和文要約Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)は最も頻度の高い遺伝性筋疾患で、世界中で出生男児3500人に一人が発症している。DMDは進行性の筋委縮を特徴とし、乳児期は殆んど無症状であるが、4~5歳頃に筋力低下症状を示し始め、その後一貫して筋萎縮は進行し、20歳台に心不全あるいは呼吸不全で死亡する。現在、このDMDに対する有効な治療法はみられない。そのため、世界中の多くの研究者が様々な方法をDMDの治療に応用しようと研究を重ねているが、臨床に展開するには至っていない。
神戸大学では数多くのDMD患者の遺伝子診断を実施し、様々なジストロフィン遺伝子の異常を明らかにしてきた。その中で「ジストロフィン神戸」と名付けたジストロフィン遺伝子の異常の詳細な分子病態の解明結果をもとに、アンチセンスオリゴヌクレオチド(AO)を用いたエクソンのスキッピング誘導によるmRNAのアミノ酸読み取り枠を修正するという画期的なDMD治療法を世界で初めて提唱した。
本「アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたデュシェンヌ型筋ジストロフィーオーダーメード医療を産業化するシステムの確立」に関する研究開発は、これまでに神戸大学で集積されてきたDMDに対するAOを用いたエクソンスキッピング誘導治療に関する基礎的な成果を発展させ、その実用化を企画するものである。
DMD患者の有するジストロフィン遺伝子のエクソン欠失異常のパターンから、エクソン45のスキッピング誘導で多くのDMD患者が治療できることから、その作用を有するRNA/ENAキメラAOのAO85を用いて検討した。in vitroのスプライシング反応系を確立し、AO85の作用発現機序を解析した。生化学的解析手法ではAO85はmRNA前駆体と拮抗して作用することが判明した。さらに、AO85のEC50などの様々なパラメーター解析を実施し、AO85が低濃度でもエクソンスキッピング誘導効果を発揮することを明らかにした。
AO85を用いたエクソン45スキッピング誘導によりジストロフィン発現効果の期待できるDMD患者より樹立した培養筋細胞にAO85を導入し、その治療の有効性について検討した。様々なエクソン欠失様式を示す14例のDMD患者由来培養筋細胞にAO85を導入したところ、すべてでAO85はエクソンスキッピング誘導をもたらした。中でも、AO85によるエクソンスキッピング誘導効果が全mRNAで認められた例が見いだされた。さらに、ジストロフィン発現を免疫染色法を用いて解析し得た筋細胞株ではAO85投与後にジストロフィン発現の効果を確認した。この様にin vitroの解析ではAO85の効果が極めて大きいことを示し、臨床応用を促進する大変な成果であった。また、AO85のマウスを用いたエクソンスキッピング誘導効果評価及び毒性評価を行い、AOの臨床応用の妥当性が示された。
一方、AO85の臨床応用を妨げていたAOのGMPグレードでの製造に関して、GMPレベルの独自の合成体制も整備され、GMPレベルで合成されたAO85が入手できた。これまでに得られた成果はいずれもAO85の臨床応用を推進する方向であり、特にDMD患者由来筋細胞でジストロフィン発現を確認できたことは臨床効果を確信させるものであった。さらに、探索的臨床研究を開始すべく神戸大学医学部倫理委員会の審査を受け承認を得た。これらのことから、目標とする探索的臨床研究の実施体制が整った。
英文要約Duchnne muscular dystrophy (DMD) is the most common inherited muscular disease affecting one in every 3500 males. DMD is characterized by progressive muscle wasting and patients with DMD succumb at their twenties due to cardiac or respiratory failure. Many studies have been conducted to establish DMD treatment but no effective treatment is available yet.
We have conducted extensive mutation analysis of the dystrophin gene and identified a unique mutation named as dystrophin Kobe. This mutation having a small deletion in exon 19 showed exon 19 skipping during splicing. Form this obserbation we proposed exon skipping therapy for DMD that converts out-of-frame into in-frame. We have shown that phosphorothioate antisense oligonucleotide against exon 19 induced exon 19 skipping and dystrophin expression in skeletal muscle of a DMD patient with exon 20 deletion. Based on this we propose to establish the system to transfer this technology to clinical field.
Here, we tried to establish antisense oligonucleotide that is able to induce eoxn 45 skipping efficiently. For this we employed RNA/ENA chimera and one RNA/ENA chimera, AO85, was found the best in in vitro splicing analysis. We transfected AO85 into DMD patient’s muscle cells and examined its exon skipping efficiency. In all 14 muscle cell lines with different types of exon deletions, AO85 induced eoxn 45 skipping efficiently. In one case, remarkably, all of mRNA showed exon 45 skipping. Furthermore, immunostaining for dystrophin showed dytrophin positive cells in AO treated cells. These indicated AO85 can be used for treatment.
For the clinical application AO85 should be synthesized at GMP level. Fortunately, the system to synthesize AO85 at GMP level was established. Finally, enough amount of AO85 synthesized by GMP was supplied to Kobe University Hospital. The protocol for the treatment of DMD with AO85 was reviewed by our ethical committee and agreed.
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