成果報告書詳細
管理番号20120000000985
タイトル平成22年度~平成23年度成果報告書 省エネルギー革新技術開発事業 先導研究 磁気熱量効果を応用した革新的高効率冷熱技術の研究開発
公開日2012/10/18
報告書年度2010 - 2011
委託先名株式会社東芝 国立大学法人千葉大学
プロジェクト番号P09015
部署名省エネルギー部
和文要約[目的および目標]
冷凍技術の分野では、フロンや代替フロンなどに代表される気体冷媒の環境影響の解消や、総電力に占めるエネルギー消費の低減、即ち冷熱機器の高効率化が強く求められている。汎用の冷熱機器では気体の圧縮膨張を利用した気体冷凍技術が広く用いられているが、その原理から低温ほど効率が低下する特徴があり、冷凍冷蔵庫や冷凍倉庫といった低温を対象とする機器では空調と同様の効率を実現することは本質的に難しい。このような冷凍技術分野の課題に鑑み、本先導研究では、環境影響のある気体冷媒を使用せず、理論的に高効率が指摘され、原理的には効率の温度依存性がない磁気冷凍技術に注目し、現行機器と同等以上の効率実現の可能性を明らかにすることを目的として研究を実施した。
現行の家庭用冷蔵庫の成績係数COP(出力/入力)は1?1.5程度、低温冷凍倉庫では0.5程度である。一方、磁気冷凍は研究途上の技術であり、システムとしての定型がまだないため、システムで高効率実現の可能性を判断することが難しい。そこで、本先導研究では、千葉大学、東芝、物質・材料研究機構が以下の項目(1)?(4)を分担し、相互に連携して、出力に係わる冷凍サイクルや、入力に係わる磁気冷凍動作機構などの要素技術開発を行い、これら出力と入力を合わせてCOPポテンシャルとして評価した。最終目標は、項目(1)?(4)で得られた結果を基に総合的に考察し、磁気冷凍サイクルにおいて温度差30℃(高温35℃?低温5℃)でCOP=1.5のポテンシャルを検証するとともに、COP=3にするためのロスの低減手法を提案すること、とした。

[研究内容および成果]
項目(1):冷凍実験に必要な磁性材料球状粒子を作製し項目(3)に供給するとともに、1次相転移のLaFeSi系材料と2次相転移のGdの熱特性や磁気特性を評価し、これらが冷凍性能に与える影響について項目(2)と併せて考察した。この結果、エントロピー変化と比熱の比が冷凍性能の支配因子であり、1次相転移活用によるエントロピー変化増大とともに比熱の抑制が重要であるという知見を得た。
項目(2):項目(3)の実験を模擬できるAMRサイクル※の計算モデルを構築して、材料特性や運転条件が冷凍性能に与える影響を検討し、生成温度差dT=30℃(高温側:35℃、低温側:5℃)で60Wの冷凍出力を得られる材料積層条件を明らかにした。この結果は、項目(4)と合わせるとCOPポテンシャルとして5の可能性を示唆する。※AMR:能動的蓄冷式磁気冷凍Active Magnetic Regenerative Refrigeration)
項目(3):AMRサイクルの高性能化に向けて、材料積層による冷凍性能向上(ロス低減)について定量化することを目標とし、熱負荷付与による冷凍能力の評価と、冷凍サイクルにおけるロス要素の検討を行った。この結果、冷凍出力としてdTspan=28℃で20Wが得られた。また、ロスとして、圧損、渦電流損・磁気損は現状の周波数域では効かないが、熱侵入、反磁場、磁性材料の狭い最適動作温度特性、が有意であることが判明した。これに対して、幾何形状の工夫による反磁場低減で10%、最適動作温度の異なる磁性材料積層により22.5%、生成温度差が拡大することを実験的に確認した。
項目(4):定型のない磁気冷凍システムについて、磁気冷凍の基本動作である磁場変化、冷媒動作の省エネ動作を訴求した。この結果、ハルバッハ配列磁石による高磁場実現(目標1T以上:1.39T)と、トルク相殺構成による磁場変化の動力の大幅低減(目標24W以下:12W)を達成した。さらに、磁気回路の駆動動力のみで同時に冷媒動作が可能な新規な冷媒動作原理を考案し、この基本動作を実証した。
項目(5):項目(1)?(4)で得られた結果を総合的に考察した。冷凍サイクルの出力向上や、磁気冷凍の省エネ動作を訴求した結果、磁性材料1kg(125cm3程度)の規模のシステムでCOP=1.67(温度差28℃)のポテンシャルが示された((3)(4)による)。また、計算と実験を併せて考察すると、材料の積層構成による冷凍性能向上の知見が得られ、COP=5(温度差30℃)のポテンシャルを有することが示され、材料の積層は、材料の狭い最適動作温度特性に起因したロスを補完する手法として有効であることが確認された。
以上示したように、本研究の当初の目標を達成した。
英文要約A Research and Development Program on Magnetic Refrigeration Technology based on Magnetocaloric effect. (FY2010-FY2011)
FY2010-FY2011 Activity Report (Summary),
Chiba University, Toshiba Corporation & National Institute for materials science

In general, raising the energy efficient in the field of refrigeration technology is strongly desired in order to conserve the total energy because the energy usage in the refrigeration field is highest in all electricity. In general, an energy efficiency of the conventional vapor-cycle refrigeration technology system decreases with decreasing operating temperature in the refrigeration system. Therefore, the energy efficiencies of refrigerator-freezer and cold storage warehouse systems are quite low compared with the air conditioning system. The typical values of COP are 1?1.5 and 0.5 for refrigerator-freezer and cold storage warehouse systems, respectively. In order to save the energy conservation, we have proposed the use of a new magnetic refrigeration technology system based on the magnetocaloric effect in which high energy efficiency has been predicted even in the low operating temperature range. Target of this research program is the success in estimating and clarifying the COP in the case of magnetic refrigeration system using the active magnetic regenerative (AMR) cycle and the confirmation of the same or higher COP compared with the cases of the refrigerator-freezer and the cold storage warehouse systems.
There is no standard system in the case of magnetic refrigeration, because magnetic refrigeration using AMR cycle is a new proposed system. Therefore, in order to clarify the COP, we organized a collaborative program consisting Chiba University, Toshiba Corporation and the National Institute for Materials Science (NIMS). As a result, we had succeed in getting a proof of COP>1.5 even in the wide operating temperature span of 28 degree C as describe below. We expect that these novel results will open a pathway for development of next-generation refrigeration system.
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