成果報告書詳細
管理番号20130000000191
タイトル*平成24年度中間年報 バイオマスエネルギー技術研究開発 戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業(次世代技術開発)油分生産性の優れた微細藻類の育種・改良技術の研究開発
公開日2013/6/25
報告書年度2012 - 2012
委託先名株式会社デンソー 学校法人中央大学
プロジェクト番号P10010
部署名新エネルギー部
和文要約<研究開発の内容及び成果等>
1 有用形質を持つP. ellipsoidea突然変異体のゲノム解析
1-1 Resequencing
これまでに分離したP. ellipsoidea突然変異体の持つ有用形質が、どのような遺伝子の変異によってもたらされたのかを知るためにゲノム解析(resequencing)を行った。本年度は、有用形質を持つ突然変異体の中から、油脂高蓄積株、低クロロフィル株、細胞壁欠損株など21の変異株のゲノム解析を行った。各突然変異体のゲノム配列を詳細に解析した結果、それぞれの突然変異体で、10-40程度の遺伝子にアミノ酸置換を伴う変異や欠損が発見された。
1-2 変異遺伝子の機能推定
それぞれの変異株で変異のあった遺伝子の機能をホモロジー検索により推定した。またモチーフ・ドメイン検索などにより、そのアミノ酸変異がタンパク質の機能にどのような影響を与えるのかを予測した。また、それらの遺伝子の発現がP. ellipsoideaにおいてどの程度の強さか、またどのように変化しているかを、以前に行った窒素欠乏時におけるRNA-seqのデータをもとに解析した。それらの結果から、変異株それぞれの有用形質の原因遺伝子と考えられる遺伝子を絞り込んだ。
2 形質転換効率の改良
2-1 DNAの宿主細胞内導入の最適化
先行プロジェクトにおいて我々はパーティクルガン法を用いたP. ellipsoideaの形質転換系を確立し、遺伝子組換え実験を可能とした。しかし、効率良い遺伝子操作を行うためには、形質転換率をさらに上昇させる必要があった。そこで、パーティクルガンを用いた形質転換法の最適化を試みた。
2-2 導入DNAと染色体DNAとの組換えの最適化
現在のP. ellipsoidea形質転換系では、遺伝子導入の可否を判断するマーカーとしてG418耐性(neo)遺伝子を用いる以外に無く、この方法では、遺伝子導入効率の判定に1ヶ月程度の時間を要する。そこで、より速く遺伝子導入効率を評価できる系の確立を目指し、GFP遺伝子をレポーターとした遺伝子導入系の開発を試みた。まず、P. ellipsoidea内でGFPが構成的に発現すると思われる環状DNAを6種類作製し、P. ellipsoideaに導入した。フローサイトメーター(FACS)を用いてGFPの一過性発現を観察したところ、1種類でGFP蛍光が確認できた。さらに、安定したGFP形質転換体を作出し、GFPの発現を検証した結果、3種類でGFPの発現および蛍光が認められ、P. ellipsoidea内でGFPが利用可能である事が示された。
3 遺伝子ノックダウン・ノックアウト技術の開発
3-1 相同組換えを用いた遺伝子破壊(knockout)
相同組換えによる遺伝子破壊
植物の形質転換ができるようになってから四半世紀が経過するが、いまだに相同組換えを高い頻度で起すことに成功していない。しかし、Chlamydomonas reinhardtiiにおいては、一本鎖DNAを用いることにより相同組換えの頻度を上昇させることができるとの報告がある。そこで、P. ellipsoideaにこの方法の適用を試みた。遺伝子破壊の標的としては、ウラシル合成酵素(UMPS)遺伝子を用いた。
3-2 RNAi(knockdown)
RNAi技術として現在注目されているのが、artificial micro-RNA(amiRNA)である。amiRNAは、緑藻を含め多くの真核生物で見つかっているmicro-RNA(miRNA)をベースとして作られる。そこでP. ellipsoideaに適用できるamiRNAの開発に着手した。P. ellipsoideaからsmall RNA画分を抽出・濃縮し、配列解読を行った結果、既知65個、新規216個のmiRNAが存在することが分かった。これらのmiRNAの中から、リード数が多く且つサイズが短いものを選定し、amiRNA構築用ベクターを作製する予定である。しかし現在は、上記のようにTALEN技術の開発が順調に進行しているため、そちらに努力を集中している。
4 セルフクローニングシステムの構築
4-1 Positive selectionが可能なP. ellipsoidea宿主の開発
形質転換時の選択マーカー(positive selection)として、栄養要求性マーカーを用いるセルフクローニングシステムの構築を目指している。
4-2 選択マーカーを繰り返し使用できる遺伝的方法の開発
遺伝子組換え技術を用いた育種では、利用できるマーカーの数によって導入できる遺伝子の数が限られてしまう。しかし、Cre recombinaseによって loxP配列に挟まれたマーカー遺伝子を除去することができれば、その選択マーカーは繰り返し使用できることになる。しかし、このCre/loxPシステムを緑藻に適用した例は皆無であった。そこでまず、当システムがC. reinhardtiiに適用できるかを検討した。
英文要約1. Genome analyses of P. ellipsoidea mutants exhibiting improved properties for biofuel production.
The draft genome sequences of 21 mutants, each exhibiting an improved property for biofuel production, were determined. As these mutants have been isolated after 1-methyl-2-nitro-1-nitrosoguanidine mutagenesis, they contained 10 to 40 missense mutations per genome. The mutant genes were annotated to track down those responsible for the improved properties.
2. Improvement of the genetic transformation methods in P. ellipsoidea
Previously, we have demonstrated the genetic transformation of P. ellipsoidea using particle bombardment. The best conditions for the stable transformation of P. ellipsoidea were obtained when P. ellipsoidea cells were uniformly spread on agar plates containing 1% glucose to a density of around 6×105 cells/plate (A750nm=0.04, 3ml) and bombarded two shots per plate with a microcarrier flying distance of 9 cm.
3. Development of gene knockout technology in P. ellipsoidea
The ability of single-stranded DNA to provoke the homologous recombination in P. ellipsoidea cells was examined. The neo gene was inserted into the uridine monophosphate synthetase (UMPS) gene of P. ellipsoidea, and cloned into pBluescript.
4. Development of self-cloning system applicable to P. ellipsoidea
After UV mutagenesis, five uracil auxotroph mutants were isolated from P. ellipsoidea, and two of them were shown to be defective in UMPS by the sequencing of their UMPS genes. The cDNA of the wild-type UMPS gene was synthesized and inserted between the tubulin gene promoter and the actin gene terminator, both originated from P. ellipsoidea. The construct was cloned into an E. coli vector, and introduced into one of the uracil-requiring P. ellipsoidea. Prototrophic transformants were obtained at a frequency of 8×10-5.
5. Construction of transgenic P. ellipsoidea with an improved oil productivity
MYB7 is a protein of P. ellipsoidea containing a typical MYB domain involved in the DNA binding, and considered to be a transcription factor. In our previous study, MYB7 has been shown to be induced upon the nitrogen-starvation. Since the nitrogen-starvation also provokes the accumulation of triglycerides, it is possible that MYB7 induces the synthesis of triglycerides. To test this hypothesis, the MYB7 gene was cloned under the tubulin promoter which allows a constitutive expression of the MYB7 gene, and the construct was introduced into P. ellipsoidea. When the MYB7 transformants were cultivated under nitrogen-sufficient conditions, the rate of oil accumulation in the transformant was 30 to 100% higher than that in the original P. ellipsoidea strain. This result suggested that MYB7 is directly or indirectly induces genes for the triglyceride biosynthesis.
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