成果報告書詳細
管理番号20130000000650
タイトル平成23年度-平成24年度成果報告書 希少金属代替材料開発プロジェクト NdーFeーB系磁石を代替する新規永久磁石の実用化に向けた技術開発 非平衡状態相の形成を利用したNd系磁石代替実用永久磁石の研究開発
公開日2013/10/1
報告書年度2011 - 2012
委託先名日産自動車株式会社 国立大学法人大阪大学 国立大学法人長崎大学 学校法人千葉工業大学 国立大学法人九州大学
プロジェクト番号P08023
部署名電子・材料・ナノテクノロジー部
和文要約《長崎大学》
200℃程度で(Nd,Dy)-Fe-B磁石を代替できる磁石を念頭に、積層型SmCo5/α-Fe人工積層磁石のナノ組織と得られる磁気特性の関係を計算機シミュレーションで検討した。この結果、積層周期を10 nm 程度まで減じれば、室温で得られる(BH)max 値は800 kJ/m3に達した。この値は、Nd2Fe14B/α-Fe積層磁石で達成できる (BH)max 値と同等である。さらに、200℃では、SmCo5/α-Fe積層磁石で達成可能な(BH)max値は700KJ/m3程度となり、Nd2Fe14B/α-Fe積層磁石で到達可能な値を大きく上回った。これは、SmCo5の磁気異方性の小さな温度係数が積層型磁石の保磁力の温度係数に反映されるためである。
続いてPLD (Pulsed Laser Deposition) 法を用いてSmCo5/α-Fe を500周期程度積層したSmCo5/α-Fe人工積層構造を作製した。積層周期が20 nm 程度の多周期積層膜を結晶化することにより、SmCo5層とα-Fe層が磁気的に強固に結合したナノコンポジット磁石を得ることができた。室温で得られた保磁力、残留磁気分極、(BH)max 値は、それぞれ、280 kA/m、0.87 T、88 kJ/m3 であった。保磁力の温度係数は -0.3 %/℃とNd-Fe-B系磁石の値に比べて小さく、150℃においては、SmCo5/α-Fe磁石の(BH)max値がNd-Fe-B/α-Fe厚膜磁石及び等方性圧縮成形ボンド磁石の(BH)max値を上回った。
以上より、SmCo5/α-Fe人工積層構造磁石は比較的高温で使用されるNd-Fe-B系磁石を代替できる可能性を持った磁石と結論することができる。
《千葉工業大学》
本研究では、新しい磁石材料の探索を急冷凝固法により行った。新しい磁石材料の候補としてFe系合金、Co系合金、Mn系合金を選び、急冷凝固法で作製した試料および急冷凝固法で作製した試料に熱処理を施した試料の構造と磁気特性の関係について調べた。本研究開発項目における目標である「新規磁石材料としてはBr > 0.5 Tを有するもの」を満たす新規磁石材料としてはSm-Zr-Fe系磁石、Fe-Ni系磁石、Co-Fe-Zr-B系磁石が、また「新規磁石材料としてはHcj > 0.5 MA/m以上を有するもの」を満たす新規磁石材料としてはSm-Fe系磁石、Co-Zr-Mo-B系磁石、Mn-Ga系磁石、MnBi系磁石である。特に飽和磁化の高いFe-Ni磁石と保磁力の大きいSm-Fe系磁石は今後の研究によりNd-Fe-B磁石に匹敵する永久磁石になることが期待できることが、またMnBi系磁石は高温特性が優れているため高温用に限定すればNd-Fe-B磁石に匹敵する永久磁石になることが期待できることがわかった。
《大阪大学》
 Nd-Fe-B系磁石に代わる新規磁石の開発を目指して、非平衡相の形成を利用した組織制御プロセスおよび磁石化成型技術の開発を行った。SmCo5の粉砕については、界面活性剤としてAOT(ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム)を含むヘキサン溶液を用いた湿式ボールミルが有効であることが分かった。Feとの複合化では相互作用が不十分であるものの,8 wt%のFeを複合化しても保磁力は維持されており、残留磁化も 11 % 程度の向上が見られた。
分子軌道法を用いた計算では、Sm2Fe17CN2およびFe16C2が対応するSm2Fe17N3やFe16N2と比べて構造安定性が高く、高温仕様磁性材料として適している可能性が示唆された。また、難焼結性のSm2Fe17N3やSmCo5ハード磁性相では、FeやCoとのソフト相複合化により、焼結時の緻密化を促進させることが可能であった。これはソフト相が結合材の役割を果たしていることによると考えられ、複合磁石の焼結法として有効であることを示唆している。
 希土類を用いない磁性材料としては、MnBi/α-Fe系複合磁石について検討を行った。ハード相としてのMnBi粉末の保磁力は247 kA/mであったが、10 hのボールミル粉砕により724 kA/mまで向上した。これへのFeの添加効果については、3.8 wt%のFeおよび成形助剤としてSnを添加した成形体(メタルボンド磁石)では、飽和磁化Ms = 540 mT、残留磁化Br = 456 mT、保磁力Hcj = 549 kA/mが得られた。また温度特性については、180℃において市販の高保磁力型Nd-Fe-B焼結磁石S34GHの保磁力(Hcj=0.94 MA/m、カタログ値)を大きく上回ることが確認された(Hcj=1.36 MA/m)。
《九州大学》
パルスレーザー蒸着(PLD)法や急冷凝固法で試作された新規磁石材料の微細構造を最新鋭の透過電子顕微鏡(TEM)を用いて調査した。PLD厚膜では、幅10nm程の薄いSmCo5非晶質層とα-Fe結晶層が500周期程積層した人工積層構造ができており、熱処理後にはSmCo5とα-Fe微結晶粒が分散したナノコンポジット厚膜磁石となることで、150℃程度の高温では等方性Nd-Fe-B磁石に勝る特性をもつことがわかった。急冷凝固Co-Zr系合金は、微細なCo5Zr準安定相から成り、BとMo添加による微細化と結晶性向上により磁気特性が増大することが判明した。その他、急冷凝固FeNi系、Mn-Bi系合金磁石についても微細組織と磁気特性の関係を明らかにした。
英文要約《Nagasaki University》
Magnetic properties of SmCo5/α-Fe multi-layered nanocomposite thick film-magnets were computer-simulated as an integral part of research for (Nd,Dy)-Fe-B alternatives. At 200 ℃, the achievable (BH)max value of SmCo5/α-Fe, 700 kJ/m3, was much higher than that of Nd-Fe-B/α-Fe, while the (BH)max value at room temperature, 800 kJ/m3, was comparable with that of Nd-Fe-B/α-Fe. The high (BH)max value of SmCo5/α-Fe at 200 ℃ can be attributed to the small temperature- coefficient of magnetic anisotropy of SmCo5.
Based on the simulation, SmCo5/α-Fe multi-layered thick films with the stacking period of 20 nm were synthesized by the pulsed laser deposition method. The films exhibited isotropic magnetic properties of Hc=280 kA/m, Ir=0.87 T, and (BH)max=88 kJ/m3 after crystallization, suggesting strong exchange-coupling between SmCo5 and α-Fe. The temperature-coefficient of Hc was -0.3 %/℃, which was much smaller than that of Nd-Fe-B magnets. Resultantly, the (BH)max value of SmCo5/α-Fe magnet exceeded those of Nd-Fe-B/α-Fe thick film-magnets and isotropic Nd-Fe-B resign-bonded magnets at 150℃.
From the above results, a SmCo5/α-Fe nanocomposite magnet is considered to be one of candidates for (Nd,Dy)-Fe-B alternatives at a high temperature.
《Chiba Institute of Technology》
In this study, candidates for new permanent-magnetic materials such as Fe-based alloys, Co-based alloys, and Mn-based alloys were explored. The structures and magnetic properties of these alloys produced by melt-spinning technique and those annealed specimens were examined by X-ray diffraction, transmission electron microscopy, and vibrating sample magnetometer. It was found that the specimens such as Fe-Ni, Sm-Zr-Fe and Co-Fe-Zr-B alloys showed high remanence (Br > 0.5 T). On the other hand, the specimens such as Sm-Fe, Co-Zr-Mo-B, Mn-Ga, and Mn-Bi alloys exhibited high coercivity (Hcj > 0.5 MA/m). Among these specimens, the Fe-Ni alloys with high saturation magnetization and the Sm-Fe alloys with extremely high coercivity could be high-performance magnets comparable to Nd-Fe-B magnets in the future. Since the Mn-Bi alloys showed high coercivity at high temperatures, it could be used as a high-temperature permanent magnet.
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