成果報告書詳細
管理番号20160000000694
タイトル平成25年度ー平成27年度成果報告書 NEDOプロジェクトを核とした人材育成、産学連携等の総合的展開 産業技術の普及と社会制度 機械系における最近の安全・リスク
公開日2016/9/10
報告書年度2013 - 2015
委託先名一般社団法人日本機械学会
プロジェクト番号P06046
部署名ロボット・AI部
和文要約概要
(和文)
以下のような成果が得られた.

i)人材育成の講座の実施
現行法制度において, 1)行政的による事前規制, 2)損害賠償法による事後規制, 3)刑法による事後規制が問題点として挙げられる.現行法の枠組みの中で規制法がどのようにして作られ,どのように運用されているのかを総論的に理解することが欠け,また,機械技術者は,さまざまな規制法に基づく規格,基準を守ることを所与の前提として機械技術者が教育される.これにより,さまざまな規制法の存在や問題点,反省点が語られることは少ないので,問題点・反省点に着眼した講座を実施した.
 損害賠償法の本来の目的は被害者救済にあり,被害者が損害賠償を得やすくすることによって加害者である製造者等も損害の発生を抑制する努力をすることになるが,反面,損害の公平な負担という見地からは,被害者にも応分の負担を求める必要がある場合もある.過失相殺などが適切になされることによって,被害者にも損害回避のインセンティブを与える必要があると考えられるが,現行法におけるさまざまな損害賠償責任についての趣旨や効果などに理解があるのが前提で,この前提に関わる講座を実施した.
 わが国の刑法は,業務上過失致死傷罪を刑法上の犯罪として処罰し,人の安全を確保する業務に就いている者は,業務上過失致死傷罪として処罰されないように不注意な行為を避けようとする.これが刑法による事後規制であるが,業務上過失致死傷罪の事後規制の有効性を疑う意見もある.特にヒューマンエラーの専門家から,刑罰の威嚇によってヒューマンエラーが減ることはないとの見解が出ているが,刑罰の威嚇がなくなればヒューマンエラーが増えるとも考えられる.この議論には,現行法の枠組みで過失の有無がどのように判断されるか,どういう基準で過失犯が起訴されるかを知る必要があり,本点の理解を深める主旨の講座を実施した.

ii)人的交流の展開
わが国の安全文化は,安全か危険か,規制は十分か不十分かという二者択一的なものであるが,本来,安全には受け入れ不可能なリスクのないことという定義があり,リスクの認識(リスク・コミュニケーション)が安全の前提となっている.人はエラーするものであるから,ヒューマンエラーの可能性が技術のリスク評価において考慮されなければならない.安全に関わる法制度の構築に機械技術者と法律家のコラボレーションが必要なことは自明で,また,法律以外の社会制度として,機械技術者が,資格制度や技術者倫理等についても学ぶことが必要である.
上記の観点から,特定のテーマを設定して,法律の専門家,工学の専門家,それぞれの参加を得て,機械技術者と法律家が安全をどのようにして確保するのかに関する市民フォーラムを,日本機械学会年次大会(2013年度,2014年度,2015年度)の機会を利用して開催した.また,その際,異分野の専門家同士が対話し問題意識を共有できるよう,グループディスカッション・個別の意見交換の場を設けた.
また,2014年度に特別講演会「法工学への期待ー工学と法学の協働による技術の安全・安心ー」を開催,2015年度に特別講演会「法工学の挑戦ー文理融合で目指す技術の安全・安心ー」を開催し,成果の周知・普及を図った.

iii)周辺研究の実施
周辺研究として,事故防止に関する業務上過失処罰の有効性に関する調査研究を行った.裁判例を選定し,工学の専門家と法学の専門家がそれぞれの立場から分析を行った.研究会合を開催し,それぞれの分析成果を提示しながら議論を行い,事故防止に関する業務上過失処罰の有効性について検討した.その成果は上述の講座にも活かされた.
英文要約Results of research and development are as follows.

1. Training Course
In the current system mechanical engineers are trained on the basis that they obey various regulations. However, their general understanding about how regulatory laws are made and applied is lacking. To complement this situation we constructed a series of lectures and implemented it.
In order to avoid accidents caused by mechanical engineering, in our society (1) regulation by government, (2) damage compensation law and (3) criminal law are used. The purpose of damage compensation law is securing the injured. However, for the purpose of fair distribution of the burden of damage, in some cases the injured are requested to be imposed a reasonable burden. We have to determine comparative negligence properly to provide the injured the incentive to avoid damage. The criminal law punishes acts of professional negligence resulting in injury or death, but it is debatable whether criminal punishment reduced the incidents of human errors.
In this training course we constructed a series of lectures to understand basic concepts of negligence in the current legislation and conditions of prosecution to discuss how to ensure safety and relief in our society.

2. Networking
We held a forum for the citizens on risk communication of technology at the annual conference of JSME 2013, 2014, 2015. In the forum, mechanical engineers and lawyers made presentations on human errors and risk evaluations. We also held a meeting for discussion and exchanging ideas.
We also held the special forums entitled “Expectation for Study on Law and Technology ー Cooperation of Engineers and Lawyers for Technological Safety and Relief,” in FY2014 and “Challenges of Study on Law and Technology ー Ensuring Technological Safety and Relief by Integration of Social and Natural Sciences,” in FY2015.

3. Related Research
We implemented a research on effectiveness of punishment for professional negligence toward prevention of accidents. We selected the cases of lawsuit and analyzed by viewpoint of engineers and lawyers.
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