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Press Release

大型トラック3台の隊列走行実験に成功 ―エネルギーITSプロジェクト―

自動車からのCO2排出量推計モデルも開発
2010年9月28日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 村田 成二
NEDOの、高い省エネルギー効果が期待される高度道路交通システム(ITS)の早期実用化を目指すエネルギーITS推進プロジェクトの一環として、隊列走行実験車を開発、大型トラック3台による時速80km、車間距離15mの隊列走行実験に成功しました。2012年度末までに、大型トラックと小型トラック合計4台で車間距離4mの隊列走行の実現を目指します。また、エネルギーITSの各種施策がCO2削減にどの程度寄与したかを正しく計測する評価ツールのプロトタイプも開発。今後、機能の強化と精度の検証を進め、国際的に信頼される評価方法の確立を目指します。

隊列走行実験の模様は、10月上旬に報道機関へ公開する予定です。また、評価手法に関する国際シンポジウムを、10月22日に都内で開催します。

隊列走行実験

1.背景

 我が国から排出されるCO2の約20%は自動車が排出源です。自動車交通における省エネルギー対策がますます重要な課題となっており、ITS技術を活用した環境対策や省エネルギーの研究開発が進められています。また、内閣府の社会還元加速プロジェクトは、渋滞に伴う損失や環境負荷を大きく低減し、物流コストの大幅な縮減を図ることを目標として掲げており、エネルギーITSは目標達成のための重要な施策と考えられています。

2.今回の成果

[1]大型トラック3台で時速80km、車間距離15mの隊列走行実験に成功
(自動運転・隊列走行技術の研究開発)

隊列走行プロトタイプ実験車(25トン大型トラック)を開発し、時速80km、車間距離15mでの3台隊列走行実験に成功しました。曇天や晴天、雨天、夜間等の様々な環境条件下で、自動での車線保持、車間距離制御を行い、車間距離制御精度は15m±1mを達成しています。

<特長>
 海外を含めて過去の隊列走行プロジェクトは、システムの信頼性の問題や磁気ネイル等のインフラの整備コスト等、実用上の課題が多く、実用化には至りませんでした。今回開発した隊列走行実験車は、特別なインフラ設備を必要とせず、信頼性の高い自律システムであることが特長であり、センサ系・制御系・アクチュエータ系すべてについて多重化を図っています。

<期待される効果>
 車間距離を短くして隊列走行することにより空気抵抗が低減され、約15%の省エネ効果が見込まれます(3台隊列で、車間距離4m、時速80kmの定常走行時、3台平均)。また、車間距離を詰めることで現状の道路幅員を維持したまま交通容量を増大(単位道路距離あたりの走行台数が増加)でき、交通流の円滑化効果も期待されます。
 さらに、本プロジェクトで開発した自動操舵システムや車車間通信を用いた車間距離制御システム等は、各種の運転支援システムの高度化にも転用可能であり、高齢化社会における安全で環境に優しいモビリティ確保に貢献します。

<今後の計画>
 今後、フェイルセーフECUの搭載等により制御システムの安全性・信頼性を確保し、今年度末には車間距離10mを達成できる見込みです。また、2012年度末までに、小型トラックを含めた4台隊列で車間距離4mの隊列走行を実現します。

[2]様々なITS施策適用によるCO2削減効果を評価するための評価ツール開発に成功
(国際的に信頼される効果評価方法の確立)

交通流シミュレーションモデルとCO2排出量推計モデルを組み合わせて、広域レベル(マクロ)から地区(ミクロ)レベルまで適用可能な、ITS施策の評価ツールのプロトタイプを開発しました。10月22日(金)に都内で国際シンポジウムを開催し、日米欧のこれまでの共同研究の成果の紹介と意見交換を行う予定です(詳細はNEDOホームページで後日ご案内します)。

<特長>
 交通流改善効果の評価を目的としたツールの研究事例は数多くありますが、CO2削減効果を定量的に評価するツールはありません。開発したツールは、初めて都市域から地域レベルまでを考慮可能な、ITS施策によるCO2削減効果を定量的に評価できるツールです。
 また、この中の交通流シミュレーションは、全国の都道府県道以上の全ての道路(一部、一般市道も含む)を対象として1~数秒単位で車両を走行させてシミュレーションが可能です。全国を複数の地域ブロックに分割し、グリッドコンピューティング※1で並列処理することで、計算の効率化を図っています。これまでにも都市圏レベルでの交通シミュレーションは実用例がありますが、全国規模のものは初めてで、世界的にも最大規模のものとなっています。

<期待される効果>
 各種ITS施策を適用した際のCO2削減効果を定量的に評価できるようになり、ITS施策の導入・運用・普及のためのツールとして活用できます。また、プローブ情報を利用した経路案内サービスのような広域のITS施策評価に活用できるだけでなく、注目したい地方や市町村を切り出して、より詳細な交通状況を再現し、各種の施策評価を迅速に実施することが可能となります。

期待される効果

<今後の計画>
 今後、開発したプロトタイプの機能強化と精度検証を進めて評価ツールの完成を目指すとともに、日米欧の連携により国際的に信頼できる評価基準を、2012年度末を目処に確立していきます。また、完成したツールを使用して、社会的に需要が大きく、効果が高いと考えられるITS施策から、特にニーズが大きい隊列走行、エコドライブ※2、エコルート※3をはじめとして、多くの事例についてCO2低減効果の評価を行っていきます。

3.お問い合わせ先

(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO エネルギー対策推進部 岩井、山岸 TEL:044-520-5281

(その他NEDO事業についての一般的な問合せ先)
NEDO 広報室 田窪、廣瀬  TEL:044-520-5151

(参考)用語の解説

※1 グリッドコンピューティング
 インターネット等の広域のネットワーク上にある計算資源(CPU等の計算能力や、ハードディスク等の情報格納領域)を結びつけ、ひとつの複合したコンピュータシステムとしてサービスを提供する仕組み。提供されるサービスは主に計算処理とデータの保存・利用に大別される。一箇所の計算センターや、一組のスーパーコンピュータでは足りないほどの大規模な計算処理や大量のデータを保存・利用するための手段として開発された。
※2 エコドライブ
 適切な加減速やアイドリングストップ等を行うことにより、燃料消費量やCO2排出量を削減する運転方法。
※3 エコルート
 渋滞等による燃料消費量やCO2排出量が悪化することを回避するルート。