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Press Release

大規模電力供給用太陽光発電系統安定化等実証研究北杜サイト本格運用について

2009年12月3日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
山梨県北杜市
株式会社NTTファシリティーズ
 NEDOと山梨県北杜市とNTTファシリティーズは、大規模電力供給用太陽光発電系統安定化等実証研究(北杜サイト)において、太陽光発電所としては国内初となる66kV特別高圧系統への連系が完了し大規模太陽光発電実証研究システム(太陽光発電システム容量1.8MW)の本格運用を開始した、と発表しました。
 この事業は大規模太陽光発電の将来を左右する重要な国家プロジェクトであり、この事業を通じて、大規模太陽光発電の課題を解決し、さらなる普及促進を目指します。


図1 山梨県北杜市 大規模太陽光発電所
図1 山梨県北杜市 大規模太陽光発電所

【プロジェクト名】
「大規模電力供給用太陽光発電系統安定化等実証研究 北杜サイトにおける大規模電力供給用太陽光発電系統安定化等実証研究」
 実証期間:平成18年度~平成22年度
【設置場所・規模】
設置場所: 山梨県北杜市長坂町夏秋及び塚川地内
全体用地面積: 約10ha
太陽光発電システム容量:1.8MW(第1期600kw+第2期1200kw)

1.背景

 太陽光発電は地球温暖化対策の一つとして普及が期待されるものの、天候によって発電量が変動するため、電力系統の品質に悪影響を与えることが懸念されています。また、太陽電池の種類によっても発電特性が異なるため、各種太陽電池の特性を明らかにすることも重要となっています。これらを背景にNEDOでは電力系統に悪影響を与えないとともに、様々な太陽電池で構成される大規模太陽光発電所を北杜サイト(北杜市、NTTファシリティーズ)と稚内サイト(稚内市、北海道電力)に構築し研究を進めています。今回、北杜サイトにて太陽光発電所としては国内初となる66kv特別高圧系統への連系が完了し、本格的な運用を開始しました。

2.北杜サイトの特徴

 北杜サイトでは、太陽光発電にとって重要な日照時間が日本一の北杜市にて、世界初となる複数の系統安定化技術を具備した国内最大級のパワーコンディショナ(※1)(以下、PCS)、導入種類数としては世界一となる24種類の太陽電池、及び環境性に優れた先進的架台から構成される約2MWの大規模太陽光発電システムを構築・評価しています。
 この事業では運用データを基に事業性や環境性を評価し、大規模太陽光発電事業が成り立つことに目処をつけるとともに、大規模太陽光発電所の導入指針となる手引書を作成し、NEDOにてそれら成果を一般に公開することにより、今後の太陽光発電の普及に貢献します。

【研究体制】

研究体制図

【主な研究内容】

  • 〔1〕世界初となる複数の系統安定化技術を具備した国内最大級のPCS
     電力系統の品質に悪影響を与える要因として、太陽光発電の連系に伴う、系統電圧の変動、高調波の発生、瞬時電圧低下時における運転停止などがあります。いずれも系統から電力供給される各種機器に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、照明や映像機器のちらつき、回路の焼損等が懸念されます。
     この研究では、系統安定化技術(※2)として、電圧変動抑制技術(※3)、高調波抑制技術(※4)、瞬低時運転継続技術(※5)を開発しました。

  • 〔2〕太陽電池の導入種類数としては世界一となる大規模太陽光発電システム
     太陽電池には様々な種類があり、それぞれ太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する効率、温度や光の波長の違いによる出力特性、価格、パネルサイズ、外観などが異なります。そこで、国内外9カ国から24種類の先進的な太陽電池を導入し、システム単位、モジュール単位で評価しています。また、太陽を追尾することにより、発電量の向上が可能な追尾システムも導入評価しています。
     通常、一つのシステムにおいて多種の太陽電池を適用すると電気的バランスが悪くなるため、同一サイト内に多種のモジュールを設置している事例は少なく、北杜サイトのように20種類以上の太陽電池が設置されている事例は世界的にも確認されていません。評価結果を基に温暖地域、寒冷地域、各種傾斜角度、部分的な日陰などあらゆる設置条件に対応した太陽電池の選定が可能となります。また、北杜サイトを訪れれば、現在市場に出ているほとんどのモジュールが見学できるため、太陽電池に関する教育の場として、これ以上のサイトはありません。
     (主な導入種類:結晶系シリコン(単結晶、多結晶、HIT、球状、リボン、バックコンタクト)、アモルファス系(単層タイプ、微結晶積層タイプ)、化合物系(CIGS、GaAs))

  • 〔3〕環境性に優れた先進的架台(※6)
     太陽電池を載せる架台として、コンクリート基礎に大きなアングルを組んだ架台が一般的です。今回新たに開発した先進的架台は、杭を地面に打つ杭工法を採用するとともに、市販の鋼管を特殊な冶具で組んだ架台となっています。これにより、製造に伴う二酸化炭素排出量を従来に比べ約40%削減可能となりました。また、土壌には穴を空けるだけですので、残土も少なく、緑も残り、土壌への影響も少なくなりました。さらに、太陽電池のサイズに併せてフレキシブルに取り付け部分の鋼管幅を変更可能な汎用性の高い架台となっています。

3.お問い合わせ先

(本プレス発表の内容についての問い合わせ先)
 山梨県北杜市 生活環境部環境課
  TEL: 0551-42-1341(環境課直通)
 株式会社NTTファシリティーズ 総務部 広報室
  TEL: 03-5444-5112

(本事業内容についての問い合せ先)
  NEDO 新エネルギー技術開発部 系統連系技術グループ
 仲間、渡辺 TEL: 044-520-5274

(その他NEDO事業についての一般的な問合せ先)
  NEDO 広報室
 坂本、萬木(ゆるぎ) TEL: 044-520-5151

 この事業については、株式会社NTTファシリティーズ公式ホームページのMEGA SOLARにも掲載しておりますのでご参照ください。

4.用語解説

  1. パワーコンディショナ:
     太陽光発電で発電した電気は直流であり、電力系統へこの電気を流す際、電気系統が必要とする交流に変換する機能、気象条件に応じて太陽電池の出力を最大化する機能、系統連系における各種保護機能を具備した装置。
  2. 系統安定化機能:
     電圧変動抑制技術、高調波抑制技術、瞬低対策技術によって、太陽光発電の出力変動が電力系統の品質に与える影響を抑制する機能。
  3. 電圧変動抑制技術:
     太陽光発電の出力変動により生じる電圧変動は、発電出力の有効電力および無効電力の制御により抑制することができる。この研究では有効電力ではなく、PCSが発生する無効電力を制御することにより電圧を安定化する制御方式を開発した。
  4. 高調波抑制技術:
     電力系統における高調波発生要因として、系統電圧の歪みやPCSのスイッチング遅れなどが考えられる。この研究では、高速電流制御によって、交流出力電流を正弦波に制御するとともに、系統電圧に含まれる高調波電圧を検出し、これをもとにインバータ出力電圧を調整することによって、系統電圧高調波に起因した交流出力電流高調波を抑制する技術を開発した。これにより、発生高調波が高調波ガイドラインの規定値よりも更に低い値となるように制御している。
  5. 瞬低時運転継続技術:
     系統電圧の瞬時的な低下に伴い、従来のPCSは約20%の低下で停止する。しかし、大容量のPCSの場合、同様に停止してしまうと系統電圧の変動を更に変動させることが考えられる。この研究では、高速位相検出方式によって、交流過電流を抑制するとともに、瞬低中の入出力エネルギーバランス制御によって、直流過電圧を抑制することにより、系統電圧40%低下時まで運転継続性を高めることによって系統事故時の系統安定性向上を図る技術を開発した。
  6. 先進的架台:
     基礎部分には引抜抵抗力を有する鋼管杭を用いた杭工法を、支柱部分には鉛直力と水平力の両方を負担可能なV型支柱を適用した太陽電池固定用の架台。従来架台のようなコンクリート基礎、基礎上部の水平材が不要なため、建設時の発生残土や撤去時の不要コンクリートといった産業廃棄物をほとんど発生させない架台。