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Press Release

高機能フッ素処理剤を開発、建築用石こうボードのリサイクルに道

2011年8月10日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
チヨダウーテ株式会社

 NEDOのイノベーション推進事業の一環として、チヨダウーテ株式会社が袋布昌幹(たふまさもと)富山高等専門学校准教授と共同で高機能フッ素処理剤の開発に成功、販売を開始しました。
 商品名は「Fクレスト」。少量の添加でフッ素を不溶性にして安定化させる力を持っており、フッ素を含むためにリサイクルが難しかった建築用の石こうボードの処理などに有効です。廃石こうは「Fクレスト」を添加した状態で土壌固化材としての使用が可能となります。「Fクレスト」単独でも、フッ素を含む排水の浄化等に用いることができます。
 なお、NEDOでは基礎段階から実用化までの支援を行っており、今回の成果は産業技術研究助成事業(若手グラント)の技術シーズを実用化につなげたものです。

1.背景

 建築材料に大量に使われている石こうボード廃材は年間約100万トン以上が排出されていますが、ほとんどがリサイクルされていない状況にあります。廃石こうをリサイクルする場合には、フッ素の溶出を防ぐ手段が求められます。これまで、フッ素の溶出を防止する有効な技術が実用化されておらず、リサイクルする上での障壁となっています。
 また、フッ素は先端技術産業において様々なかたちで広く利用されており、土壌や排水の汚染が問題となっています。

2.今回の成果

 チヨダウーテ(株)及び共同研究先である富山高等専門学校・袋布昌幹准教授は、リン酸カルシウムの一種であるリン酸水素カルシウム二水和物がフッ素化合物と反応して、溶け出しにくい性質を持つフッ素アパタイトに転化することに着目しました。リン酸カルシウムは骨や歯の主成分であり、歯にフッ素が固定化されやすいことに着目した結果でもあります。
 またフッ素の処理剤としての性能を向上させるため、リン酸水素カルシウム二水和物の粒子表面に高い反応性を有するナノ表面構造を誘起させることに成功しました。

  • Fクレスト外観
    Fクレスト外観
  • Fクレスト表面の電子顕微鏡写真
    Fクレスト表面の電子顕微鏡写真

 廃石こうと「Fクレスト」を用いて土壌固化材を作るには、まず粉末状にした廃石こうに少量の「Fクレスト」を混合します。それによって廃石こうそのものに含まれているフッ素の溶出を抑制でき、廃石こうを用いたことによって土壌が汚染されないようにすることができます。「Fクレスト」の添加を増量すれば、フッ素で汚染された土壌の浄化も可能となります。従来の土壌処理法では処理後の土壌のpHがアルカリ性となることが多かったのに対し、「Fクレスト」による処理ではそのようなことがないことも優れた点です。
 また、フッ素で汚染された排水の処理に使用した場合には、生成したフッ素アパタイトの沈降性と濾水性の高さのために、硫酸バンド等従来の処理剤を用いた場合よりも汚泥が凝縮され、結果として発生量を約1/3に抑えることが出来ます。
 これらのことから、「Fクレスト」は廃石こうのリサイクルや建設汚泥の安心・安全なリサイクルシステム構築等のほか、フッ素が含有された排水の処理等への応用にも有効な技術と考えています。

  • Fクレストの使用例 : 廃石こう粉を土壌固化材に使用する場合の処理工程図
    Fクレストの使用例 : 廃石こう粉を土壌固化材に使用する場合の処理工程図

3.今後の予定

 チヨダウーテ(株)は今回開発に成功したフッ素不溶化剤「Fクレスト」を本年8月より販売を開始しています。またこれを用いて土壌、廃石こうのみならず、工場排水やその他廃材の中のフッ素の不溶化を必要とする分野に本技術を展開し、需要拡大を行っていきます。当面の売上高として約30億円を目指します。

4.お問い合わせ先

(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)
 チヨダウーテ株式会社 環境事業本部 担当: 藤田、中野 TEL: 059-361-4976

(NEDO制度内容についての一般的な問い合わせ先)
 NEDO 技術開発推進部 イノベーション実用化推進グループ  担当: 平山、高橋 TEL 044-520-5173

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
 NEDO 広報室 担当: 田窪、遠藤 TEL: 044-520-5151 E-mail: nedo_press@ml.nedo.go.jp