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Press Release

インジウム代替・酸化亜鉛で鮮明画像を実現

―液晶TV向け透明電極でインジウム削減率50%を超える―
2011年9月30日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
公立大学法人高知工科大学

 NEDOは、希少金属インジウム(※1)を基材とした液晶ディスプレイテレビ用透明電極(※2)(ITO)の代替として期待される酸化亜鉛(※3)透明電極(ZnO)の早期実用化を目指す希少金属代替材料開発プロジェクトにおいて、ZnOを共通電極(※4)として実装した20インチ型LEDバックライト液晶ディスプレイテレビを試作し、連続駆動評価試験を実施しました。希少金属インジウムの使用量を50%以上減らすと共に、鮮明な画像を実現、青・緑色の画像がより一層クリアに成りました。
 酸化亜鉛透明電極は、インジウム透明電極に比べ透明性が高いうえ、室温などの低温条件下での製造も可能でもあり、資源問題だけではなく、エネルギー問題への貢献も期待が高まります。今回の技術開発の成功により、液晶ディスプレイテレビ用透明電極で希少金属インジウムの使用量を50%以上削減する技術の目途が立つと共に、将来は希少金属インジウムを全く使わない液晶ディスプレイテレビの実現も期待されます。
 なお、今回開発した成果は10月5日から幕張メッセで開催されるCEATEC2011に出展する予定です。

  • 説明画像

1.背景

 希少金属の一つであるインジウムは、液晶テレビやノートPC等の液晶ディスプレイパネルの透明電極で多く使われている元素です。しかしながら、透明電極を使う製品需要の拡大が見込まれる一方で、インジウムの供給は限られているため、その使用量削減技術あるいはインジウムを用いない透明電極の開発が求められています。

2.今回の成果

酸化亜鉛透明電極を実装し、希少金属インジウムの使用量を50%以上削減した液晶ディスプレイテレビの試作に成功。
 酸化亜鉛透明電極を共通電極として実装した20インチ型LEDバックライト液晶ディスプレイテレビを開発、試作しました。試作テレビでは、“共通電極はインジウム代替率100%”となり、画素電極と合わせて、希少金属インジウムの使用量を50%以上減らす技術開発に成功しました。
 酸化亜鉛透明電極はインジウムを基材とした透明電極よりも透明性能が高く、パネルのバックライトからの光も効率よく通します。インジウム基材の透明電極は光の色によっては透明性能が落ちますが、酸化亜鉛透明電極にはそのような問題がなく、色が鮮明です。またパネル連続駆動評価試験を実施し、パネル機能の信頼性も確認しました。
 今回の研究開発の成功により、インジウム代替の域を超え、特徴のある大型液晶ディスプレイテレビの実用化に対して、技術的な目途が立ちました。

3.今後の予定

 酸化亜鉛透明電極(導電膜)は液晶ディスプレイテレビだけではなく、環境・エネルギー問題の解決策として期待される薄膜太陽電池や、センサー(ガスセンサー、紫外線センサーなど)、タッチパネル、電磁波シールドなどにも応用が可能です。また、ガラス基板だけではなく、軽量でかつ衝撃に強いプラスチック基板を使用したフレキシブルデバイスへの適用も考えて、低温成膜技術の開発を行うほか、低プロセスコスト装置開発を行っていきます。

4.お問い合わせ先

(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 電子・材料・ナノテクノロジー部 担当: 坂井、桐原 TEL: 044-520-5220
高知工科大学 担当:山本哲也 TEL: 0887-57-2180

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報室 担当:田窪、遠藤  TEL: 044-520-5151 E-mail: nedo_press@ml.nedo.go.jp

【参考:用語解説】

※1 インジウム:
 インジウムの多くは、閃亜鉛鉱や方鉛鉱などから、亜鉛、鉛を取り出す際の副生成物として得られる。インジウムは希少金属であり、かつ生産地の寡占性(主に中国)から、需要に対する供給量の逼迫といった課題を抱える。

*2 透明導電極:
 透明電極は、液晶シャッタによる光のON/OFF、といった駆動を支える重要部材である。前記駆動には、液晶を挟み込む2枚のガラス基板に電極(共通電極と画素電極、と呼ばれる)を付け、電圧をかける。電極といっても通常のアルミなどの金属電極では光を通すことができないので、液晶ディスプレイ独特の透明電極が使用される。
 従来の透明電極は、希少金属インジウム(In)とスズ(Sn)の酸化物である ITO(Indium Tin Oxide)と呼ばれる材料が国内外問わず使われており、スパッタリング法などにて成膜される。

*3 酸化亜鉛:
 金属亜鉛の酸化物。原料価格が安く、多くの生産地がある。亜鉛はミネラルの一種で新陳代謝に必要な物質であり、酸化亜鉛は人体への毒性がない。インジウム基材の透明電極よりも透明性能が高い。

*4 共通電極:
 液晶デイスプレイテレビ内では透明電極にはカラーフィルタ(CF)側にある共通電極と薄膜トランジスタ(TFT: Thin Film Transistor)側にある画素電極との2つがある。一般に共通電極の膜厚は画素電極よりも厚い。