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Press Release

1平方インチあたり5テラビットとなるHDDの要素技術を開発

―ストレージの大幅省エネ化可能に―
2012年2月29日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
国立大学法人東北大学

 NEDOのグリーンITプロジェクト ※1と文部科学省のプロジェクト※2の成果として、1平方インチ当たり5テラビットの超高密度記録ハードディスクドライブ(HDD)システムの実現の道をひらく要素技術の検証に成功しました。これによりHDDの記憶容量を現在の約8倍に高めることが出来、プロジェクトの目標である1/50以下の大幅な単位容量あたりストレージの省電力化も達成可能となりました。
 今回、文部科学省プロジェクトではHDDシステムの省エネ技術を開発、さらに20nm以下の大きさのビットパターン媒体※3を試作して情報を記録再生する実験を通じて5テラビットのための要素技術を提案し、NEDOプロジェクトではこれを実現するためのコア技術であるビットパターン媒体の円周配向技術※4ならびに5テラビットの媒体加工技術、エネルギーアシスト記録※5時の耐熱高信頼性技術、高精度位置決め技術、各要素技術のHDDシステム統合化基本技術などの検証に成功しました。
今後は、この新方式により、超高密度垂直磁気記録技術と情報ストレージの省エネ技術のイノベーション実現につなげていきます。
 なお、NEDOと東北大学は3月12日、中央大学駿河台記念館でプロジェクトの合同成果報告会を開催、この技術の詳細を発表する予定です。

  • ※1 高密度ナノビット磁気記録技術の開発。
  • ※2 高機能・超低消費電力コンピューティングのためのデバイス・システム基盤技術の研究開発。東北大学が推進。
  • ※3 ビットパターン媒体:表面を微細加工してビットごとにパターン化した磁気記録媒体。
  • ※4 円周配向技術:磁気記録媒体の円周状のトラックに沿って自己組織化材料を配向させる技術。
  • ※5 エネルギーアシスト記録技術:外部からエネルギーを与えて磁気ヘッドの媒体への信号記録性能を向上する技術。

1. 背景

 経済産業省によると、データセンタなどの情報機器の消費電力量は2025年には現状の5倍に増える見通しで、一層の省エネが求められています。これに対し文部科学省の委託で東北大を中心に産学連携で「高機能・超低消費電力コンピューティングのためのデバイス・システム基盤技術の研究開発」プロジェクトを、NEDOの委託で、株式会社日立製作所 、株式会社東芝などが「超高密度ナノビット磁気記録の研究開発(グリーンITプロジェクト)」を推進しています。これまで文部科学省プロジェクトでは高密度記録方式とストレージシステム技術を、NEDOプロジェクトではHDDの要素部品技術・量産技術を、それぞれ有機的に連携してHDDの大容量化によって情報ストレージの大幅な省電力化を可能とし、低炭素化社会を実現、産業競争力の早期強化に資するため、次世代垂直磁気記録技術の研究開発を推進してきました。
 これまで、現在のHDDの約4倍の記憶容量となる2.5テラビット級の次世代磁気記録基本技術として、東北大プロジェクトでは、ビットパターン媒体磁気記録に関する記録方式と材料技術を中心に2テラビット対応の磁気記録基盤技術を2009年に、またNEDOプロジェクトでは、ビットパターン媒体のパターン微細化技術、ビットパターン媒体へのエネルギーアシスト磁気記録に関する記録再生デバイス技術、高精度位置決め装置技術などを中心に、2.5テラビットに対応する記録密度の磁気記録基本技術を2010年に開発しています。

2. 今回の取り組み・成果

 今回、現行のHDDの約8倍の記憶容量を可能とする5テラビット級次世代磁気記録基本技術の実現に向けて、両プロジェクトでは連携を深めながら、以下の技術を開発しました。

(1)文部科学省プロジェクトの取組み

【記録再生系技術】
 ビットパターン媒体の記録再生設計技術を開発し、20 nm以下の微細ビットを形成したサンプルの試作と新規記録特性測定法を駆使した原理検証実験を行いました。本記録方式に熱アシスト記録を併用することにより5テラビットの記録性能が可能であることを明らかにしました。

【ヘッド・媒体技術】
 2テラビット対応の高い磁界強度と勾配を有する記録ヘッドの磁極構造提案と微細加工技術を開発しました。高感度再生ヘッドにはスピン蓄積センサ(※1)の検討を加えました。記録媒体技術として微細ドットパターン用記録膜と熱アシスト記録用薄膜材料を開発し,加熱時の磁気基本特性の評価を行いました。

【ストレージシステム技術】
 HDDは電源をオフしても情報を失わない性質を利用した従来の省電力技術を発展させ、新規の「予知型2次元データ配置」アルゴリズム(※2)を用いることで、高速転送性能を保ってシステム消費電力を従来の半分に省電力化するストレージシステム技術を開発しました。

(2)NEDOプロジェクトの取組み

【ビットパターン媒体加工技術】
 磁性ドットをディスクの周方向に沿って配列させる誘導自己組織化技術を開発しました。磁性ドットでデータ部とサーボ信号部を同時に形成する技術を確立し、HDDヘッドの制御動作に成功しました。加工サイズの微細化も進め、5テラビットに対応する直径約7ナノメートルの磁性ドット加工に成功しました。

【エネルギーアシスト記録技術】
 これまで、直径20 nm以下の極微小光スポットを生成できる近接場光素子(※3)によるエネルギーアシスト記録ヘッドの開発に成功していましたが、今回、ダイアモンド状極薄保護膜をディスク全面に均一に形成し、表面潤滑剤のとの結合性を高めることにより、エネルギー照射時の耐熱信頼性を確保しました。

【高精度位置決め装置技術およびディスク装置化技術】
 ビットパターン媒体技術、エネルギーアシストヘッド技術、高感度・高分解能再生ヘッド技術、情報の記録再生技術に加え、NEDOプロジェクトでは、HDD装置内の流体振動低減構造、MEMS(※4)アクチュエータなどを開発、2.5型磁気ディスク装置技術としての見通しを得ました。

3. 成果報告会概要

日時: 2012年3月12日 13時00分~17時00分
会場:  中央大学 駿河台記念館 3階 370号室
主催:  独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
     国立大学法人東北大学

  • 詳細は別紙「次世代大容量省電力ストレージ技術のための革新的技術開発」をご参照ください。

4. お問い合わせ先

(本プレス発表の内容についての問い合わせ先)
 NEDO 電子・材料・ナノテクノロジー部 担当: 松岡、木村
 TEL: 044-520-5211 FAX: 044-520-5212

 国立大学法人東北大学 電気通信研究所 担当: 村岡 裕明
 TEL: 022-217-5456

(その他NEDO事業についての一般的な問合せ先)
 NEDO 広報室 担当: 田窪、遠藤
 TEL: 044-520-5151

【用語解説】

  • (※1)スピン蓄積: 非磁性体を磁性体と接触させて電流を流し、電子のスピンを非磁性体に蓄積して磁性体のような性質を持たせる現象。
  • (※2)予知型2次元データ配置アルゴリズム: HDDへの情報の読み書きの発生を予測して電源のオンオフを制御する技術。
  • (※3)近接場光素子: 物質の極表面など光の波長よりも微小な領域に局在した光波を発生させる素子。
  • (※4)MEMS: Micro Electro Mechanical System。アクチュエータを一つのシリコン基板などの上に集積化したデバイス。

資料

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