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Press Release

「割れない」「壊れない」高強度鋼板の溶接技術を開発

―「2012 国際ウエルディングショー」で展示―
2012年4月5日
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川一夫

 NEDOは、2007年度から2011年度まで実施した「鉄鋼材料の革新的高強度・高機能化基盤研究開発プロジェクト」において、従来困難であった高強度鋼板を溶接する新技術を世界で初めて開発しました。
 高強度鋼板は、従来、溶接部の強度や靱性を高めるには施工条件に制約が多く、その用途が限定されてきました。今回、世界で初めて純アルゴンガス雰囲気中で安定して溶接できる「クリーンMIG溶接技術※1」を開発し、高強度鋼板を高い強度・靱性で安定して溶接することに成功しました。
今回開発した革新的溶接技術が今後実用化されることで、高強度鋼板の用途が大きく広がり、産業の発展や、安心・安全で省エネルギーな社会の実現に貢献することが期待されます。

 これらの成果は、4月11日(水)からインテックス大阪で開催される「2012国際ウェルディングショー」で展示します。NEDOブースでは、上記「クリーンMIG溶接技術」をロボットを用いた実演や、開発した溶接技術を実構造物に適用した「橋梁向け大型模擬構造体(モックアップ)」を展示するほか、「レーザ・アークハイブリッド溶接技術※2」、「水素脆化※3」を含め19テーマの成果及び試作物を展示します。

※1 MIG溶接(Metal Inert Gas welding)
電気の放電現象(アーク放電)を利用したアーク溶接のうち、アルゴンやヘリウムなどの不活性ガスを シールドガスとし,消耗式電極としてワイヤを用いる溶接法。
※2 レーザ・アークハイブリッド溶接
半導体等のレーザ光源を集光し材料に照射することで溶融するレーザ溶接とアーク溶接を併用した 溶接法。両者の欠点を補完しあうことで、高い性能を出すことが可能です。
※3 水素脆化
水素により鋼材が脆くなる現象。鋼材や溶接材料または雰囲気より侵入する水素により、溶接部の強度 が極端に低下し割れなどが生じます。

1.背景

 高い強度を持つ「高強度鋼板」は、日本鉄鋼業が強みを持つ分野であり、橋梁・建築・輸送機器など、幅広い産業への適用が期待されています。これら構造物を創るためには、高強度鋼板の溶接技術の革新が不可欠です。そのため、溶接技術の開発に取り組み、革新的なアイデアによって高強度鋼継手の強度や靱性といった性能を抜本的に向上する新技術を開発しました。

2.本出展における成果概要

(1) 世界初のクリーンMIG溶接技術の実演を行います。

 構造物の破壊の要因となる不純物の少ない溶接部を安定的に創り出すため、純アルゴンガス雰囲気中での「クリーンMIG溶接技術」を開発しました。具体的には、(1)内側と外側で融点の異なる材料を用いた「同軸複層ワイヤ溶接法」、(2)溶接部周囲に電離プラズマガスを作る「電離プラズマMIG溶接法」という2つの手法を開発しました。展示会では、「クリーンMIG溶接技術(同軸複層ワイヤ)を用いた溶接」の実演を実施します。

  • 図1:従来技術と開発技術におけるMIG溶接部の比較
    図1:従来技術と開発技術におけるMIG溶接部の比較

(2)橋梁向け大型模擬構造体(モックアップ体)の展示を行います。

 今回開発した溶接技術の実用性、施行性を確認するため、鋼構造物の代表的な継手要素である「突き合せ継手」「すみ肉溶接継手」を有する模擬構造体(モックアップ)を設計、製作しました。
 展示会では、「クリーンMIG溶接技術」及び「レーザ・アークハイブリッド溶接技術」、それぞれにより製作された橋梁モックアップの展示を行います。

  • 図2:クリーンMIG溶接により製作された橋梁モックアップ
    図2:クリーンMIG溶接により製作された橋梁モックアップ
  • 図3:レーザ・アークハイブリッド溶接により製作された橋梁モックアップ
    図3:レーザ・アークハイブリッド溶接により製作された橋梁モックアップ

3. 2012国際ウエルディングショー 全体概要

名称 : 2012国際ウエルディングショー
日時 : 2012年4月11日(水)~14日(土) 10時~17時
会場 : インテックス大阪 1号館~5号館
主催 : 社団法人日本溶接協会、産報出版株式会社
予定来場者数 : 100,000人
展示規模 :約200社
入場料 : 1,000円 (団体・学生500円) ※事前登録により無料

4.お問い合わせ先

(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 電子・材料・ナノテクノロジー部 担当:一色、松井 TEL:044-520-5220
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報室 担当:田窪、遠藤  TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp