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Press Release

米ニューメキシコ州でスマートグリッド実証を開始

―サイトが完成、17日に運開式―
2012年5月9日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川一夫

 NEDOが、米国ニューメキシコ州で同州政府等と共同で取組んでいる日米スマートグリッド実証プロジェクトのうち、アルバカーキにおける商業ビル実証サイトが完成、本格的な実証に着手します。海外におけるNEDOのスマートコミュニティ事業の中で実証運転に入る最初のケースとなります。5月17日(木)に現地で運開式を行ないます。

 このプロジェクトは、出力の不安定な再生可能エネルギーが大量に配電系統へ導入された際の課題を、既存電力設備と協調しつつ解決するスマートグリッドの実証が目的です。世界でもまれに見る低炭素で高品質な電力を供給するサイトであり、震災後注目される「電力系統からの要求に応じることが可能、かつ、非常時には自立運転も可能」なスマートビルの実証も含んでおります。
 またスペイン・マラガ市では、NEDO古川理事長とデ・ラ・トーレ市長との間で、協力協定(MOU)の署名を5月25日(金)に現地実証サイト(マラガ市)にて行ないます。

1.背景

 2050年には世界の人口は90億人を突破し、そのうち70%は都市に住むという「都市化」が進展すると言われています。このような状況の中、エネルギー消費量の増大、都市化による交通渋滞や廃棄物問題、人口構成の大きな変化に伴う高齢化の問題など、地球規模での課題の解決に向け、エネルギーを効率的に利用する環境に優しいスマートな社会システムの実現、すなわち「スマートコミュニティの構築」が重要な課題となっております。
 NEDOは、これまで再生可能エネルギーの開発や導入に向けた様々な課題解決に取り組んでいること、また、スマートコミュニティの構築が「まちづくり」といった公的機関の役割が期待される分野であること、海外政府機関との協力関係の構築が必要なことから、我が国企業の技術の海外展開をバックアップすべく海外における実証事業を進めるとともに、国が展開する国内4実証事業とも連携して、JSCAを通じた国際標準化活動などを推進しています。

  • )JSCA(ジャパン・スマートコミュニティ・アライアンス)は、スマートコミュニティ構築に向けて業界の垣根を越えて経済界全体としての活動を企画・推進するとともに、行政ニーズの集約、障害や問題の克服等の共通課題に取り組むために平成22年4月に設立した団体。事務局はNEDOが務める。

2.実証事業の概要

(1)日米スマートグリッド実証事業および運開式について

 本事業は、NEDOが米ニューメキシコ州政府および米連邦政府エネルギー省(DOE)傘下の国立研究所(ロスアラモスおよびサンディア)などと協力して行うスマートグリッドの共同プロジェクトです。NEDOはニューメキシコ州政府が、州内5カ所で行うスマートグリッド実証プロジェクトのうち、ロスアラモス郡とアルバカーキ市の2カ所で連携し、スマートグリッドに関する実証を展開します。新エネルギーの導入拡大、省エネルギーの推進に向け、日本国内では実証研究が難しい技術(デマンドレスポンス、屋外における高速PLCによる通信等)を実証し、世界各国で急速に概念整理が進むスマートグリッドの標準化活動へ参画すること、また日本のスマートグリッド関連技術の海外への展開を目的に、日米共同事業として2009年度より実証事業を進めて参りました。
 本事業は、〔1〕スマートグリッドの中でデマンドレスポンスを行う構成要素としてのスマートビル(太陽光発電による変動の吸収、また非常時(停電など)に自立運転が可能な、世界でも稀にみる低炭素・高品質電力供給システムを有する高機能ビル)の実証、〔2〕蓄電池とデマンドレスポンスを組み合わせた太陽光発電の導入比率が高い配電系統における実証、〔3〕デマンドレスポンスを行う都市の構成要素としてのスマートハウス(太陽光発電の予測と電力系統側からのデマンドレスポンス信号を考慮した世界最高水準のシステム)の実証から構成されています。
 アルバカーキにおいては、〔1〕スマートビルの実証を行います。電力会社の要請に応じて、ピークシフトを行ったり、場合によっては逆潮流(電力を使用するのではなく、逆に供給する)を行ったり、非常時においては系統から切り離した独立運転の実証も行うこととしており、マイクログリッドの実証としては世界最高レベルのものであります。
 この度、サイトの一つであるアルバカーキ市での実証サイトが完成し、実データ取得に向けた運転が開始されます。これに先立ち、現地サイトにて、次のとおり運開式を行います。
日時:
2012年5月17日(木)9時30分~12時00分(9時00分受付開始、米国マウンテンタイム)
会場:
Mesa del Sol Aperture Center
所在地:
5700 University West Blvd SE Albuquerque, NM 87106
  • )情報通信技術を用いて、電力の需要・供給を効率的に制御する次世代電力網の総称で、エネルギーの有効利用を図り、また、新エネルギー大量導入時にも安定した電力供給を実現する技術です。

  • 米国ニューメキシコ州における日米スマートグリッド実証事業アルバカーキ市での実証事業の概要
    米国ニューメキシコ州における日米スマートグリッド実証事業
    アルバカーキ市での実証事業の概要

(2)スペイン・マラガ市スマートコミュニティ実証事業およびMOU署名式について

 本事業は、マラガ市及び現地企業コンソーシアムと連携しつつ、今後のEV(Electric Vehicle)の大量導入・普及時に対応するEVインフラ(充電器およびそれらを管理する管理センター)とEV給電安定化に必要な電力システムに関する実証を目的とするものです。本事業はジャパン・スペイン・イノベーションプログラム(JSIP)に基づき、日本とスペインの協力事業とし実施することを予定しております。具体的には、EVユーザーの走行履歴や充電地点誘導などの行動変革を計算し、データを蓄積することで、EVにかかわるステークホルダーを調整する事業を実証します。また、その蓄積したデータを基に新たな総合サービスシステムの実証も行います。
 この度、NEDOとスペイン・マラガ市は、当該事業を推進していくことに合意し、協力協定書(MOU)の署名を5月25日(金)現地実証サイトであるスペイン・マラガ市において行ないます。

・日本側コンソーシアム:
三菱重工業株式会社、三菱商事株式会社、株式会社日立製作所
・スペイン側コンソーシアム:
ENDESA S.A.、ENDESA DISTRIBUCIÓN、Enel Energy Europe、 ENDESA ENERGÍA、SADIEL、TELEFÓNICA I+D
  • )2008年12月スペイン政府・産業技術開発センター(CDTI)と独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との間に締結された技術開発協力協定に基づくジャパン・スペイン・イノベーションプログラム。日本の企業・大学・研究機関とスペインの企業が合意して行う、実用化を目指した製品、プロセス、またはサービス等の国際共同技術開発プロジェクトの提案に対して、日本側はNEDO、スペイン側はCDTIが、それぞれの採択基準に従って財政支援を行うことにより、両国間の共同技術開発を強化・推進することを目的とします。

  • スペイン・マラガ市スマートコミュニティ実証事業の概要
    スペイン・マラガ市スマートコミュニティ実証事業の概要

3.今後の予定

 スマートコミュニティは様々な機器で構成される総合システムであり、システム全体の最適化といった視点で取り組むことが重要です。また、地域ごとの事情や技術の進歩に応じてシステム構成が変化するといった特徴があります。
 本実証事業を通じて、様々な技術の最適な組み合わせた総合システムである「スマートコミュニティ」において重要となる、個々の技術を連結しシステムとして最適に制御するインターフェイスや、スマート化の指標などの開発を行なうとともに、その国際標準化に関する取り組みを官民一体となって促進するとともに、システムインフラ輸出の促進にも繋げていきます。

4.お問い合わせ先

(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)
 NEDO スマートコミュニティ部 古川、後藤、吉川
 TEL 044-520-5269     E-mail: suma_press@nedo.go.jp

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
 NEDO 広報室 遠藤
 TEL 044-520-5151     E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp