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Press Release

災害対応ロボット開発の最新成果を初公開

―先行探査型移動ロボット「Sakura(櫻)」、災害対策用ロボットスーツHAL® の2種類を開発―
2012年10月12日
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
学校法人千葉工業大学
株式会社移動ロボット研究所
CYBERDYNE株式会社

 NEDOの「災害対応無人化システム研究開発プロジェクト」で、千葉工業大学および株式会社移動ロボット研究所のグループと、CYBERDYNE株式会社は、それぞれ異なるコンセプトによる最新の災害対応ロボットを開発しました。
 千葉工業大学と移動ロボット研究所は、これまでに開発された「Quince(クインス)」、「Rosemary(ローズマリー)」の後継機として、狭隘・過酷な環境下にある設備内においても、現場環境の調査を可能とする高踏破性を有した、先行探査型移動ロボット「Sakura(櫻)」を新規に開発しました。
 CYBERDYNEは、作業員の立ち入りが困難な過酷環境下においても、作業員の安全・健康を確保しつつ、より安全に有人作業を行える最新の災害対策用ロボットスーツHAL®を開発しました。
 これらのロボットにより、災害現場や重大事故等の過酷環境下で、速やかな状況把握や復旧活動の実施が期待されます。

  • 先行探査型ロボット「Sakura」
    先行探査型ロボット「Sakura」
  • 災害対策用ロボットスーツHAL®
    災害対策用ロボットスーツHAL®

 なお、開発されたロボットは、2012年10月17日(水)より開催される、「Japan Robot Week 2012」にて一般公開いたします。

1.背景

 これまで我が国においては、災害時に無人で対応できるロボットの開発が行われてきましたが、東日本大震災(2011年3月)以降、様々な災害現場に対応可能な汎用性、迅速に投入可能な機動性、過酷環境下での耐久性等の課題があることが明白となりました。
 そのため、これらの課題を踏まえ、様々な災害や重大事故等に対し、我が国の災害対応ロボットの技術水準のより実践的な向上を図り、災害対応技術の強化を図るとともに、実際の被災現場における有効な対応手段として活用することが必要となっています。
 そこで、NEDOでは平成23年度より、災害や重大事故等によって家屋、産業・公共施設等が被災し、作業員の立ち入りが困難となった状況において、速やかに状況把握、機材等の運搬、復旧活動を行うための災害対応ロボットの開発として「災害対応無人化システム研究開発プロジェクト」を実施しています。

2.今回の成果

〔1〕先行探査型移動ロボット「Sakura(櫻)」を開発
 (学校法人千葉工業大学、株式会社移動ロボット研究所)

 「Sakura(櫻)」は、最も探査活動が困難とされる地下施設内等での情報収集を目的に設計し、製作された小型の先行探査型移動ロボットです。現在、実際の被災現場である福島第一原子力発電所原子炉建屋内への投入が期待されております。その中で、具体的にSakuraに求められているミッションとしては、建屋内の地下部分の格納容器、圧力抑制室、その間をつなぐ配管等における損傷の有無と、冷却水漏洩カ所の特定があります。また、原子炉建屋壁面、床面の汚染水漏洩カ所の特定があります。そのほかにも施設全体の保全状態、詳細な写真撮影、放射線量、温度、湿度の測定などがあります。
 原子炉建屋の地下部分は地上階とは異なり、以下の厳しい条件下にあるため、高い運動性能と高線量に対する機能が求められます。

  • (1) 階段の傾斜角が地上部分の40度ではなく42度という急斜度であること。
  • (2) 階段の幅、踊り場の幅がそれぞれ70cmであり、地上部分の91cmに比べ非常に狭いこと。
  • (3) 圧力抑制室の上部に到達するには、傾斜角52度の階段を昇降する必要があること。
  • (4) 抑制室上部の走行路面(通称:キャットウォーク、材質:グレーチング)上で走行、方向転換する必要があること。

 小型化に特化したSakuraは、上記の条件にも対応できるともに、今後想定される災害対応無人化システム遠隔無人建設機械等を支援する「目」として、原子炉建屋内の随所で活躍が期待されます。
 Sakuraでは、小型化した筐体に必要とされるセンサを搭載し、とくに小型化した通信ケーブル自動巻き取り装置(300m)やプラグイン充電方式の搭載によりオペレータの被曝量の低減を可能にしています。さらに、厳選した素材の適用により、3年間のメンテナンスフリーを目指しており、運用面での被曝量低減も考慮しています。


〔2〕作業員の安全や健康を確保する新型の災害対応用ロボットスーツHAL®を開発
 (CYBERDYNE株式会社)
 福島第一原発などの災害現場では、有害物質や高温多湿な極限環境下で過酷な復旧作業が行われるため、作業員の安全や健康を確保することが喫緊の課題となっています。この問題を解決するために、CYBERDYNE株式会社では、以下の機能を有した新型の災害対応用ロボットスーツHAL®を開発しました。

  • (1) 放射線遮蔽装備による被曝量の大幅低減
    タングステン等の防護服により作業員のγ線被曝線量を5割程度低減します。
  • (2) クーリングシステムによる熱中症対策
    防護服内へ冷気を直接送風することにより、作業者の体温上昇を抑え熱中症を未然に防ぎます。
  • (3) 生体モニタリングによる安全管理機能
    作業員の胸に取付けたバイタルセンサにより、バイタル情報(心拍数、体温、加速度)をリアルタイムにモニタリングできます。

  • 放射線遮蔽装備+クーリングシステム
    放射線遮蔽装備+クーリングシステム
  • バイタルセンサ
    バイタルセンサ

災害対策用ロボットスーツHAL®の機能概要

3.今後の予定

 今回開発した2種類の災害対応ロボットについては、今後、 モックアップ施設等での実証試験により性能等を評価し、実際の被災現場への適用に向けた研究開発を引き続き行っていきます。

 なお、これらのロボットは、日本で初開催のロボットイベント「Japan Robot Week 2012」(10月17日(水)~19日(金))において一般公開されます。

  • 「Japan Robot Week 2012」の概要
    • 名称: 「Japan Robot Week 2012」
    • 会期: 2012年10月17日(水)~19日(金)10時00分~17時00分(最終日は16時30分まで)
    • 会場: 東京ビックサイト東3ホール
    • 入場: 無料
    • 概要: 「Japan Robot Week 2012」とは、ロボットの社会実装と技術革新を進め、ロボット産業の活性化を図る為に初めて開催される日本初開催のイベントで、「NEDO国際ロボットフォーラム」、「第5回ロボット大賞」など複数のロボットイベントの総称です。NEDO主催の「NEDO国際ロボットフォーラム」では、国内外の先駆的なロボット開発動向・成果を紹介するフォーラムを開催するとともに、ロボットの開発成果(優れた機能、役立つ効果、変わる暮らし)をアピールできる社会実装型のロボット展示を行います。是非、お気軽に会場までお越しください。
    • 参考: 「Japan Robot Week 2012」イベント情報ページ

4.お問い合わせ先

(本プレスリリースのプロジェクト全体についての問い合わせ先)
 NEDO 技術開発推進部 担当: 川島、真野、高津佐 TEL: 044-520-5241

(本プレスリリースの先行探査型移動ロボット「Sakura(櫻)」についての問い合わせ先)
 千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター 担当:先川原(さきがわら) TEL: 090-5820-0027
 E-mail: saki@furo.org

(本プレスリリースの災害対策用ロボットスーツHAL®についての問い合わせ先)
 CYBERDYNE株式会社 担当: 宇賀、久野 TEL: 029-855-3189

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
 NEDO 広報室 担当:遠藤 TEL: 044-520-5151 E-mail: nedo_press@ml.nedo.go.jp