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Press Release

Muse細胞及び分離方法に関する基本的な特許が成立

2013年2月22日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川一夫

 NEDOのプロジェクトにおいて東北大学の出澤教授のグループが発見した、ヒトの生体内に存在する多能性幹細胞(Muse細胞)と、このMuse細胞を生体組織から分離する技術に関する特許が、日本国内で成立しました。

 Muse細胞は、あらゆる組織に分化することが可能な多能性幹細胞であり、その能力により、体内の様々な損傷部位を修復することが確認されています。また、すでにヒトに移植が実施されている骨髄や間葉系幹細胞の一部に含まれていること、遺伝子導入や化合物添加などの誘導操作を必要とせずに分離できることなどから、安全性について一定の実績を有しています。
 本特許を活用することで、今後、Muse細胞の再生医療等への実用化が進展することが期待されます。

  • 図:Muse細胞の分離と活用イメージ
    図:Muse細胞の分離と活用イメージ

1.背景

様々な多能性幹細胞に関する研究の進展とともに、再生医療の本格的実現・実用化への期待が高まっています。骨髄などに存在する間葉系幹細胞は、神経細胞や肝細胞など、体のあらゆる細胞に分化することや、それらを肝硬変、心筋梗塞などの患者に移植することで一定の組織修復効果が得られることが多数報告されています。しかしながら、間葉系幹細胞の実体は様々な種類の細胞から成る細胞群であるため、幅広い分化転換や組織修復をもたらす細胞の実体は不明のままでした。
 東北大学大学院医学系研究科の出澤真理教授らによって2010年に発表されたMuse細胞は、その間葉系幹細胞の中にあって多能性を有する幹細胞であり、皮膚、神経、肝臓、筋肉等、あらゆる組織に分化する能力により体内の様々な損傷部位を修復することが確認されています。
 また、Muse細胞は遺伝子導入や化合物添加などの誘導操作を必要せず分離できること、腫瘍性増殖を示さないこと、及び、すでにヒトに移植が実施されている骨髄や間葉系幹細胞に含まれていることから、安全性について一定の実績を有しています。
 以上に加え、Muse細胞はフローサイトメトリー等の一般的な手法により効率よく取得できることから、再生医療の実現にとって有効で安全性の高い細胞として期待されています。
 このようなMuse細胞は国内外の研究機関で再生医療の臨床応用に向けた研究が精力的に行われているだけでなく、基礎的な疾病の研究、治療薬開発などにも利用されることが期待されています。

2.成立した特許の概要

以下の2点を内容とする特許(第5185443号)が日本において成立しました。

〔1〕物質特許

生体間葉系組織や培養間葉系細胞から分離できる、2つの細胞表面マーカー(SSEA-3及びCD105)が陽性、腫瘍性増殖を示さない、及び自己複製可能な多能性幹細胞(Muse細胞)を含む細胞集団

〔2〕分離方法

生体の間葉系組織やそれらを培養した間葉系細胞から、上記の細胞表層マーカーを指標としてMuse細胞を含む細胞集団を分離する方法

  • この内容及び関連する項目を含めた特許は、欧米等にも出願され、現在審査中です。

本特許については、発明者・出願人である出澤教授らから、大学発ベンチャーである株式会社Clioに独占的使用権が付与されています。なお、今後、学術目的・用途については無償での利用を可能とする予定ですが、営利目的でMuse細胞を研究・利用する場合には、同社からのライセンスが必要となります。

3.今後の予定

今後、「ヒト幹細胞産業応用基盤技術開発」では、Muse細胞の品質管理評価指標の探索及びヒト生体組織からのMuse細胞の分離を自動化するための基盤的な技術開発を行い、「次世代機能代替技術の研究開発」では、Muse細胞の生体内での挙動の解明(組織修復・遊走など)とその制御や生体への導入デバイス等に関する技術開発を継続する予定です。

4.お問い合わせ先

(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO バイオテクノロジー・医療技術部 担当:阪本、矢野  TEL 044-520-5231

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報室 担当:遠藤  TEL:044-520-5151  E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp