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Press Release

次世代石炭火力発電向けガスタービンクリーン燃焼技術を開発

EAGLEパイロットプラントで低NOx化の新技術を世界に先駆けて実証
2013年4月11日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
株式会社日立製作所

NEDOと株式会社日立製作所(以下、日立)は、石炭ガス化複合発電(EAGLE*1)パイロットプラントにおいて、次世代石炭火力発電プロジェクトにおいて開発中のCO2回収機能付石炭ガス化複合発電(以下、CCS*2-IGCC*3)向けガスタービン燃焼器を用いて、希釈剤を使用せずにNOx排出量を10 ppm未満(ドライ*4-シングルNOx*5)に低減する新しい燃焼技術を開発しました。

CCS-IGCCは、CO2排出量の大幅な低減が期待される次世代石炭火力発電技術です。しかし、ガス化した石炭を燃焼する過程で大量のNOxが発生することと、その対応策である希釈剤を用いたNOxの抑制手法には、発電効率が低下するという課題がありました。

NEDOと日立は、希釈剤を用いることなく、環境規制を満たす燃焼技術として、水素を含む燃料を安定的に燃焼させると共に、NOxの排出量を低減できる「多孔同軸噴流バーナー」*6を開発しました。日立の施設内に於ける石炭ガス化ガスを模擬した試験用燃料を用いた試験に加えて、今回、EAGLEパイロットプラントでガスタービンの実機と石炭ガス化ガスの実物を用いた試験を行うことで、NOx発生量を環境規制値*7以下に抑制できる性能を確認しました。今回の成果は、CCS-IGCCプラントの実用化に向けて、高効率発電を実現しつつ、NOxの排出基準値以下で実用運転できる可能性を示したはじめての成果になります。

  • 図
    実ガスタービンに搭載した多缶燃焼器
  • 写真
    EAGLEパイロットプラント

1. 事業概要

本プロジェクトは、NEDO「ゼロエミッション石炭火力技術開発プロジェクト/ゼロエミッション石炭火力基盤技術開発/石炭ガス化発電用高水素濃度対応低NOx技術開発」(2008年から2012年度)のもとで進めております。2011年7月には、日立の施設内において、石炭ガス化ガスを模擬した試験用燃料と、多孔同軸噴流バーナー1缶を備えた単缶燃焼器を用いて、試験を実施しました。
 その後、電源開発株式会社若松研究所の支援により、EAGLEパイロットプラントにおいて現地試験を実施しました。

2. 開発成果

今回の開発成果は以下の通りです。

  • (1) EAGLEパイロットプラントにおいて、6つの缶から構成される多缶燃焼器を搭載したガスタービンの実機と石炭ガス化ガスの実物を用いて、希釈剤を使用しない新しい燃焼技術の試験を行い、ドライ・シングルNOxを達成しました。この結果により、新しい燃焼技術が実機・実物でも有効であることが確認できました。
  • (2) ガスタービンの起動から最大の発電出力まで通して安定的に運転する方法を開発しました。ガスタービンを油燃料で起動した後、途中で石炭ガス化ガスに燃料を切り替え、最大出力までガス焚きで安定的に運転する方法を、実機・実物を用いて確認しました。

今回の試験の結果、CCS-IGCCの実用化に向けて、高効率発電を実現しつつNOxの排出基準値以下で実用運転できる可能性を示すことができました。

今後は、ゼロエミッション石炭火力発電の実用化に向け、特に、ガスタービンの運転方法の最適化を図り、実用化に向け開発を進めていきます。

  • ※1 EAGLE: 多目的石炭ガス製造技術開発(coal Energy Application for Gas, Liquid and Electricity)の略。
  • ※2 CCS: Carbon dioxide Capture and Storageの略。二酸化炭素を回収して貯留し、大気中に温室効果ガスである二酸化炭素が排出されることを防止する技術。
  • ※3 IGCC: Integrated coal Gasification Combined Cycleの略。石炭を水蒸気などと反応させて一酸化炭素と水素を含むガス燃料を生産し、ガスタービンとガスタービン排熱を回収して発生する水蒸気によって駆動される蒸気タービンで発電する複合発電設備。
  • ※4 ドライ(乾式)、ウェット(湿式): IGCCプラントで採用されてきた従来型のガスタービン燃焼器では、NOx排出量を抑制するため、水や蒸気、窒素などの希釈剤を燃焼器に投入する必要があり、この方式をウェット(湿式)と呼ぶ。これに対して、これらの希釈剤を使用しない方式をドライ(乾式)と呼ぶ。
  • ※5 シングルNOx: NOx排出量が10 ppm未満(1桁)のこと。16% O2 換算。
  • ※6 多孔同軸噴流バーナー: 燃料の流路と、空気などの酸化剤の流路を、同じ方向に噴出するように同心円状に多数配置したバーナー。燃料と空気を急速混合し、さらに火炎をバーナーから離れた位置に浮上させて保持することによりドライ低NOx化を図る。この技術を採用した燃焼器はこのバーナーを中央に1つ、その周囲に6つ備える。
  • ※7 環境規制値: 大気汚染防止法におけるガスタービンのNOx排出濃度規制値は、70 ppm(基準となる排ガス中のO2濃度16%)。但し、都道府県により条例を制定し、規制を強化している場合がある。

問い合わせ先

NEDO
(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 環境部 担当:在間、正木 TEL 044-520-5250

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報室 担当:遠藤  TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

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