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Press Release

有機系太陽電池の実証試験がスタート

―新しい設置スタイルを提案―
2013年7月16日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川一夫

NEDOは次世代太陽光発電システムの本命の一つとされる、有機系太陽電池※1の早期実用化を目的とした実証試験を開始します。
 有機系太陽電池は、大幅な低コスト化が期待されるだけでなく、少ない光でも発電※2する等、従来の太陽電池に比べ様々な利点があることから、国内外で開発競争が行われており、実使用環境下における課題の抽出と解決を進め、実用化を急ぐ必要があります。
 NEDOでは、色素増感太陽電池※3を用いた「デザインソーラーランタン」を京都市内に設置し、発電量や耐久性の検証を開始。また、有機薄膜太陽電池※4を用いた「発電するサンシェード」を仙台市科学館に設置し、太陽光発電と日射熱のカットによる省エネ効果の検証を年度内に開始する予定である等、日本各地で新しい設置スタイルに繋がる、様々な実証試験を展開いたします。

  • 写真

写真 左:日本写真印刷(株)が開発した色素増感太陽電池と蓄電池・LEDライトを組み合わせた「デザインソーラーランタン」(京都市国際交流会館に設置)
写真 右:三菱化学(株)が開発したシースルー性がある「発電するサンシェード」(再生可能エネルギー展にも出展)

1. 背景

NEDOは、太陽光発電システムの普及拡大を目指した研究開発を行っていますが、その中の取り組みの一つとして、製造原価が安く、軽量に作製することができ、かつ、設置場所の制約の少ない有機系太陽電池の研究開発があります。
 これまでの開発により、実用化に必要な成果が得られつつありますが、有機系太陽電池を開発する海外メーカーは、近年相次いで生産投資に踏み切っており、国内メーカーにおいても、市場参入を急ぐべき状況にあります。このような背景の下、有機系太陽電池を実際の使用環境下で実証し、実用化に向けた課題の解決を図る必要があります。
 そのため、本事業では、有機系太陽電池を使用した太陽光発電システムを設計・試作し、実証システムとしての最適化を図った上で、実使用環境に設置し、発電量や耐久性等を実証・評価しています。

2. 実証試験の概要

NEDOの有機系太陽電池実用化先導技術開発プロジェクトにおいて、以下の実証試験をそれぞれ開始します。

内容 助成先 電池の種類 実施概要
デザインソーラーランタン 日本写真印刷(株) 色素増感太陽電池※3 絵柄をデザインした色素増感太陽電池と蓄電池・LEDライトを組み合わせ、発電量や耐久性を検証(京都市内)
独立電源型広告掲示板 シースルー性がありカラフルな色素増感太陽電池と蓄電池・LEDライトを組み合わせ、発電量や耐久性を検証(島根県内)
壁面設置型太陽電池  シャープ(株)
(株)フジクラ
少ない光でも発電する色素増感太陽電池の特長を活かし、日射量の少ない場所での利用を想定した発電量検証を実施(奈良県・千葉県内)
発電するサンシェード 三菱化学(株) 有機薄膜太陽電池※4 軽量・フレキシブルという特長をもつ有機薄膜太陽電池を用い、太陽光発電と日射熱のカットによる省エネ効果の検証を年度内に開始予定(仙台市内)

〔1〕色素増感太陽電池の意匠性を活用した「デザインソーラーランタン」「独立電源型広告掲示板」(日本写真印刷(株))

写真2 テクノアークしまねに設置した色素増感太陽電池を内部に取り付けた「独立電源型広告掲示板」(赤枠部がシースルータイプの色素増感太陽電池)【内容】
 色素増感太陽電池は、太陽電池そのものに絵を描いたり、半透明にできるなど、既存の太陽電池に比べてデザイン性に優れ、また、曇りの日や垂直に設置した場合でも性能を発揮します。この特長を利用し、助成先である日本写真印刷(株)は、京都市内2か所(京都市国際交流会館、京都市美術館)で「デザインソーラーランタン」の実証試験を開始したほか、共同研究先の島根県産業技術センターとともに、色素増感太陽電池を内部に取り付けた「独立電源型広告掲示板」を製作・設置し、島根県内2か所(テクノアークしまね、くにびきメッセ)で実証実験を開始しました。
 「独立電源型広告掲示板」は、上部にポスター掲示部、下部にシースルー性がありカラフルな色素増感太陽電池を配置しています。日中に色素増感太陽電池が発電し、蓄えた電力を使って夜間に内蔵されたLEDライトがポスター掲示部を照らします。

〔2〕従来太陽光発電の設置が進んでいなかった日射量の少ない場所での利用を想定した発電量検証 (シャープ(株)・(株)フジクラ)

【内容】

色素増感太陽電池は、太陽光の入射角依存性や光量依存性が少ないことから、既存の太陽電池と比較し、住宅や工場等の壁面や北面のような日射量の少ない場所に設置した場合であっても、発電が期待できると考えられています。この特長を利用し、助成先であるシャープ(株)は高電圧型色素増感太陽電池を、(株)フジクラは高電流型色素増感太陽電池を製作・設置し、それぞれ奈良県(シャープ(株)葛城工場)、千葉県((株)フジクラ佐倉事業所)で実証試験を開始しました。今後両社は、壁面や北面に設置した場合の既存の太陽電池との発電量比較検証を行います。

  • 写真 3
    壁面設置を想定した既存太陽電池との比較検証試験
    (シャープ(株)葛城工場・南壁面設置。下側に設置しているものが色素増感太陽電池で、上側に設置しているものは比較用の既存太陽電池)
  • 写真 4
    壁面設置を想定した既存太陽電池との比較検証試験
    ((株)フジクラ佐倉事業所・北壁面設置。右四列に設置しているものが色素増感太陽電池で、左側に設置しているものは比較用の既存太陽電池)

〔3〕有機薄膜太陽電池の実証試験に向け、三菱化学(株)と仙台市が覚書を締結 (三菱化学(株))
【内容】

助成先の三菱化学(株)は、軽量・フレキシブルといった特長を有する有機薄膜太陽電池を用いて、窓材や建材一体型、車載型といった利用形態を想定した実証試験を行うこととしています。この度、三菱化学(株)は、仙台市と実証試験に関する覚書を締結し、仙台市震災復興計画に定める「持続的なエネルギー供給を可能にする省エネ・新エネプロジェクト」と連携した実証試験を行うこととなりました。今年度は、スリーエム仙台市科学館においてシースルー性のある有機薄膜太陽電池をサンシェードとして使用した屋内実証実験を行います。

  • 写真 5
    三菱化学(株)が開発したシースルー性がある「発電するサンシェード」をスリーエム仙台市科学館エントランス付近の窓面に設置

なお、シースルー性のある有機薄膜太陽電池は、日本最大の再生可能エネルギーに関するイベント「RE2013 - 第8回再生可能エネルギー世界展示会」(7月24日(水)~26日(金))NEDOブースにおいて展示を予定しています。

■「RE2013 - 第8回再生可能エネルギー世界展示会」の概要
会期: 2013年7月24日(水)~26日(金)10時00分~18時00分(最終日は17時00分まで)
会場: 東京ビックサイト西1・2ホール
入場: 無料

概要: RE2013は、持続可能な地球を創り出すための先進技術を集め、日本から世界に向けて、再生可能エネルギーに関する最新情報を発信する展示会です。NEDOは、再生可能エネルギー全般に関する政策動向・技術開発動向を紹介するとともに、再生可能エネルギーに関する最新の研究開発成果を展示します。是非、お気軽に会場までお越しください。

参考:展示会情報ページ (http://www.renewableenergy.jp/top.html)

3. お問い合わせ先

(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 新エネルギー部 担当:木場、藤岡  TEL 044-520-5277

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:遠藤、木内 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

【参考:関係機関のプレスリリース】

仙台市(http://www.city.sendai.jp/report/2013/1209705_1415.html)、島根県産業技術センター(http://www.shimane-iit.jp/oshirase/130716_dsc.htm)、日本写真印刷(株)(http://www.nissha.co.jp/news/2013/07/16as_1.html)も本日プレスリリースを行いました。

【参考:用語解説】

  • ※1 本プレスリリースにおける有機系太陽電池とは、色素増感太陽電池と有機薄膜太陽電池を指します。
  • ※2 一般に、結晶シリコン太陽電池では、照度が低くなる(曇天や朝夕など)につれ、光電変換効率が大幅に低くなりますが、有機系太陽電池は、照度が低くなっても光電変換効率は下がりにくいという特徴があります。
  • ※3 色素増感太陽電池とは、光エネルギーの吸収作用を有する色素と酸化チタン光電極などを組み合わせた太陽電池を指します。
  • ※4 有機薄膜太陽電池とは、導電性ポリマーやフラーレンなどを組み合わせた有機薄膜半導体を用いる太陽電池を指します。