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Press Release

新しい自動車排ガス浄化用助触媒材を開発

―セリウム使用量を30%低減!―
2013年10月28日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
国立大学法人名古屋大学
株式会社ノリタケカンパニーリミテド
国立大学法人名古屋工業大学

 NEDOと名古屋大学、(株)ノリタケカンパニーリミテド、名古屋工業大学は、希少金属セリウムの使用量を30%以上低減できる自動車排ガス浄化用助触媒材※1の開発に成功しました。今回開発した助触媒材は材料のジルコニア表面にセリウムをコーティングするコアシェル構造※2を採用することでセリウム使用量を低減。低温での触媒効果の改善により効率的な排ガス浄化も可能になります。
 さらに、この技術を応用することにより、触媒の貴金属(白金族)も、その使用量低減が期待されます。

  • 図1:新セリアジルコニア助触媒の電子顕微鏡像

  • NEDOプロジェクト「排ガス向けセリウム使用量低減技術及び代替材料開発/排ガス浄化用触媒のセリウム量低減代替技術の開発」(期間:2011年3月~2012年2月)の成果によるもの

1.概要

 希少金属は日本の成長を支える産業にとって必要不可欠な材料ですが、その偏在性のため特定産出国への依存度が高く、我が国の中長期的な安定供給確保に対する懸念が生じています。この問題を背景にNEDOでは、平成20年度から希少金属の使用量低減技術及び代替材料開発に取り組んでいます。その中で名古屋大学の小澤教授と(株)ノリタケカンパニー、名古屋工業大学のグループは、「排ガス向けセリウム使用量低減技術及び代替材料開発/排ガス浄化用触媒のセリウム量低減代替技術の開発」(期間:2011年3月~2012年2月)として、自動車排ガス浄化用助触媒のセリウム量低減技術の開発に取り組みました。その成果をもとに研究を進め、今回ジルコニア粒子の表面にセリアジルコニア相※3とセリア相を形成するコアシェル構造にすることで、セリウム使用量を30%低減した助触媒用材料を開発しました(図1)。セリアが粒子表面に分布するので従来の均一固溶体に較べてセリウム濃度の変更が容易になります。この助触媒を使用した試作触媒は実自動車エンジン試験において、国内法定モード規制値をクリアしました(図2)。また、低温での触媒の活性を高める酸素貯蔵能(OSC)※4も改善されています。
 さらに、ノリタケカンパニーでは、電子材料用ジルコニアの製造技術をベースに、このコアシェル構造助触媒材の製造技術を確立しました。この表面セリア濃化技術を活用することで白金族使用量の低減が期待できます。

  • 図2:ノリタケ試作品CZ助触媒搭載ハニカム型三元触媒のエンジン排気浄化性能試験結果

2.今後の予定

2016年度の実用化を目指して耐久性評価など実用化へ向けての技術開発を進めます。また、触媒性能評価用のサンプル提供も開始していきます。

3.お問い合わせ先

(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 電子・材料・ナノテクノロジー部  担当:桂山、木村、中村  TEL:044-520-5220
名古屋大学 エコトピア科学研究所  担当:小澤  TEL:052-789-5863
株式会社ノリタケカンパニーリミテド 研究開発センター  担当:高橋  TEL:0561-34-6215

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部  担当:木内、遠藤  TEL:044-520-5151  E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

【参考:用語解説】

※1:助触媒
触媒成分の働きを助け性能を大幅に向上させる成分。自動車用触媒では、触媒成分の貴金属に加えて、とくに酸素貯蔵能(OSC)を促進する助触媒が重要である。

※2:コアシェル構造型
中心の芯(コア)と外側に殻(シェル)を異なる成分を配置する構造の粒子。

※3:セリアジルコニア(CZ)
1990年代以降に酸素貯蔵能(OSC)のため触媒成分として使われている組成物。酸化セリウム(セリア、CeO2)と酸化ジルコニウム(ジルコニア、ZrO2)の固溶体(結晶構造が同じで元素成分は混合している結晶性固体)であり、四半世紀にわたり組成が最適化されながら、継続して使用されてきている。排ガス浄化技術の基本材料として広く知られ、セリアジルコニア(CZ)触媒と呼ばれる。

※4:酸素貯蔵能(OSC)
ミクロ空間で精密に酸素濃度の制御を行う触媒の能力。エンジン動作中には、エンジン出力の様々な条件に従って理論空燃比※5からずれるため、これの調整を、酸素センサーを用いた電子制御によって行う。しかし、この制御はマクロでA/Fを完全に制御できないので、浄化率向上に限界がある。触媒自体によって、ミクロ空間で精密にこの制御を行うのが酸素貯蔵能(OSC)であり、エンジン排気処理設計の基本技術となっている。

※5:空燃比(A/F)
空気(Air)と燃料(Fuel)の比。ガソリンと酸素(空気)を混合して高温の燃焼反応を起こさせるとき、H,C,O,N等の元素が反応して水と炭酸ガス等の無害ガスに転換するような、化学量論を満たす条件(理論空燃比)で、空燃比を調整すると、三元触媒が最高浄化率を示す。