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Press Release

北京で高効率の自動車リサイクルシステムを構築

―環境負荷低減を実現、リサイクル率90%、年間1万台以上の処理が可能に―
2014年3月5日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川一夫

NEDOと豊田通商(株)は、北京市内で、工場単独の自動車解体としては日中両国で前例のない、前処理からフロン破壊などの有害物処理、車体裁断や廃タイヤの破砕までトータルで解体とリサイクルを行う大規模集約型のリサイクルシステムの実証プロジェクトを実施。解体に伴う環境負荷を低減、約90%という日本国内以上のリサイクル率(*1)を維持しつつ、年間1万台以上の使用済み自動車の処理が可能となりました。

この処理能力は、北京市内で解体・リサイクル処理されている使用済み自動車の約13%に相当。今回のプロジェクト成果を基に、豊田通商(株)は日本企業として初めて中国国内で自動車解体リサイクル事業に参入する方針を打ち出しており、日本発の自動車リサイクル技術の普及につながる事が期待されます。

なお、本実証プロジェクトは、中国国家発展改革委員会との連携により実施されました。

(*1) 車両総重量のうち、部品・原材料としての再利用が行われる重量の率。

  • 写真
    (左)廃液の回収工程、(中)切断機による車体の解体工程、(右)廃タイヤの破砕工程

1.背景

中国では急速な経済成長により、自動車保有台数が米国に次いで世界第2位となり、今後使用済み自動車の爆発的な増加が見込まれます。例えば、中国最大の自動車保有都市である北京市においては、使用済み自動車が年間約7.6万台発生しています。しかし、中国の自動車リサイクル工場は手作業での不安全な解体作業が主流のため、通常2~3人がかりで1日2~3台程度の処理台数であり、作業効率の向上が急務です。また、処理に伴う環境負荷が増大している状況であり、環境負荷を低減した処理が、社会的に求められています。

一方、日本では、大量処理が可能な自動車シュレッダー技術を用いたリサイクルシステムが主流です。また、自動車リサイクル法の下、資源回収のみならず、シュレッダーダスト※1の処理、フロン破壊、廃液処理等の、リサイクルの流れのうち下流部分においても分業体制が整備されており、産業全体の連携により、低環境負荷と高いリサイクル率、より安全な解体作業が実現されています。しかし、中国ではこれらの下流部分の産業が構築されていないため、日本式の自動車リサイクルシステムをそのまま導入しても、効率的なリサイクルや環境負荷の低減につながらないという課題がありました。

2.今回の成果

中国と日本との産業構造の違いを踏まえ、本プロジェクトでは、解体の上流に当たる前処理(有価物の取り外し、有害物の除去等)の機械化に加え、積載効率や安全作業を達成するプレス・切断機の導入、また下流に当たる様々な発生物の再資源化技術(配線類からの銅回収、廃タイヤの原料化等)まで統合した、トータルシステムを構築しました。

また、廃液やフロン等の有害物の回収・処理工程までを統合することで、環境負荷低減を徹底しました。特に、エアコンの冷媒として使われるフロン類については、解体工程内で回収・破壊処理までを行うことで、約6,590kg/台のCO2削減効果を生みます。自動車解体業でフロン類の破壊処理まで手がけることは、中国のみならず日本でも例がありません。

これら一連の工程を一元的に管理し最適化することにより、日本国内以上のリサイクル率90%以上と低環境負荷を維持しつつ、年間1万台の処理が可能なシステムを構築することができました。

3.今後の展開

NEDOおよび豊田通商(株)は、2015年度末までの期間、今回開発した設備を使用して、実証データの蓄積とシステムの改良を行います。

なお、豊田通商(株)および(有)昭和メタルは、本プロジェクトの現地パートナー企業である北京博瑞聯通汽車循環利用科技有限公司へ昨年末資本参加を実施しており、本年2月27日には北京市内にて、本プロジェクトの成果報告会と併せて、同合弁企業の開所式を開催しております。同社は、中国初の大規模集約型のリサイクルシステムの構築を実現した同合弁企業を、解体工場モデルプラントとし、中国国内において本プロジェクトの成果の事業化を行う予定です。さらに、本成果を中国の他都市へと普及させることで、日本技術の海外展開と環境問題の解決に貢献することを目指します。

4.お問い合わせ先

(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 環境部 担当:酒井、沼田、吉田  TEL:044-520-5251
豊田通商(株) 環境・リサイクル事業推進部 担当:宮城  TEL:052-584-8603

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本、遠藤  TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

【参考:用語解説】

  • ※1 シュレッダーダスト: 使用済み自動車をシュレッダーで裁断し、資源を回収した後の残渣。樹脂、繊維、ゴムなどが含まれる。