本文へジャンプ

Press Release

英国・マンチェスターにおけるスマートコミュニティ実証で協力協定

―600住宅にヒートポンプ設置、電力需給を集中制御―
2014年3月13日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川一夫

NEDOとBIS※1、DECC※2及びマンチェスター市(グレーター・マンチェスター)は、同市で実施するスマートコミュニティの実証プロジェクト(2014~2016年度)について、共同でプロジェクトを推進することで合意、協力協定を締結しました。
 このプロジェクトでは、マンチェスター市内の公共住宅600軒にヒートポンプを設置し、日本の情報通信技術(ICT)で各住宅のヒートポンプをコントロールすることで、小口の電力ユーザーの電力需給調整能力を検証。電力調整量をまとめることで、広範な電力市場とのさまざまな取引を可能にするとともに、英国内の給湯・暖房エネルギーをガスから電力にシフトを促すことで、低炭素化を目指します。
 電力市場において、小口電力に関する情報を一括してとりまとめ、負荷調整能力を提供するサービスについては、まだビジネスモデルが確立されておらず、実証段階ながら世界初の事例となります。

【用語解説】

※1:ビジネス・イノベーション・技能省(Department for Business, Innovation and Skills, BIS)

※2:エネルギー・気候変動省(Department of Energy and Climate Change, DECC)

  • 協力協定署名式の様子の写真
    協力協定署名式の様子

1.概要

英国では、エネルギーの低炭素化(Low Carbon)、安定供給(Security of Energy Supply)、価格の適正維持(Affordability)の3つのエネルギー政策基本方針の下、2020年までに全エネルギーに占める再生可能エネルギー比率を15%に高めること、温室効果ガス排出量の34%削減(1990年比)、エネルギー総消費量20%削減、を達成するため、各種制度改革を含む多様な施策が進行中です。
 中でも、温室効果ガス排出の主要因である家庭部門の給湯・暖房エネルギーの低炭素化は、2020年までに全熱エネルギー消費の12%以上を再生可能エネルギー熱(Renewable Heat)とする目標達成に向けて、Renewable Heat Incentive(RHI)などの補助金政策やGreen Deal政策の下で、地方政府や産業界に推進義務が課せられ、地方主導の対策推進が本格化しつつあります。
 また、一方では、ヒートポンプ普及に伴い懸念される電力の負荷増加・偏重への対策や、系統電力の不足時に予備力となる火力発電所が減少して来ていることから、電力需給バランス調整に役立つデマンドレスポンスや電力アグリゲーションなどの需要の調整力強化のニーズも拡大しつつあります。
 本実証事業は、2020年までに英国の目標よりも高い温室効果ガス排出量の48%削減(1990年比)を設定しその実現を目指しているマンチェスター市の協力のもと、2013年度に実証事業実施にかかる事前調査を行い、その効果と実用性等を検証。調査結果を基に2014年度から事業を展開し、ICTプラットフォームやヒートポンプを中心とする、我が国の優れた低炭素技術・ソリューションを用い、地域の低炭素化と持続的発展に寄与することを目指すものです。
 具体的には、ヒートポンプを600軒の公共住宅に設置し、その消費電力の増減から需要を低減するネガワットや再生可能エネルギーの供給過剰を吸収するポジワット※3を創出するとともに、広範な電力市場と取引できるシステムを構築し、その負荷調整能力が電力需給バランスの調整に寄与できること、並びにそのシステムが経済性を有することを実証し、エネルギーシフトや低炭素化社会の実現に向けて、ヒートポンプおよびそのアグリゲーションの普及促進を目指します。

  • マンチェスター市におけるスマートコミュニティ実証事業概要図
    マンチェスター市におけるスマートコミュニティ実証事業概要図

2.事業実施体制について

実証事業には、NEDO とBIS、DECC、マンチェスター市の他、日本側からは株式会社日立製作所、ダイキン工業株式会社、株式会社みずほ銀行が参画。英国側からはWigan and Leigh Housing、Northwards Housing、Six Town Housing の3住宅公社及びElectricity North West(地域配電企業)が参画予定です。

3.今後の予定と期待される成果

本実証事業は、2014年度~2016年度の約3年間、予算約40億円で実施の予定です。
 技術・ビジネス性双方の観点から本ビジネスモデルの妥当性・事業性の検証を行い、その有意性を確認した上で持続的な事業展開の実現が期待されております。事業展開については両国共同で特定目的会社を設立することも検討しており、また、英国全土及び北部欧州米国地域への展開並びに将来の日本の電力市場への展開も検討していく予定です。

4.MOU調印式について

なお、現地時間3月12日に、ロンドン国会議事堂(Houses of Parliament)で行われた署名式において、林駐英日本大使立ち会いのもと、NEDO古川理事長、DECCのBarker MP閣外大臣並びにGMCA※4スミス議長が、本実証事業の推進に伴う協力体制を確立するため、協力協定書に署名しました。

5.問い合わせ先

(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO スマートコミュニティ部  担当:椎野、望月  TEL:044-520-5274
NEDO 国際部  担当:吉村、若林  TEL:044-520-5190

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部  担当:坂本、遠藤  TEL:044-520-5151  E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

【用語解説】

※3:ピーク電力抑制の手段として創エネでカウントされる電力量。

※4:グレーター・マンチェスター合同行政機構(Greater Manchester Combined Authority, GMCA)