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Press Release

マレーシアのセメント工場でバイオマスおよび廃棄物の有効利用技術を実証

―石炭使用量25%削減が可能に―
2014年3月17日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川一夫

NEDOとマレ-シア政府の共同事業として、ヌグリ・スンビラン州バハウのセメント工場内に新設した石炭代替燃料利用設備が完成しました。

この設備は廃タイヤ、バイオマス投入システム※1と塩素バイパスシステム※2、TCSシステム※3により構成されており、現在燃料として使用されている石炭の一部をバイオマス(パ-ム油搾りかす)および産業廃棄物(廃タイヤなど)に代替し、排ガス中の塩素や硫黄などの揮発性成分を含むダストを分離化、または、凝縮固化することにより、製造設備内へのダスト付着による運転効率の低下を防止することにより、石炭使用量の25%と温室効果ガスの削減を実証しました。

日本の優れた技術がマレーシアで普及し、同国の化石燃料消費量の低減と廃棄物利用による環境改善に貢献することが期待されます。

【参考:用語解説】

  • ※1:廃タイヤやパ-ム油搾りかすをセメント製造設備に投入して燃焼させる
  • ※2:排ガス中の塩素を含むダストの付着によるセメント製造設備の機能低下防止のため、ダストをセメント製造設備内から分離バイパスする
  • ※3:排ガス中の硫黄分を含むダスト等の付着によるセメント製造設備の機能低下防止のため、ダスト等を瞬時に浮遊状態で凝縮固化する

  • 写真1
    廃タイヤ投入設備
  • 写真2
    パーム油搾りかすの一種(EFB)投入設備

1. 事業概要

マレーシアでは近年、GDPは年率4~5%以上、エネルギー消費は年率3~5%という経済発展を遂げており、セメント需要も年率7%程度の伸びとなっています。このような経済成長に伴い、エネルギーの消費量は増大し、CO2排出量も増加しています。

かかる状況下、マレーシアでは同国の5年間ごとの政策運営方針を定めている「マレーシア計画」などからもうかがえるように、低炭素社会構築の機運が高まっており、石炭などの化石燃料の代替として、パ-ム油搾りかす、都市ゴミなどの再生可能エネルギーの利用にも注目が集まっています。

本モデル事業は、日本政府とマレーシア政府の共同事業として実施したもので、NEDOとマレーシアのパームオイル庁、ゴム工業庁及びその監督官庁であるプランテーション・商品省の協力により実施しました。マレーシアCIMA社のセメント工場(ヌグリ・スンビラン州)に、使用済タイヤやパームオイルミルで発生する搾りかすなどの廃棄物を石炭の代替燃料として投入する設備を設置しました。このように、本モデル事業では、同国においてエネルギー多消費産業であるセメント製造における石炭の消費を同国に豊富に存在するバイオマス資源に代替するものであり、同国の国策にも合致しています。本モデル事業では、同セメント工場で使用される石炭の25%低減が実証されました。

本モデル事業の技術は、これらの廃棄物に含まれる塩素、硫黄等の揮発性成分によるセメント製造設備の機能低下を、NEDOの委託を受けた太平洋エンジニアリング株式会社が開発した塩素バイパスシステム、TCSシステムにより回避するものです。

今回導入される技術の普及により、エネルギー多消費型産業であるセメント業界における石炭使用量の低減とともに、マレーシアにおける石炭輸入量の低減、日本企業による設備等の輸出機会の創出などの効果が期待されます。

【事業概要】
事業名:
国際エネルギー使用合理化等対策事業 国際エネルギー消費効率化等モデル事業
セメント工場におけるバイオマス及び廃棄物の有効利用モデル事業(マレーシア)
事業期間:
2008年度~2013年度
効果:
日産4,000トンクラスのセメントキルンにおいて、時間当たり約5トン(25%程度)の石炭削減効果
委託先:
太平洋エンジニアリング株式会社
実施サイト:
CIMA社ヌグリ・スンビランセメントバハウ工場

2. 設備概要

下図に本モデル事業の設備概要を示します。

  • 〔1〕 廃タイヤ、バイオマス投入システム
    車両用使用済タイヤやパーム空果房(EFB:Empty Fruit Bunch)、パーム椰子殻(PKS:Palm Kernel Shells)などを回収・運搬の上、投入システムを用いて石炭代替燃料としてキルンに投入します。
  • 〔2〕 塩素バイパスシステム
    廃棄物をキルンまたは仮焼炉で燃焼させる際、廃棄物から発生する塩素を含むダストを分離バイパスし、ダストの付着によるサスペンションプレヒーター内の機能低下を防止します。
  • 〔3〕 TCS(Taiheiyo Coating Solution)システム
    原料粉末の一部を窯尻に投入し、キルン(回転窯)排ガス中の亜硫酸ガス等を凝縮固化することにより、それらのプレヒーター側面への付着・成長を抑え、安定したキルン運転を可能にします。

  • 図
    設備概要図

3. 竣工式

事業完了に伴い、2014年3月17日、CIMA社ヌグリ・スンビランセメントバハウ工場にて竣工式が開催されました。
 日本側からはNEDO土屋 宗彦理事、太平洋エンジニアリング 露木 晴夫社長ら、マレーシア側からはプランテーション・商品省ヌルマラ次官、CIMA社ユスリ社長らが出席しました。

4. お問い合わせ先

(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 国際部 担当:千田、池田 TEL:044-520-5190
NEDO 新エネルギー部 担当:吉川 TEL:044-520-5270

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:遠藤、坂本 TEL:044-520-5151