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Press Release

高性能・省エネ型ナノファイバーフィルターを開発

―PM2.5などの粒子状物質の除去率99.995%以上、消費エネルギーを25%削減―
2014年3月27日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
日本エアー・フィルター株式会社

日本エアー・フィルター(株)は、NEDOプロジェクト※1の成果としてPM2.5※2などの粒子状物質を99.995%以上除去、消費電力についても従来のフィルターに比べ25%削減が可能な集じんフィルターを開発しました。
  従来の集じんフィルターよりも大幅に繊維径が細く表面積の多いナノファイバー超極細繊維※3をフィルターに用いることで、99.995%以上という高集じん率を満たしつつ、電力消費を伴う圧力損失※4を25%削減が可能であることを実証。日本エアー・フィルター(株)は、6月から試験販売を開始、焼却炉を使っている鉄鋼業などへの市場投入を目指します。

【用語解説】

※1 プロジェクト
「先端機能発現型新構造繊維部材基盤技術の開発」(H18年度~H22年度)
「ナノテク先端部材実用化研究開発」(H22年度~H25年度)
「イノベーション実用化ベンチャー支援事業」(H24年度)

※2 PM2.5
浮遊する微粒子のうち、粒子直径が概略2.5μm以下の微細粒子を指し、人体の肺の奥まで達し沈着することが懸念されている粒子。

※3 ナノファイバー超極細繊維
繊維直径が10~数100ナノメートル(1mm=100万nm)の長繊維形態をとり、繊維表面が大きく微細孔となることから粒子との接触率が高くなります。

※4 圧力損失
流体がフィルタ等を通過するときの損失を言い、圧力損失が低いほど送風機などの動力エネルギーが小さくなり、省エネ、電力費用の削減につながります。

  • 図1 集じん装置とフィルターの構造
    図1 集じん装置とフィルターの構造

1.背景

鉄鋼、セメント、化学、ごみ処理業界等の製造工程で発生する粒子状物質捕集からの汚染エアーの清浄化、製品回収に使用される集じん装置においては、PM2.5対策を含めた更なる高性能捕集要求があります。同時に大風量を処理するための集じんフィルターの低圧力損失化と、2010年4月に施行された改正省エネ法に伴い、動力・電力費の削減と波及効果である地球環境保護への貢献ニーズも重要な課題になっています。

2.今回の成果

一般的な集じんフィルターは乾式ニードルパンチ法※5等で製作されるもので、更なる性能の向上が望まれていました。本製品は標準の集じんフィルターと比較して大幅に繊維径が細く、表面積の多いナノファイバー繊維を用いることにより、標準品より高集じん率を満たしながら、25%も低い圧力損失値を達成することに成功しました。
 この成果の背景には、NEDOの「先端機能発現型新構造繊維部材基盤技術の開発」プロジェクトにおいてナノファイバーに関する基盤技術研究を行い、さらに「ナノテク先端部材実用化研究開発」において、ナノファイバーフィルターに関しての実用化研究を推し進めてきた経緯があります。 今回、この課題に対して「イノベーション実用化ベンチャー支援事業」で、実用化技術開発を実施したことで、最終的な成果に結びつけることが出来たというものです。

図2 圧力損失(Pa)と粒子捕集率(%)の比較(社内ラボ機評価)
図2 圧力損失(Pa)と粒子捕集率(%)の比較(社内ラボ機評価)

 ナノファイバーは、新大型電界紡糸装置※6で製作される繊維径が50~500nmの高分子組成で、代表的特長である「スリップフロー効果※7による繊維ろ過抵抗削減」効果を活用し、これをフィルター基材に積層することで、「サブミクロン粉じん含めた微細粒子の高集じん率」を確保し、さらに粉じん払い落とし対応の為の特殊表面処理加工等を経て集じんフィルターとなります。
 今回、長期検証を実施した結果、現地のダストでも高集じん率を実現し、圧力損失は標準フィルターよりも25%削減を達成しました。 電力費・CO2削減、PM2.5を含めた高清浄化で、地球環境保護への貢献を実現させたものです。

  • 図3 テスト装置全景および現地ダスト付着状況(断面)
    図3 テスト装置全景および現地ダスト付着状況(断面)

3.今後の予定

現在、集じん用ナノフィルターは、大型集じん試験機(500m3/min)での長期検証と、実機への試験投入で耐久性を含めた特性データを蓄積しつつあります。今後は、ナノファイバー極細繊維の特長である高性能、低圧力損失などを差別化のポイントとして2014年6月から日本エアー・フィルター株式会社の親会社である進和テック株式会社を販売総代理店として、試験販売を開始し、鉄鋼関連産業、焼却炉、他関連産業を含めて拡販し、年間1万本(当初)を市場投入することを目指します。

4.お問い合わせ先

(本プレスリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 電子・材料・ナノテクノロジー部  担当:中村、佐藤  TEL:044-520-5220
日本エアー・フィルター株式会社 開発部  担当:今野  TEL:0463-23-3301

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部  担当:遠藤、坂本  TEL:044-520-5151  E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

【用語解説】

※5 ニードルパンチ法
不織布の製造方法の一つで、 ニードル(針)を高速で上下して、繰り返し突き刺し、 ニードルに刻まれた突起によって、繊維と繊維を絡ませる方法。

※6 電界紡糸法
ナイロン、ポリプロピレン等のポリマー液をノズル噴射し、そこに10~40kvの高電圧を印加することで微細繊維を紡糸する方法。

※7 スリップフロー効果
ナノサイズでは分子や粒子の流体がナノファイバーに接すると空気の速度がゼロにならない(繊維表面を滑る)現象がおきます。

  • スリップフロー効果の図