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Press Release

府省の枠を越えインフラマネジメントシステム技術開発プロジェクト始動

―安全で強靱なインフラの構築を目指して―
2014年9月24日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川一夫

NEDOは、国内のインフラを高い水準で維持・管理し続けるため、インフラ維持管理・更新・マネジメント技術の開発に着手します。これにより、笹子トンネル事故のような重大事故を未然に防ぎ、今後50年間に必要なインフラ更新・修繕費が190兆円に達するとも言われているインフラの維持管理を低コストで行うことが出来るようになります。

本事業は、内閣府が推進するSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の課題の一つである「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」について、この課題の管理法人であるNEDOが委託事業として実施するものです。

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    インフラ維持管理フローと基盤技術開発

1.概要

国内のインフラ更新・修繕費は、今後50年間に190兆円に達するとも言われております。また、NEDOが、経済産業省と実施したロボット産業の将来市場予測では、サービス分野におけるロボットの普及により、2035年に社会インフラ分野で約1,800億円、災害分野で約670億円に成長すると予測しています。

NEDOは、本事業で、インフラの維持管理に関わるニーズと技術開発のシーズとのマッチングを重視し、世界最先端の構造材料技術、および情報通信技術とロボット技術を組み合わせたICRTを現場で使える形で展開し、予防保全による維持管理水準の向上を低コストで実現させることを目指します。期間は2018年度末までの5年間。これにより、笹子トンネル事故のような重大事故を未然に防ぎ、国内重要インフラを高い維持管理水準に維持するだけでなく、魅力ある継続的な維持管理市場を創造するとともに、海外展開を目指します。

この事業は、内閣府が推進するSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の10課題の一つである「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」を、同テーマの管理法人としてNEDOが実施するものです。

SIPとは、総合科学技術・イノベーション会議が司令塔機能を発揮して、府省の枠や旧来の分野の枠を超えたマネジメントに主導的な役割を果たすことを通じて、科学技術イノベーションを実現するために新たに創設されたプログラムです。

課題ごとにプログラムディレクターを選定しており、本事業では、藤野陽三氏(横浜国立大学安心・安全の科学研究教育センター特任教授)をプログラムディレクターとして、基礎研究から出口(実用化・事業化)までを見据え、規制・制度改革を含めた取組を推進します。

2.研究開発項目、委託テーマ及び予定先一覧

NEDOは、独立行政法人科学技術振興機構(JST)と、「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」のテーマを分担して実施します。NEDOが担当する研究開発項目は以下のとおりです。

[研究開発項目]

研究開発項目(1)点検・モニタリング・診断技術の研究開発

(B)点検・診断技術の実用化に向けた研究開発

打音点検技術や遠隔診断技術等の高精度化や高信頼度化を目的に、確実に実用化が期待できる非破壊・微破壊に基づく点検・診断技術の研究開発を行う。

研究開発項目(2)構造材料・劣化機構・補修・補強技術の研究開発

(D)構造物の補修・補強・更新に関する個別材料技術の研究開発

橋梁等の構造物を対象とし、作業簡便化や工期短縮化による低コスト化と長寿命化を目指した新たな補修・補強・更新材料に関する個別技術を開発する。

研究開発項目(3)情報・通信技術の研究開発

(B)インフラの多種多様なセンシングデータを処理・蓄積・解析する技術の開発

維持管理のためのプラットフォームとして、多種多様なデータを一元的に管理する大規模データベースに関する技術開発を実施する。

研究開発項目(4)ロボット技術の研究開発

(B)維持管理ロボット・災害対応ロボットの開発

  1. 維持管理ロボット
    • a)橋梁やトンネルの維持管理・点検要領に従い、打音検査を代替できる装置を有するロボット
    • b)橋梁の維持管理・点検要領に従い、橋脚・橋台または支承部の近接目視を代替できる装置を有するロボット
  2. 災害対応ロボット
    土砂崩落や火山災害時の、人の立入りができない災害現場において、以下のロボットの開発を行う。
    • c)掘削、押土、盛土、土砂運搬、排水作業等の応急復旧作業が可能なロボット
    • d)遠隔または自動による機械等の制御に係る情報の伝達機能を有するロボット

[委託テーマ及び予定先]

(1)点検・モニタリング・診断技術の研究開発

(B)点検・診断技術の実用化に向けた研究開発
研究開発テーマ名 委託予定先 概要
高速走行型非接触レーダーによるトンネル覆工の内部欠陥点検技術と統合型診断システムの開発 パシフィックコンサルタンツ株式会社 高速走行型非接触レーダーによる覆工コンクリートの内部欠陥の点検技術開発に取り組む。また変状をレーザー計測による3次元位置情報と同期し、空洞や内部欠陥を含む高精度な変状図を3次元可視化技術によってデータベース化するとともに、健全性を総合的に評価できる統合型診断システムの開発を行う。
高感度近赤外分光を用いたインフラの遠隔診断技術の研究開発 首都高技術株式会社、独立行政法人産業技術総合研究所、富士電機株式会社、住友電気工業株式会社、国立大学法人東北大学 コンクリート表面の中性化、塩分濃度、水分の存在を3m以上離れた遠方から短時間で取得でき、画像化できる高感度近赤外分光技術を用いたインフラの遠隔診断技術の開発を行う。
学習型打音解析技術の研究開発 独立行政法人産業技術総合研究所、首都高技術株式会社、東日本高速道路株式会社、株式会社テクニー インフラ老朽化に伴い急激に増大する点検作業に対し、点検員の技術に左右されず正確に損傷の検出が可能な打音検査技術を開発する。打音と内部の損傷程度を関連づけたデータベースを作成し、実際の打音から構造物内部の状況を把握できる解析システムを開発するとともに、現場で使用する打音装置と、検査結果を現場で損傷推定マップとして表示できるタブレット表示装置も開発する。
(2)構造材料・劣化機構・補修・補強技術の研究開発
 
(D)構造物の補修・補強・更新に関する個別材料技術の研究開発
研究開発テーマ名 委託予定先 概要
超耐久性コンクリートを用いたプレキャスト部材の製品化のための研究開発 国立大学法人岡山大学、ランデス株式会社、オリエンタル白石株式会社、JFEスチール株式会社 劣化要因が明確な部材の取替え工事において、既設部材よりも確実に高い耐久性を保証するプレキャスト部材の製品化を行う。
(3)情報・通信技術の研究開発
 
(B)インフラの多種多様なセンシングデータを処理・蓄積・解析する技術の開発
研究開発テーマ名 委託予定先 概要
インフラセンシングデータの統合的データマネジメント基盤の研究開発 大学共同利用機関法人国立情報学研究所、国立大学法人北海道大学、国立大学法人筑波技術大学 橋梁等のインフラ構造物の維持管理・更新・補修などに関わる膨大な情報の利活用を促進する一環として、多種多様なセンシングデータを統合的に捉えるように処置、蓄積、解析するためのデータマネジメント基盤の研究開発を目的とする。そのため、極めて高精度な時刻測定を可能とするチップスケール原子時計をセンサー技術に応用開発するとともに、センシングデータが示す特徴を集約し、可視化することで専門家による異常検知・劣化検出を支援するデータ解析・可視化システム技術を研究開発する。
高度なインフラ・マネジメントを実現する多種多様なデータの処理・蓄積・解析・応用技術の開発 東日本高速道路株式会社、株式会社ソーシャル・キャピタル・デザイン、株式会社横須賀テレコムリサーチパーク センサデータの効率的な活用や蓄積を可能とするため、データのクレンジングやアノテーション等の加工技術の開発を行うとともに、これらのデータや多種多様なインフラ管理等の膨大なデータを一元的に管理するデータベース(DB)を開発する。また、これら大規模DBを地方公共団体等が道路管理業務で容易に活用するための実用的なユーザインタフェースを開発し、さらにインフラ維持管理に関するデータの提供・共有に向けた情報システム、手順、体制等も開発する。
インフラ維持管理・更新に関する多種多様なデータの蓄積・管理・活用技術の研究開発 株式会社日立製作所 社会インフラから取得した各種センサデータと、その解析結果・統計値等の多様なデータを社会インフラ構造物と時間・空間的に対応付けるインデックス技術を開発する。さらに、センサデータを時間・空間的に分散配置し高速にインデックスを作成する分散処理技術と、インデックスを活用した正確・高速で柔軟な検索技術を備えたデータベースを構築する。
(4)ロボット技術の研究開発
 
(B)維持管理ロボット・災害対応ロボットの開発
研究開発テーマ名 委託予定先 概要
近接目視・打音検査等を用いた飛行ロボットによる点検システムの研究開発 新日本非破壊検査株式会社 飛行体により橋梁・トンネルなどの構造物に走行車輪を押し付けて接触、車輪駆動による移動を行い、近接目視、打音検査および、鋼製部材の超音波検査、塗装の調査などを接触状態で連続的に実施する点検ロボットシステムの研究開発を行う。
自在適応桁で支えられる橋梁点検ロボットシステムの研究開発 株式会社建設技術研究所、国立大学法人東京工業大学、株式会社ハイボット 橋梁の両側側面に置かれた小型支持車両から、伸展アームを有する点検ロボットを取り付けた水平ロッドをワイヤで吊り下げ、連結された水平ロッドに沿って伸展アームを有する点検ロボットを移動させ、添架物を自動的に避けながら橋梁表面にカメラや打音装置を圧接移動させ、連続的に点検作業をする橋梁点検ロボットシステムを開発する。
無人化施工の新展開~遠隔操作による半水中作業システムの実現~ 大成建設株式会社、独立行政法人土木研究所、一般社団法人日本建設機械施工協会、一般財団法人先端建設技術センター、青木あすなろ建設株式会社、株式会社大本組、鹿島建設株式会社、株式会社熊谷組、株式会社IHI、株式会社ニコン・トリンブル 現代の災害形態においてニーズが高いながらも従来技術では達成できない遠隔操作による水深2m程度の半水中作業システムの構築と実証・評価、遠隔操作型重運搬ロボットの開発、作業・走行支援センシング技術の開発、操作支援システム技術の開発を行う。
橋梁・トンネル点検用打音検査飛行ロボットシステムの研究開発 日本電気株式会社、株式会社自律制御システム研究所、独立行政法人産業技術総合研究所、一般財団法人首都高速道路技術センター 打音検査を自動的に実現する橋梁・トンネル点検用打音検査飛行ロボットシステムの研究開発を行う。GPS非親和環境においても自動で飛行・移動しつつ打検対象箇所を目視等により確認し、そこに打検機の打撃部を確実に定置できる小型軽量マルチローターヘリをプラットフォームとし、打音データと橋梁下部・トンネル内等打音位置とのマッピング機能を有する打音検査システムを実現する。
橋梁の打音検査ならびに近接目視を代替する飛行ロボットシステムの研究開発 国立大学法人東北大学、株式会社リコー、株式会社千代田コンサルタント、一般財団法人航空宇宙技術振興財団 橋梁・トンネルの打音検査と近接目視を代替し、効率的かつ経済的に損傷を発見するため、打撃・録音・異常音の検知を自動で行う外骨格型の小型マルチコプター、日照や汚れの条件に光学的にロバストな特殊カメラ、映像と司令の伝送を可能にする通信中継器を搭載したクモ型マルチコプター、直感的な指示に基づく自動巡航点検、損傷の位置を自動で特定し点検調書作成を支援する飛行ロボットシステムの研究開発を行う。
二輪型マルチコプタを用いたジオタグ付近接画像を取得可能な橋梁点検支援ロボットシステムの研究開発 富士通株式会社、国立大学法人名古屋工業大学、国立大学法人東京大学、国立大学法人北海道大学 橋梁の橋脚・橋台または支承部の近接目視を行うため、構造物に接触するまで近づくことができる小型の二輪型マルチコプタを研究開発し、近接画像を撮影し、撮影画像に点検個所の位置情報(ジオタグ)を自動添付してデータベース化し、構造物の現況の三次元計測モデル上で点検データを管理できる「橋梁点検支援ロボットシステム」の研究開発・実証を行う。
トンネル全断面点検・診断システムの研究開発 東急建設株式会社、国立大学法人東京大学、学校法人湘南工科大学 現場適応性や実用性を重視した現場で迅速に点検と変状判定を行う一次点検、さらに一次点検結果を受けて精密な点検を行う二次点検を1台で実施可能な点検システムを開発する。各点検システムをフレキシブルガイドフレームで構成される点検用アームに搭載し、自動車等の通行を妨げる事無く安全に取得する全断面点検・診断システムとして融合する。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO ロボット・機械システム部 担当:奥谷、品川、菅原  TEL:044-520-5241

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:佐藤、上坂、坂本  TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

【用語解説】

  • ICRT:情報通信技術(ICT:Information and Communication Technology)とロボット技術(IRT:Information and Robot Technology)を組み合わせた技術