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Press Release

iPS細胞から心筋細胞を大量製造

―京大iPS研の技術をタカラバイオが実用化へ―
2014年10月30日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
タカラバイオ株式会社
国立大学法人京都大学iPS細胞研究所

1000億円もの費用がかかる新薬開発コストの大半を占める臨床段階において、心臓に対する副作用で開発中止となるケースは約20%と一番多く、新薬開発のコスト増の要因となっています。そのため非臨床段階で心臓に対する副作用を正確に予測することが重要です。
 そこでNEDOは、医薬品の心臓に対する不整脈などの副作用予測に利用するための、ヒトiPS細胞由来心筋細胞の大量製造技術の開発に着手します。
 本プロジェクトでは、京都大学iPS細胞研究所の山下潤教授が開発したiPS細胞から心筋細胞への分化誘導技術をベースとし、新しい安全性評価試験法で求められる品質を備え、製造ロット間の差がない心筋細胞の大量製造を可能とする製造工程をタカラバイオ(株)が確立します。
 タカラバイオ(株)は、本プロジェクトで開発した成果をもとに、2015年度中に心筋細胞の商用製造を開始することを目指します。これにより、医薬品の副作用予測に利用される心筋細胞の市場は、5年後に100億円規模にまで成長することが期待されます。

  • ヒトiPS細胞由来の心筋細胞の大量製造を可能とする製造工程の確立の図

1.概要

新薬の開発では、500億円から1000億円もの費用がかかります。開発の途中において、有効性が確認できない、副作用が発生することなどにより、開発中止となるケースも多々あります。とりわけ開発コストの大半を占める臨床段階において、副作用で開発中止となるケースのうち、心臓に対する副作用で開発中止となるケースは約20%と一番多く、医薬品開発のコスト増の要因となっています。そのため非臨床の段階で心臓に対する医薬品の副作用を正確に予測することが求められています。心臓に対する安全性評価に関しては、臨床試験の廃止(ICH-E14※1の廃止)と非臨床試験の見直し(ICH-S7B※2の改訂)の国際的議論が昨年より開始されました。日本では、国立医薬品食品衛生研究所を中心とするグループ※3が、ヒトiPS細胞由来の心筋細胞を利用した新しい安全性評価試験法を提案するため、その有効性を立証するための検証試験を進めています。しかし、現在用いられているiPS細胞由来の心筋細胞は、製造ロット間に品質の差があるなど、目的により適した品質を備えた細胞を均一に製造することが求められています。
 そこでNEDOは、医薬品の心臓に対する不整脈などの副作用を予測するための、ヒトiPS細胞由来心筋細胞の大量製造技術の開発に着手します。
 具体的には、京都大学iPS細胞研究所の山下潤教授が開発したiPS細胞から心筋細胞への分化誘導技術をベースとし、新しい安全性評価試験法で求められる品質を備え、製造ロット間の差がない心筋細胞の大量製造を可能とする製造工程をタカラバイオ(株)が確立します。その際、国立医薬品食品衛生研究所を中心とするグループと連携し、同グループに心筋細胞の評価を依頼し、そのフィードバックを元に改善を行いながら開発を進めます。
 タカラバイオ(株)は、本プロジェクトで開発した技術をもとに、2015年度中に心筋細胞の商用製造を開始することを目指します。iPS細胞から安定的に大量の心筋細胞を製造する技術を確立することにより、医薬品の副作用予測に利用される心筋細胞の市場は、5年後に100億円規模にまで成長することが期待されます。

プロジェクト名: 国際基準化に向けた心毒性評価法確立のための細胞製造・計測技術の開発
事業期間: 2014年度
総事業費: 約2億円

なお、本事業は、内閣府に計上された「科学技術イノベーション創造推進費」の一部から、健康・医療戦略推進本部の決定に基づき経済産業省に配分された調整費を活用して実施します。

【用語解説】

※1 ICH-E14:医薬品の有効性に関する臨床評価の国際ガイドライン
※2 ICH-S7B:医薬品の安全性薬理試験の国際ガイドライン

※3 国立医薬品食品衛生研究所を中心とするグループ:厚生労働科学研究委託費 医薬品等規制調和・評価研究事業「ヒトiPS分化細胞を利用した医薬品のヒト特異的有害反応評価系の開発・標準化」

2.委託予定先

  • タカラバイオ株式会社
  • 国立大学法人京都大学iPS細胞研究所(CiRA)
  • アルファメッドサイエンティフィック株式会社
  • ブレインビジョン株式会社

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO バイオテクノロジー・医療技術部  担当:三代川、長谷川  TEL:044-520-5230
タカラバイオ(株) 事業開発部  担当:青木、山本、河村  TEL:077-543-7235

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部  担当:上坂、佐藤、坂本  TEL:044-520-5151
E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp