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Press Release

消費電力世界最小のウェアラブル生体センサ技術を開発

-独自の「ノーマリーオフ化技術」により消費電力1/10に目処-
2014年11月11日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
ローム株式会社

NEDOとローム株式会社は、次世代のウェアラブル生体センサに最適な超低消費電力技術の開発に成功しました。不揮発性メモリ(FeRAM)と不揮発性ロジックの技術を組み合わせることにより、必要なときだけ電源をオンにする独自の「ノーマリーオフ化技術」を確立しました。本技術を用いたウェアラブル生体センサモジュールは、平均消費電流38µAと従来比1/5の消費電力で行うことが可能です。
 さらに、消費電力を従来比1/10とする目処も立っており、従来のバッテリー寿命を10倍に延ばすウェアラブル生体センサの製品とともに、構造物の監視センサや農業用センサなどへも広く応用が期待されます。

  • 図1.ウェアラブル生体センサモジュールの消費電力構成比
    図1.ウェアラブル生体センサモジュールの消費電力構成比

1.概要

 スマートフォンやウェアラブル機器など小型・軽量のモバイル電子機器において、電力使用量を小さく抑えて、バッテリーを長持ちさせることは追求すべき課題の一つです。
 これに対しNEDOは、電源が遮断されてもデータを失わない不揮発性デバイス※1を使用することで、消費電力を従来の1/10に低減することを目標に、「ノーマリーオフコンピューティング基盤技術開発」プロジェクトを2011年から実施してまいりました。
 この度、NEDOとローム株式会社は、次世代のウェアラブル生体センサに最適な超低消費電力技術の開発に成功しました。この技術は、ロームが神戸大学吉本研究室と共同で、不揮発性メモリ(FeRAM)と不揮発性ロジックの技術を組み合わせ、独自のノーマリーオフ※2化技術を確立したものです。
 本技術を用いたウェアラブル生体センサモジュールは、体表面から心拍数の取得や加速度センサなど他のデジタル出力センサの情報も取得、演算、記録することが可能です。また、通信機能を搭載し、スマートフォンと連動したデータ通信では、平均消費電流38µA、従来比1/5の消費電力で行うことが可能です。
 さらに、消費電力を従来比1/10とする目処も立っており、従来のバッテリー寿命を10倍に延ばすウェアラブル生体センサの製品とともに、構造物の監視センサや農業用センサなどへも広く応用が期待されます。
 今回の成果については、ローム株式会社はIEEEが認定する国際学会BioCAS※3(2014.10.22-24: スイス)で発表するとともに、ASSCC※4(2014.11.10-12: 台湾)でも発表を予定しています。

  • 図2.「ノーマリーオフ動作」導入前後イメージ
    図2.「ノーマリーオフ動作」導入前後イメージ

2.今回の成果

 今回、ロームの0.13µm CMOSプロセス、不揮発性メモリを活用し、センサや信号処理部・通信部において、処理が無い時間は電源を積極的にオフして待機電力をなくし、必要に応じて電源を即座にオンする「ノーマリーオフ動作」を実現し、次世代のウェアラブル生体センサに最適な超低消費電力技術の開発に成功しました。
 本技術を用いたウェアラブル生体センサモジュールにおいては、体表面のわずかな電位差(心電波形)から心拍数を取得(世界最小6µA、※2014年11月11日現在 ローム調べ)し、加速度センサなど他のデジタル出力センサの情報も取得、演算、記録することが可能です。また、通信機能も搭載しており、スマートフォンと連動してウェアラブル生体センサの制御とデータ通信を提供します。これらを消費電流38µAと従来比1/5の消費電力で動作が可能です。
【世界最小を達成できた理由】
 本技術では、下記3点の省電力化を実現することで世界最小の消費電力を達成しました。
   理由(1) 心拍取得部の電力を従来比20分の1に削減
   理由(2) メモリ部の平均電力を10分の1以下に削減
   理由(3) ロジック部の消費電力も半分以下に削減

  • 図3.ノーマリーオフ動作による電力の極小化
    図3.ノーマリーオフ動作による電力の極小化

3.今後の予定

 今後は、「ノーマリーオフコンピューティング基盤技術開発」プロジェクトの最終年度(平成27年度)に向けて、目標である消費電力を従来比1/10とする研究開発を確実に進めて、広く応用への展開を図っていきます。

【用語解説】

  • ※1 不揮発性デバイス
    電源を供給しなくても、データが保持されるデバイス。不揮発性メモリの代表的なものとしてフラッシュメモリやFeRAM、EEPROMなどがある。対して揮発性メモリとしてDRAM、SRAMがある。
  • ※2 ノーマリーオフ
    システム内の真に動作すべき構成要素以外の電源を積極的に遮断すること。電源遮断をしてもシステムの状態やデータを忘れない不揮発性メモリなどのデバイスが必要とされる。
    エレクトロニクス業界には「間欠動作」という語句があるが、動作状態を継続して保持する必要があるメインの構成要素の電源は落とせないという課題があった。
  • ※3 BioCAS(Biomedical Circuits and Systems Conference)
    IEEEに認定されている国際学会で、先進的な生物・医学分野における革新的デバイスの開発の発表、及び意見交換を行う。今年で10周年になる。
  • ※4 ASSCC(Asian Solid-State Circuits Conference)
    IEEEに認定されている国際学会で、アジアで開催される。半導体分野で最新かつ高度な製品、回路技術の発表を行う。

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 電子・材料・ナノテクノロジー部 担当:高橋、荒井 TEL:044-520-5211
ローム株式会社 メディア企画部広報G TEL:075-311-2121

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:上坂、佐藤、坂本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp