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Press Release

府省の枠を越えてSIPインフラモニタリングシステム現場実証事業を開始

―予防保全による維持管理水準の向上を低コストで実現―
2014年12月4日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川一夫

NEDOは、国内のインフラを高い水準で維持・管理し続けるため、インフラ構造物のモニタリングに必要となる、各種センサ技術、データ伝送技術、解析技術等を組み合わせたインフラモニタリングシステムの現場実証事業を開始します。

本事業は、内閣府が推進するSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の課題の一つである「モニタリングシステムの現場実証(海洋・沿岸構造物及び空港施設)」について、この課題の管理法人であるNEDOが委託事業として実施するものです。

  • 本事業が対象とするモニタリング技術の説明図
    図:本事業が対象とするモニタリング技術
    (出典:社会インフラのモニタリング技術活用推進検討委員会資料より)

1.概要

国内のインフラ更新や修繕に要する費用は、今後50年間に190兆円に達するともいわれています。また、NEDOが経済産業省と実施した予測では、ロボット産業の将来市場がサービス分野におけるロボットの普及により、2035年には社会インフラ分野で約1,800億円に成長すると見込まれています。

NEDOは、本事業において、インフラの維持管理に関わるニーズと技術開発のシーズとのマッチングを重視し、世界最先端の構造材料技術、および情報通信技術とロボット技術を組み合わせたICRTを現場で使える形で展開し、予防保全による維持管理水準の向上を低コストで実現させることを目指します。これにより、笹子トンネル事故のような重大事故を未然に防ぎ、国内重要インフラを高い維持管理水準に維持するだけでなく、魅力ある継続的な維持管理市場を創造するとともに、海外展開を図ります。

この度、NEDOは、国内のインフラを高い水準で維持・管理し続けるため、インフラ構造物のモニタリングに必要となる、各種センサ技術、データ伝送技術、解析技術等を組み合わせたインフラモニタリングシステムの現場実証事業を開始します。

本事業は、内閣府が推進する「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)/インフラ維持管理・更新・マネジメント技術/点検・モニタリング・診断技術の研究開発」のうち、「モニタリングシステムの現場実証(海洋・沿岸構造物及び空港施設)」の研究テーマについて、NEDOが実施するものです。事業期間は2018年度末までの5年間を予定しています。

SIPとは、総合科学技術・イノベーション会議が司令塔機能を発揮して、府省の枠や旧来の分野の枠を超えたマネジメントに主導的な役割を果たすことを通じて、科学技術イノベーションを実現するために新たに創設されたプログラムです。課題ごとにプログラムディレクターを選定しており、本事業では、藤野陽三氏(横浜国立大学先端科学高等研究院上席特別教授)をプログラムディレクターとして、基礎研究から出口(実用化・事業化)までを見据え、規制・制度改革を含めた取組を推進します。

【用語解説】

  • ICRT:情報通信技術(ICT:Information and Communication Technology)とロボット技術(IRT:Information and Robot Technology)を組み合わせた技術

2.研究開発項目、委託テーマ及び予定先一覧

本事業は、SIP事業として、独立行政法人科学技術振興機構(JST)、国土交通省との連携のもと、NEDOが「モニタリングシステムの現場実証(海洋・沿岸構造物及び空港施設)」として実施するものです。

(1)研究開発項目

<開発項目>

  • 〔1〕桟橋上部工下面部変状把握用モニタリングシステムの構築と現場実証(計測・分析)
  • 〔2〕岸壁等エプロン部空洞把握用モニタリングシステムの構築と現場実証(計測・分析)
  • 〔3〕港湾等の施設の維持管理の高度化に係るモニタリングシステムの構築と現場実証(計測・分析)
  • 〔4〕空港の舗装体内変状把握用モニタリングシステムの構築と現場実証(計測・分析)
  • 〔5〕空港の舗装の日常点検支援用モニタリングシステムの構築と現場実証(計測・分析)

(2)研究開発テーマ及び委託予定先等

以下の7テーマを委託事業として実施する予定です。

〔1〕桟橋上部工下面部変状把握用モニタリングシステムの構築と現場実証(計測・分析)
研究開発テーマ名 委託予定先 概要
ラジコンボートを用いた港湾構造物の点検・診断システムの研究開発 五洋建設株式会社 本システムは操縦用カメラおよび点検撮影用カメラを搭載した無人のラジコンボート本体と、桟橋上部で操作する操縦部分および撮影したデータおよび関連情報のデータベース化と演算処理を行う劣化診断処理部分から構成される。また画像および関連情報のデータベース化と劣化の経時的変化をCIMにより一元管理し、さらに自動で部材劣化診断から構造物全体の劣化診断までを行う専用ソフトウェアを開発する。最終的にはラジコンボートによる点検・調査システムと自動劣化診断ソフトウェアを組み合わせ、総合的な維持管理システムを構築する。
〔2〕岸壁等エプロン部空洞把握用モニタリングシステムの構築と現場実証(計測・分析)
研究開発テーマ名 委託予定先 概要
車両牽引型深層空洞調査用GPR及び鉄筋コンクリート対応型マルチチャンネルGPRによる空洞及び裏込沈下モニタリングシステムの研究開発 川崎地質株式会社 空洞探知並びに探査可能深度に優れたチャープ方式を利用した車両牽引式地中レーダ探査システム及び鉄筋コンクリートエプロン直下の空洞探知に優れたインパルス方式のマルチチャンネル地中レーダシステムによる併用調査システムを提案し、矢板式係船岸において発生する土中空洞や重力式係船岸における裏込材又は裏埋材の沈下やエプロン直下の空洞を検知把握できることを現場検証で確認する。
〔3〕港湾等の施設の維持管理の高度化に係るモニタリングシステムの構築と現場実証(計測・分析)
研究開発テーマ名 委託予定先 概要
衛星及びソナーを利用した港湾施設のモニタリングシステムの構築 五洋建設株式会社
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
衛星と水中ソナーを用い、港湾施設の沈下や変状を広域かつ詳細にモニタリングする手法を開発するため、〔1〕港湾施設全体の構造物の変状を広域観測可能なALOS-2等合成開口レーダによる衛星画像から抽出する技術と、〔2〕高精度水中ソナーによる水中部の港湾構造物の変状(基礎の洗掘や消波ブロックの沈下など)も含め構造物全体の詳細な変状計測技術を開発し、効率的で低廉なモニタリング手法を開発する。
〔4〕空港の舗装体内変状把握用モニタリングシステムの構築と現場実証(計測・分析)
研究開発テーマ名 委託予定先 概要
地上設置型合成開口レーダおよびアレイ型イメージングレーダを用いたモニタリング 国立大学法人東北大学
独立行政法人情報通信研究機構
広範囲にわたる対象域を地上設置型合成開口レーダ(GB-SAR)で数分ごとに計測し、異状がある可能性のある位置を特定した上で精査のためのアレイ型イメージングレーダ(アレイ型GPR)を併用して内部構造を検査する。GB-SARに関しては最適な周波数、偏波利用、設置場所等に関する検証を行い最適な計測手法を確立する。アレイ型GPRに関してはマルチスタック型のレーダを利用して、舗装体内部の損傷などに起因する微弱な信号を検知可能なことを実証する。
〔5〕空港の舗装の日常点検支援用モニタリングシステムの構築と現場実証(計測・分析)
研究開発テーマ名 委託予定先 概要
高解像度画像からのクラック自動抽出技術による空港の舗装巡回点検用モニタリングシステムの研究開発 株式会社アルファ・プロダクト 記録対象のクラックに沿ってアルミ製の折り畳み式スケールを展開し、スケール上のポイントに合わせてカメラ付きの4脚をセットして撮影を繰り返し、対象の全長を記録する(夜間はストロボを使用)。撮影画像をPCに取り込み、画像からクラックの幅と長さを0.5mm精度で抽出し、クラックと画像を接合して保存、DXFデータに変換して平面図に転記する。なおクラック起点座標記録にはGPSを利用し、起点から終点の方位を記録して平面図と合致させる。
3次元カメラと全方位型ロボットによる滑走路のクラック検知システムの研究開発 エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 3次元カメラを搭載した独立四輪型の全方位型ロボットにより、滑走路のクラックをエリア指定、または、座標指定によりその3次元画像を取得するシステムと3次元画像からクラックを抽出するシステムの開発を行う。また、開発するクラック検知システムを空港舗装の日常点検業務に適用することで日常点検業務の効率化に寄与することを目的とする。
空港管理車両を活用した簡易舗装点検システムの開発 国立大学法人東京大学
パシフィックコンサルタンツ株式会社
株式会社ソーシャル・キャピタル・デザイン
空港舗装路面簡易計測及び変状識別システムを開発し、それらを用いた空港全体の劣化状態の分布や舗装路面状態の経時変化等が確認できるモニタリングシステムを開発する。また、取得したデータを活用して、路面状態に関する時間的、空間的な変状の傾向や規則性等を分析するとともに、本成果を活用した業務の効率化や既存システムとの連携の可能性について検討を行う。こうした研究開発と実証評価を通じて、点検業務の高度化/効率化と見落としの防止及び変状の正確な把握を同時に実現する。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO ロボット・機械システム部 担当:品川、古屋、奥谷 TEL:044-520-5241

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:上坂、佐藤、坂本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp