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Press Release

アジア初、マルクス・ヴァーレンベリ賞を受賞

―磯貝東大教授らが森林・木材科学分野で快挙―
2015年9月30日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川一夫

東京大学大学院農学生命科学研究科磯貝明教授らが、アジアで初めてマルクス・ヴァーレンベリ賞を受賞し、9月28・29日にスウェーデン・ストックホルムで授賞式が行われました。

今回の受賞は、国産未利用針葉樹材から得られる木材セルロースから、TEMPO酸化触媒を用いて高効率にセルロースシングルナノファイバー(CSNF)を生成する革新的な研究等によるものです。NEDOプロジェクトでは、CSNFの産業応用に取り組み、本分野における世界的な研究拡大の先駆けとなりました。

  • TEMPO酸化触媒を用いたセルロースナノファイバーの調製とその応用展開
    TEMPO酸化触媒を用いたセルロースナノファイバーの調製とその応用展開

1.概要

東京大学大学院農学生命科学研究科の磯貝明教授と齋藤継之准教授、元・同研究科助教で現フランス国立科学研究庁植物高分子研究所上級研究員の西山義春博士が、国産未利用針葉樹材から得られる木材セルロースから、TEMPO酸化触媒※1を用いて、高効率にセルロースシングルナノファイバー(CSNF)※2を生成する革新的な研究が評価され、アジアで初めてマルクス・ヴァーレンベリ賞※3を受賞しました。

マルクス・ヴァーレンベリ賞は、森林・木材科学分野におけるノーベル賞とも呼ばれる権威ある賞です。1981年に創設され、ヴァーレンベリ財団が毎年1名または1グループを表彰します。授賞式は9月28・29日に、スウェーデン・ストックホルムのグランドホテルにおいて、スウェーデン国王夫妻をお迎えして行われ、授賞式には磯貝教授、齋藤准教授、西山博士の3名が揃って参列しました。

NEDOプロジェクトでは、磯貝教授ら研究チームの成果を活用して、産業分野への応用研究を行いました。CSNFは結晶性と柔軟性を併せ持ち、バイオマス素材で高ガスバリアフィルムの作製を可能としました。また、CSNFは強くて軽いため複合材料の強化に有効なほか、液体のレオロジー特性の改質にも寄与するなど、応用可能な範囲は広く、増粘剤、金属担持シートなどその特長を生かした新規な用途開拓を行い、化学薬品の安定剤、エレクトロデバイス、各種フィルター、抗菌・脱臭シートなどでの利用も期待されています。

【参考】本受賞者に関係する主なNEDOプロジェクト

事業名:
セルロースシングルナノファイバーを用いた環境対応型高機能性包装部材の開発
事業期間:
2007~2009年度
予算総額:
2.0億円
 
事業名:
セルロースシングルナノファイバーを用いた環境対応型高機能性包装部材の実用化技術開発
事業期間:
2010~2012年度
予算総額:
3.0億円

【用語解説】

※1 TEMPO酸化触媒
樹木は、セルロース分子からできており、幅がナノレベル(3~4nm)の極細繊維であるセルロースミクロフィブリルから構成されている。しかし、強固に結合しているため、これまで低エネルギーで完全に解繊することはできなかった。TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシラジカル)触媒を用いた特殊な酸化反応を使用するとミクロフィブリルの表面がイオン化し、その静電反発によって水中で容易にナノ分散が可能になる。磯貝教授らの見出したこの方法は、従来法の機械的解繊に比べエネルギー消費を劇的に低減できるだけでなく、生成されたナノファイバーの均質性も向上する。
※2 セルロースシングルナノファイバー(CSNF)
セルロースの構成単位であるセルロースミクロフィブリルまで解繊されたナノファイバーをシングルナノファイバーと呼んでいる。
※3 マルクス・ヴァーレンベリ賞
財団は1980年にストラ・エンソ社によって創立され、森林・木材科学分野、関連生物分野において独創的かつ卓越した研究成果、あるいは実用化に大きく貢献した功績を対象に表彰を行う。授賞式が開催されるストックホルムのグランドホテルは、ノーベル賞受賞者が宿泊することでも知られている。

2.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 電子・材料・ナノテクノロジー部 担当:畠山、森田、後藤 TEL:044-520-5220

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:髙津佐、坂本、佐藤 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp