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Press Release

高効率調湿外気処理ユニットと高断熱ファサードの開発に目途

―ZEB化普及に向け、先進的事務所ビルの空調エネルギー消費量60%削減目指す―
2015年11月13日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川一夫

NEDOのプロジェクトにおいて、(株)竹中工務店が取り組んでいる、小型で従来の空調方式と比べて30%のエネルギー効率の向上が期待できる「高効率調湿外気処理ユニット」と、年間を通した外皮からの熱負荷を半減できる「高断熱ファサード」の開発に目途が立ちました。

今後、2016年2月末を目途に実用化を目指すとともに、これらを組み合わせたシステムで、先進的事務所ビルにおける空調の一次エネルギー消費量60%以上の削減効果を確認し、省エネルギー化を図った競争力のあるZEBの普及を図ります。

  • 高効率調湿外気処理ユニットの構成と高効率調湿外気処理ユニットの構成の図

1.概要

現在、オフィスビルで使用されている空調システムは、空気を冷却することで結露させて水分を取り除く方法で除湿するため、除湿により室内温度が下がることで、再び空気を加熱する必要があるなど、快適な温熱環境の形成には、外気の高効率な処理が求められています。また、1年を通じて寒暖差の大きい日本では、ビル外皮の断熱性能を向上させることが求められているなど、オフィスビルなどの建物のZEB※1化に向けた要素技術の開発が必要となっています。さらに、2014年に閣議決定された「エネルギー基本計画」では、「2020年までに新築公共建築物で、2030年までに新築建物の平均でZEBの実現を目指す」政策を掲げており、建物のZEB化に向けた要素技術の開発が期待されています。

このような背景のもと、今般、NEDOプロジェクト※2において、株式会社竹中工務店が取り組んでいる、従来に比べて30%の高効率化と設備の省スペース化を実現可能な「高効率調湿外気処理ユニット」と、年間を通した外皮からの熱負荷を半減できる「高断熱ファサード」の開発に目途が立ちました。今後、2016年2月末を目途に実用化を目指します。

(株)竹中工務店は、「高効率調湿外気処理ユニット」と「高断熱ファサード」を組み合わせたシステムを構築することで、先進的事務所ビルにおける空調の一次エネルギー消費量60%以上の削減効果を確認し、省エネルギー化を図った競争力のあるZEBの普及を目指します。

なお、これらの成果の一部を、2015年11月25日(水)~27日(金)の間、東京ビッグサイトで開催される「NEDO省エネルギー技術フォーラム2015」において展示します。

2.今回の成果

【1】高効率調湿外気処理ユニット

これまで(株)竹中工務店では、温度と湿度を別々に制御することで除湿のために過剰に温度を下げず、高めの温度設定でも湿度が低く快適に過ごすことができる「デシカント空調機」を開発し、超省エネビルで採用してきました。しかし、同技術は除湿を行うための巨大なデシカントロータを回転させ吸湿と再生を繰り返すために空調機本体が大きくなり、専用の機械室に設置する必要がありました。

今回、株式会社クボタと共同で開発中の「高効率調湿外気処理ユニット」は、吸放湿モジュールを流路の切り替えによる簡素な機構で吸湿と再生を繰り返す構造としたことで機器の高さを450mmに抑え、天井内に設置可能な大きさを実現します。従来の空調機を納める機械室が不要なだけでなく、小型化により既存建物のリニューアル工事にも容易に対応することができます。また吸放湿モジュールの冷却、再生に地中熱や太陽熱など自然エネルギーを利用することで、従来の空調に比べて外気処理のエネルギー効率が30%向上します。

調湿外気処理ユニット内の空気の流れ(夏の場合)

【2】高断熱ファサード

今回、YKK AP株式会社と共同開発中の「高断熱ファサード」は、外側ユニットと内側ユニットで構成されています。外側ユニットは、アルミフレームとブラインドを内蔵した2枚のガラスからなり、このブラインドで季節や時間に応じて日射を反射します。内側ユニットは、木質材料や樹脂を使用した断熱フレームで、フレームを通じて伝わる熱を遮断します。

従来の標準的なビルの外皮(アルミフレームサッシとLow-eガラスを想定)と比べて2.7倍高い断熱性能を実現しました。さらに内蔵するブラインドにより日射を遮蔽することで、年間を通じた外皮からの熱負荷を半減できることをシミュレーションで確認しています。

3.今後の予定

(株)竹中工務店は、今回開発した「高効率調湿外気処理ユニット」と「高断熱ファサード」を組み合わせたシステムを構築することで、先進的事務所ビルにおける空調の一次エネルギー消費量60%以上の削減効果を確認していきます。なお、「高効率調湿外気処理ユニット」については、今年8月から実験棟での実用化の検証を進めておりますが、今後、(株)竹中工務店東関東支店のZEB化を目指した改修工事に先行して適用します。

これらの成果を、今後、一般オフィスビルのZEB化ニーズへの対応と普及促進を目的に広く展開していく予定です。

  • 近未来ビル対応型建築ファサード・潜顕熱分離空調システムのイメージ
    近未来ビル対応型建築ファサード・潜顕熱分離空調システムのイメージ

【用語解説】

※1 ZEB
Net Zero Energy Buildingの略で、建築構造や設備の省エネルギー、再生可能エネルギー・未利用エネルギーの活用、地域内でのエネルギーの面的(相互)利用などの対策をうまく組み合わせることにより、エネルギーを自給自足し、化石燃料などから得られるエネルギー消費量がゼロ、あるいは、概ねゼロ、となる建築物のことをいいます。
※2 NEDOプロジェクト
2012年度から実施している「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」のことで、本プログラムでは、「省エネルギー技術戦略」で掲げられた産業、家庭・業務、運輸部門等における日本の省エネルギーに寄与する14の重要技術を中心に、中小・ベンチャー企業、大手企業、大学、研究機関などに対して、開発・導入シナリオの策定等から事業化まで切れ目のない支援を実施しています。

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 省エネルギー部 担当:永井、楠瀬 TEL:044-520-5281

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:髙津佐、坂本、佐藤 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp