本文へジャンプ

Press Release

ジメチルスルホキシドを使用しない細胞凍結保存液を開発

―ゼノアックリソース社が商品化―
2015年11月25日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
ゼノアックリソース株式会社
国立研究開発法人国立成育医療研究センター
幹細胞評価基盤技術研究組合
国立研究開発法人日本医療研究開発機構

NEDOプロジェクトの成果をもとに、幹細胞評価基盤技術研究組合の組合員であるゼノアックリソース(株)は、国立成育医療研究センターや産業技術総合研究所と共同で、ジメチルスルホキシド(DMSO)を使用しない細胞凍結保存液を開発しました。

細胞の凍結保存時には、細胞内の氷の結晶化によるダメージを防ぐため、DMSOが使用されています。一方で、DMSO濃度が高くなると、細胞毒性を示すことも知られており、DMSOを使用しない凍結保存液の開発も望まれていました。

今回開発した細胞凍結保存液は、間葉系幹細胞を始め様々な細胞に適応可能で、ゼノアックリソース(株)が商品化し、2015年12月1日に販売を開始します。

細胞冷凍保存液

今回開発した細胞凍結保存液

発売元: ゼノアックリソース株式会社

製造元: 日本全薬工業株式会社

  • 本製品の国内における販売はタカラバイオ株式会社と提携しています。
  • 本製品は医薬品ではありません。
  • 本製品はDMSOにより分化誘導が懸念される細胞の凍結保存、DMSOの毒性が心配なお客様のために開発されました。血清タイプ・無血清タイプに加え、お客様の選択肢がさらに広がりました。

1.概要

NEDOは、「再生医療の産業化に向けた細胞製造・加工システムの開発」※1において、医療の場に供される再生医療製品を安全かつ安価に製造・加工するための、各プロセスが連携した製造システム構築に関する研究開発を実施してきました。現在、世界的に間葉系幹細胞※2の再生医療への実用化研究が進んでいる中で、阿久津 英憲 国立成育医療研究センター部長をサブプロジェクトリーダーとする間葉系グループは、幹細胞評価基盤技術研究組合※3の組合員企業、大学、研究機関と連携して、間葉系幹細胞の安全性と経済性を考慮した上で、より高品質な細胞原料を供給するための幹細胞評価技術、自動培養技術、分離・精製技術および保存技術の要素を重点的に開発することを目的として推進しています。これらを達成することにより、今後、安全、安心、安価な細胞供給が実現し、間葉系幹細胞を応用した再生医療産業の発展が期待されています。

本プロジェクトにおいて、組合員企業のゼノアックリソース株式会社は、細胞凍結保存に関する技術を応用し、既知成分からなるXeno-フリー(ヒト以外の動物成分が含有されていない)の概念を満たす最適なDMSO※4フリータイプの凍結保存液の処方検討を行ってきました。また、研究期間中にGood Manufacturing Practice(GMP)※5生産体制を整え、GMPに準拠した製品化を達成できるよう進めてきました。そして今般、産業技術総合研究所や国立成育医療研究センターなどの複数施設において行われた評価試験で、このDMSOフリー・GMPグレードの凍結保存液が様々な間葉系幹細胞を良好な状態で凍結保存できることが示され、予定よりも早期に生産体制および製品化の目標を達成することができました。

本製品の製造においては、GMPに準拠した製造管理および品質管理が行われます。ケミカリーディファインド(化学的に定義された既知成分からなる)処方でXeno-フリーの概念を満たしているだけでなく、これまで以上に品質の高い製品が供給できるため、バイオテクノロジーや細胞の保存・輸送の品質管理が必須となる再生医療分野で大きく貢献できるものと期待されます。

本製品は、ゼノアックリソース株式会社が商品化し、2015年12月1日に販売を開始します。

【用語解説】

※1 再生医療の産業化に向けた細胞製造・加工システムの開発
事業期間は2014年度~2018年度であり、うち本成果に係るテーマは2014年度~2016年度。また、本プロジェクトは、2014年度はNEDOで実施し、2015年度から国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)で実施しています。
※2 間葉系幹細胞
骨髄や脂肪など「間葉」といわれる組織由来の体性幹細胞で、軟骨、骨、脂肪、心筋、神経などへの分化能を有し、iPS/ES細胞と共に、再生医療への応用が大きく期待されている細胞です。腫瘍形成能がほとんど無いと考えられており、間葉系幹細胞を用いた多くの臨床研究が国内外で進められています。
※3 幹細胞評価基盤技術研究組合
幹細胞評価基盤技術研究組合は、「幹細胞実用化に向けた評価基盤技術の開発」を実施するため、2011年2月に設立されました。企業26、研究機関2、団体1の計29の組合員で構成されています。組合と同様に本プロジェクトを実施している大学、研究機関等と共同研究体制を構築し、研究開発を推進しています。
※4 DMSO
ジメチルスルホキシド(Dimethyl sulfoxide)は、(CH3)2SOの分子式で表される有機化合物で、細胞凍結保存時に細胞内で氷が結晶化し、ダメージを与えるのを防ぐために添加しており、国内の細胞バンクを始め、臨床用・研究用を問わず広く使用されています。一方で、DMSO濃度が高くなると細胞毒性を示すことも知られており、DMSOを使用しない凍結保存液の開発も望まれていました。
※5 Good Manufacturing Practice(GMP)
GMPは、医薬品および医薬部外品の品質確保を図るため、原料の受入れから最終製品の包装、出荷に至るまで、全製造工程における組織的な管理に基づく品質保証体制を確立するために定められた基準です。GMPグレード品は、新たに建設したGMP基準に適合した工場で、GMP体制の下、GMP基準に則った製造方法で製造しています。製品が環境にさらされる作業はすべてグレードA環境で実施し、調製液のバイオバーデン管理、無菌ろ過フィルターの完全性試験を行うことによって無菌性を保証しています。

2.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO ロボット・機械システム部 担当:福井 TEL:044-520-5241

ゼノアックリソース株式会社 細胞工学研究室室長 佐瀬 孝一 TEL:024-945-2300

国立研究開発法人国立成育医療研究センター 研究所 再生医療センター 生殖医療研究部
部長 阿久津 英憲 TEL:03-5494-7048

幹細胞評価基盤技術研究組合 専務理事 中村 吉宏 TEL:03-5541-2790

国立研究開発法人日本医療研究開発機構 戦略推進部 再生医療研究課 TEL:03-6870-2220

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:佐藤、髙津佐、坂本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp