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Press Release

高温超電導の実用化を促進する技術開発4テーマに着手

―基盤・実証技術開発の総合実施により実用化を促進へ―
2016年5月17日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川 一夫

NEDOは、高温超電導の実用化を促進する技術開発4テーマに着手します。

電力分野では、超電導ケーブルシステム実用に不可欠な安全性能の確保、事故・故障発生時の復旧方法の策定、運輸分野では、超電導直流技術送電の実証を行い、設計・建設方法および運用・保守・障害復旧等の基準案を策定、産業分野では、磁気共鳴画像装置(MRI)分野への適用を狙いとした高温超電導高安定磁場マグネットシステムの技術開発、さらに磁場特性の向上ならびにコスト低減を目指す高温超電導線材の技術開発を実施、促進し、早期実用化を目指します。

1.概要

本プロジェクトでは、既存プロジェクトを包含・進展し、事業化に近い段階の4テーマから基盤技術開発、実証技術開発を総合して実施します。

電力分野では、分散化する発電所から集中化傾向にある需要地にエネルギーロスを最小限に抑えて送電を行う送電技術の確立が必要であり、超電導※1ケーブルシステム実用に不可欠な安全性能の確保、事故・故障発生時の復旧方法の策定を行います。また、運輸分野では、超電導直流技術送電の実証を行い、設計・建設方法および運用・保守・障害復旧等の基準案策定を行います。産業分野では、ヘリウムレス※2で省エネルギー並びに競争力強化のため、磁気共鳴画像装置(MRI)※3分野への適用を狙いとした高温超電導高安定磁場マグネットシステムの技術開発を実施します。さらに超電導応用商品実現のための基盤技術開発として、超電導マグネット用途の要求を満たす磁場特性の向上※4ならびにコスト低減を目指す高温超電導線材※5の技術開発を実施、各実施内容を促進、早期実用化を目指します。

2.事業の内容

【1】事業名

高温超電導実用化促進技術開発

【2】事業総額

81億円規模

【3】採択テーマと委託・助成予定先

<電力送電用高温超電導ケーブルシステムの実用化開発>

今までのプロジェクトから、直流・交流ともに一定距離の送電が可能なことを実証しました。本プロジェクトでは、超電導ケーブルの外部からの不測の事故(地絡※6・短絡※7・外傷)時等に生じる現象と影響を把握することにより、実用への不可欠な安全性確保のための技術を確立するとともに、事故・故障発生時の復旧ガイドラインを策定します。

【助成予定先】
東京電力ホールディングス株式会社、住友電気工業株式会社、
古河電気工業株式会社、株式会社前川製作所
【事業期間】
2016~2018年度(3年間)
【助成予定先】
石狩超電導・直流送電システム技術研究組合
【事業期間】
2016年度(1年間)

  • 図 高温超電導ケーブルシステム
    高温超電導ケーブルシステム

<運輸分野への高温超電導適用基盤技術開発>

低損失・大容量送電が可能な鉄道き電線※8システム開発と安全性および信頼性の実証を総合的に実施することにより、都市部を中心とした鉄道輸送力を高める送電技術を目指し、実用化の重要な課題である長距離冷却技術を開発、実証します。

【委託予定先】
公益財団法人鉄道総合技術研究所
【事業期間】
2016~2020年度(5年間)

  • 図 鉄道き電線への適用
    鉄道き電線への適用

<高温超電導高安定磁場マグネットシステム技術開発>

ヘリウムレス、省エネルギーおよびシェア拡大に資する高温超電導高磁場マグネットシステムを開発するとともに、今後永久電流モードでの安定高磁場生成のための超電導接続技術の実現に向けた研究開発を実施します。

【委託予定先】
三菱電機株式会社、国立研究開発法人産業技術総合研究所
【委託予定先】
古河電気工業株式会社
【事業期間】
2016~2020年度(5年間)

  • 図 磁気共鳴画像装置(MRI)
    磁気共鳴画像装置(MRI)

<高温超電導高磁場コイル用線材の実用化技術開発>

超電導応用商品実現のための基盤技術開発として、超電導マグネット用途の要求を満たす磁場特性の向上およびコスト低減を目指す高温超電導線材を技術開発します。

【委託予定先】
株式会社フジクラ、国立研究開発法人産業技術総合研究所
【助成予定先】
株式会社フジクラ
【事業期間】
2016~2018年度(3年間)

  • 図 高温超電導線材の実用化開発
    高温超電導線材の実用化開発

【用語解説】

※1 超電導
超電導とは非常に低い温度で物質の電気抵抗がゼロになる現象です。極低温(-273℃/液体ヘリウム冷却温度)付近で超電導状態になるものを低温超電導、それよりも高温(-196℃/液体窒素の沸点)で超電導状態になるものを高温超電導といいます。
※2 ヘリウムレス
低温超電導では、超電導状態とするために液体ヘリウムによる冷却が必要ですが、ヘリウムは高価であることに加えて供給が不安定という課題があります。高温超電導材料は、比較的安価で入手しやすい液体窒素温度で超電導状態になるため、一般的には冷却のための液体ヘリウムが不要(ヘリウムレス)になります。
※3 磁気共鳴画像装置(MRI)
高周波磁場を人体内に与え、核磁気共鳴(一般的に水素原子)現象を利用して、生体内部の情報を画像にする装置です。高磁場にするほど、画像が鮮明になり、また水素以外の原子での画像が得られるようになります。
※4 磁場特性の向上
一般的に高磁場にすると、超電導状態を損なうという特徴があります。磁場特性の向上とは、超電導状態を維持できる磁場の限界値を高めることです。
※5 高温超電導線材
電線やケーブルを製造するための線状またはテープ状高温超電導材料のことです。
※6 地絡
電気が大地に接触した(電流が流れた)状態をいいます。大地に絡んだ状態を意味します。酷似した状態として、漏電があります。地絡も漏電も、本来、流れる予定ではないところへ電気が漏れてしまっている状態としては共通ですが、大地に完全に繋がった場合や、とても小さな抵抗を持ったものを通して繋がった場合を地絡といい、とても大きな抵抗を持ったものを通して繋がっている場合を漏電といいます。症状の重い状態が地絡で、軽い状態が漏電です。
※7 短絡
短絡とは、2つの相(RN,TN,RT or RS,ST,TR)、又は、3つの相(RNT,RST)の線間が負荷を通さずに、接触した状態をいいます。わかりやすくいうと、電気配線の被膜(配線を覆い保護するもの)が破れてしまい、剥き出しになった状態の電線が接触してしまうことなどが挙げられます。とても短く絡んだ状態ということです。「ショート」という表現の方がイメージが沸きやすいかもしれません。
※8 鉄道き電線
変電所から電気車に電力を供給するためには、その間に電線を設ける必要があります。その電線のうち電気車に直接接する架線(電車線)に電力を供給する電線を“き電線”といいます。“き電”とは、走行する電気車に必要な電力を供給することをいい、輸送条件等で直流き電方式と交流き電方式に大別されます。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 省エネルギー部 担当:木下、中原 TEL:044-520-5281

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本、佐藤、髙津佐、藤本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp