本文へジャンプ

Press Release

革新的な材料開発手法の構築に着手

―試作回数・開発期間を1/20に大幅短縮を目指す―
2016年6月15日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川一夫

NEDOは計算科学を活用して、機能性材料の試作回数や開発期間を1/20に短縮させる共通基盤技術の開発に着手します。

このプロジェクトでは2018年までに有機系の機能性材料を中心に、構造や組成から材料の機能を推測する革新的なマルチスケールシミュレーション手法を開発します。さらに2021年までには人工知能(AI)等を活用して、求める機能を実現する最適な構造や組成を導き出す新しい材料探索手法の確立を目指します。

1.概要

 日本が強いとされる材料分野での競争力を今後も維持・強化していくためには、新しい機能性材料を創出し続けていくことが必要です。これまでの材料開発では、技術者が「経験と勘」に基づく仮説を立て、実験による検証を繰り返すことで最適な構造や組成を求めてきました。しかし、この方法では製品化までに非常に長い時間とコストがかかります。そこでNEDOは試作回数や開発期間の大幅短縮を目的に、従来型の実験的手法に計算科学※1を融合させた革新的な材料開発手法を構築します。

その手法として、(1)マルチスケールに応じた計算科学、(2)大量のデータから法則性を見出す人工知能(AI)※2等、(3)仮説と実証を効率良く行うためのプロセス技術・計測評価技術、これらを統合することで従来の材料開発と比較して試作回数や開発期間を1/20に短縮する基盤技術を構築します。

  • 革新的な材料開発手法の構築による機能性材料基盤技術開発の図。出典はNEDO技術戦略研究センター資料を基に作成。
    図1.革新的な材料開発手法の構築による機能性材料基盤技術開発
    出典:NEDO技術戦略研究センター資料を基に作成

具体的には、(1)では第一原理計算※3、分子動力学法※4、有限要素法※5などを活用してナノスケールからマクロスケールまでの状態をシームレスに表現することで材料機能を信頼性高く予測するマルチスケールシミュレーション手法※6を開発します。(2)では人工知能(AI)等を活用して所望の機能を発現する最適な構造や組成を予測する材料データ解析技術を開発します。(3)では求める構造や組成を持つサンプルを高精度に試作するプロセス技術を開発するほか、試作したサンプルを「非破壊」または「その場環境(in situ※7」で構造や組成、機能を計測する手法を開発します。

いずれも極めて難易度が高い開発となるので、NEDOは先端的な計算科学の技術を有する公的研究機関と機能性材料の開発・実用化に豊富な実績を有する企業とが連携して研究開発を進めるために、集中研究拠点を設置し高度な知見の融合による材料探索手法ブレークスルーを目指します。また、関連性の強いプロジェクトである戦略的イノベーション創造プログラム(内閣府)、情報統合型物質・材料開発イニシアチブ(科学技術振興機構)との連携を推進します。

  • 図2.マルチスケールシュミレーションの概念図の図。出典は産総研・機能材料コンピュテーショナルデザイン研究センターのホームページから引用。
    図2.マルチスケールシュミレーションの概念図
    出典:産総研・機能材料コンピュテーショナルデザイン研究センターのホームページから引用

2.事業の内容

【1】事業名

超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト

【2】事業総額

100億円(予定)

【3】期間

2016年度~2021年度

【4】委託予定先

国立研究開発法人産業技術総合研究所、コニカミノルタ株式会社、東ソー株式会社、株式会社村田製作所、パナソニック株式会社、新日鉄住金化学株式会社、日立化成株式会社、DIC株式会社、東レ株式会社、株式会社カネカ、積水化成品工業株式会社、出光興産株式会社、JSR株式会社、昭和電工株式会社、株式会社日本触媒、横浜ゴム株式会社、宇部興産株式会社、等

【用語解説】

※1 計算科学
様々な現象をコンピューター上で数学的モデルとして解析する科学研究の方法論です。
※2 人工知能(AI)
人工知能(Artificial Intelligence)とは、人間が行っている知的な作業をコンピューターにより実現させようとする一連の技術を示します。ここでは求める機能を実現するための構造や組成を求める「逆問題」手法への適用を検討します。
※3 第一原理計算
量子力学(電子質量、電荷、クーロン力などの基本物理量)に基づき、経験的パラメーターを用いずに電子状態を計算する方法です。一度に計算可能な原子数の限界は千個程度と言われています。
※4 分子動力学法
数百から数千程度の分子の運動をニュートン方程式により計算し、個々の分子の複雑な運動を再現する方法です。
※5 有限要素法
実際には複雑な形状・性質をもつ物体を単純な形状・性質の要素に分解し、一つ一つの要素の特性を数学的な方程式を用いて近似的に表現した後、この単純な方程式を組み合わせ、全ての方程式が成立する解を求めることによって全体の挙動を予測します。
※6 マルチスケールシミュレーション手法
材料の機能はナノスケールからマイクロ、そしてマクロスケールにいたる各スケールにおける状態が相互に作用した結果、得られるものです。そこで第一原理計算、分子動力学法、有限要素法といった異なるスケールを取り扱うシミュレーションをシームレスに表現することで、材料機能を精度よく再現・予測しようとするものです。ここでは構造や組成のデータから材料機能を求める「順問題」の解法手法として用います。
※7 その場環境(in situ
ここでは「サンプルを作製している状態」や「実際に使用している状態」を想定しています。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 材料・ナノテクノロジー部 担当:國谷、岡本、大郷 TEL:044-520-5220

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:藤本、髙津佐、坂本、佐藤 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp