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Press Release

航空機向け先進的構造材料や加工技術の開発を推進

―国内航空機産業を2020年までに2兆円、2030年に3兆円へ―
2016年7月6日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川 一夫

NEDOは、部素材産業や加工・製造産業の競争力強化を目指し、航空機の先進的な構造材料や加工技術の開発について、新たに3テーマ、7者を採択しました。

具体的なテーマは、複合材の高生産性・低コスト生産技術開発、マグネシウム合金の航空機構造材料への適用技術開発、航空機用複合材料の自動積層装置、予測技術をベースとしたスマートな航空機用難削材の高速切削加工技術などです。

これにより、2020年までに国内航空機産業の売上高を2兆円に、2030年には3兆円の達成を目指します。

  • 事業説明図

1.概要

NEDOは、航空機の燃費改善、環境適合性向上、整備性向上、安全性向上といった航空会社からの要請に応えるため、航空機に必要な信頼性・コスト等の課題を解決するための要素技術を開発することを通じて、日本の部素材産業や加工・製造産業の国際競争力強化を目指します。

本プロジェクトは、経済産業省の「次世代構造部材創製・加工技術開発」を引継ぎ、2015年度からスタートさせています。これまで、下記6テーマの技術開発を行ってきました。

  • 〔1〕 「次世代複合材及び軽金属構造部材創製・加工技術開発」
    複合材構造部材の高生産性・低コスト生産技術、マグネシウム合金部材を開発します。
  • 〔2〕 「航空機用複合材料の複雑形状積層技術開発」
    複雑形状部材の製造を、自動積層装置で行うための技術を開発します。
  • 〔3〕 「航空機用難削材高速切削加工技術開発」
    航空機用難削材料の環境対応型加工技術を開発します。
  • 〔4〕-1 「軽量耐熱複合材CMC技術開発(基盤技術開発)」
  • 〔4〕-2 「軽量耐熱複合材CMC技術開発(高性能材料開発)」
    航空機エンジンの高温度環境下で使用可能なCMC材料(セラミック基複合材料)を開発します。
  • 〔5〕 「航空機用構造設計シミュレーション技術開発」
    複合材において、衝撃損傷に強い構造が設計可能なシミュレーターを開発します。

2016年3月をもって〔1〕~〔4〕-1が終了し、NEDOは今年度、以下の3テーマで公募を行い、各テーマの採択先を決定しました。

  • 〔1〕-2 「次世代複合材及び軽金属構造部材創製・加工技術開発(第二期)」
  • 〔2〕-2 「航空機用複合材料の複雑形状積層技術開発(第二期)」
  • 〔3〕-2 「航空機用難削材高速切削加工技術開発(第二期)」

2.事業の内容

【1】事業名

次世代構造部材創製・加工技術開発

【2】事業総額

60億円(予定)

【3】期間

2015年度~2019年度(今回採択のテーマは2016年度~2019年度)

【4】開発内容

(1)次世代複合材及び軽金属構造部材創製・加工技術開発(第二期)(研究開発項目〔1〕-2)
  • 1) 複合材構造部材
    アルミニウム合金構造と同等の高生産性・低コスト生産技術の研究開発、複合材構造に由来する内部剥離等の検査技術(SHM技術※1 等)の確立及び複合材本来の特性を生かした軽量化技術開発を実施します。
  • 2) 軽金属構造部材
    マグネシウム合金※2 の開発、加工法の開発とその信頼性の向上検討を実施し、マグネシウム合金の航空機構造材料への適用技術開発を実施します。
  • 3) 総合調査研究
    国内外の研究開発動向や政策支援の状況、ボーイングやエアバス等のOEM及び航空会社の動向等を調査・分析し、研究開発の方向性や目標レベル等を常に確認し、研究開発を効率的・効果的に推進していくための調査を実施します。
(2)航空機用複合材料の複雑形状積層技術開発(第二期)(研究開発項目〔2〕-2)
  • 1) 小型タイプ自動積層装置の製造適用に向けた開発
    小型タイプ自動積層装置について、その製造適用※3 に向け、要素技術の深化・成熟化を通して技術課題を解決し、複合材部材製造の高生産性・低コスト生産に対応可能な安価で汎用性・量産性を持った装置を開発します。
  • 2) 実機部材形状に適用可能な設計・製造技術の開発
    小型タイプ自動積層装置による中小型複雑形状部材の設計・製造技術について、適用部材拡大を念頭に置き、実機部材形状に適用可能な設計・製造技術を開発します。
(3)航空機用難削材高速切削加工技術開発(第二期)(研究開発項目〔3〕-2)

航空機用難削材※4 の高速切削、ロボット切削、並びに切削・金属ディポジション複合加工※5 において、加工プロセスの予測には多大な時間とコストが必要となります。このため、各プロセスの最適化や高性能な工具の開発を目指し、最低限必要な切削条件を効率的に求められるよう、シミュレーション技術やコンパクトで高度な解析技術を開発します。これにより、予測技術をベースとしたスマートな航空機難削材高速切削加工技術の高度化を図り、革新的な切削加工技術開発を達成します。

【5】委託予定先

(1)次世代複合材及び軽金属構造部材創製・加工技術開発(第二期)(研究開発項目〔1〕-2)
  • 株式会社ジャムコ
  • 一般財団法人素形材センター、三菱重工業株式会社、川崎重工業株式会社、富士重工業株式会社
(2)航空機用複合材料の複雑形状積層技術開発(第二期)(研究開発項目〔2〕-2)
  • 川崎重工業株式会社
(3)航空機用難削材高速切削加工技術開発(第二期)(研究開発項目〔3〕-2)
  • 国立大学法人東京大学

【用語解説】

※1 SHM技術
Structural Health Monitoring(構造健全性診断)技術です。構造物に貼付もしくは埋め込んだセンサーの情報に基づき、構造の健全性(損傷の有無や歪み等)を診断する技術です。航空機に適用した場合、安全性向上や整備コストの低減に繋がることが期待されています。
※2 マグネシウム合金
マグネシウムは発火性の強い金属でしたが、近年日本発のマグネシウム合金は軽量で、難燃性、高強度、高耐食性を併せ持ち、世界的に注目されています。
※3 製造適用
現在複合材を用いた航空機用複雑形状構造部材は作業者が手貼りで作製しています。この作業を、品質を維持しつつ、自動積層機で行うことを目指します。
※4 航空機用難削材
炭素繊維複合材、アルミ・リチウム合金、チタン合金等です。
※5 切削・金属ディポジション複合加工
易削材で形成された構造材の内、優れた特性が必要な特定の部位(接合部など)のみに難削材を適用します。効率的かつ部分的な金属ディポジション(積層)の組み合わせにより、必要な特性は維持しつつ切削量と切削時間を大幅に短縮する技術です。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 材料・ナノテクノロジー部 担当:伊藤、橘、今西 TEL:044-520-5220

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:藤本、髙津佐、坂本、佐藤 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp