本文へジャンプ

Press Release

南アフリカ共和国で省エネ型海水淡水化技術の実証事業を開始へ

―アフリカ初のNEDO実証事業で水不足解決を目指す―
2016年11月18日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川一夫

NEDOは、南アフリカ共和国のダーバン市と共同で、省エネルギー型の海水淡水化技術の実証事業を開始することに合意し、基本協定書(MOU)を締結しました。これはNEDOにとってアフリカ初の実証事業となります。

NEDOの国内事業で確立した海水淡水化・水再利用統合システムを基に、海水と再生水から日量6,250トンの飲料水を生産可能な実証設備を構築し、従来法に比べ30%以上の省エネルギー化と周辺海洋環境への負荷低減を実現します。将来的には設備を拡大しダーバン市への飲料水供給事業へと繋げ、深刻な水不足に直面している南アフリカ共和国全土、さらにはアフリカ地域への普及展開を目指します。

  • 図:海水淡水化・水再生利用統合システムの概要
    図.海水淡水化・水再生利用統合システムの概要

1.概要

南アフリカ共和国では大規模な干ばつ等の影響による深刻な水不足が発生しており、ダーバン市では一般家庭への給水制限が行われている等、市民生活にも影響を及ぼしています。そこでNEDOは、南アフリカ共和国における水不足問題をNEDOの国内事業において確立した省エネルギー型の「海水淡水化・水再利用統合システム」の導入により解決するために、同システムの実証事業を開始することを南アフリカ共和国のダーバン市と合意し、11月17日に基本協定書(MOU)を締結しました。

NEDOは、2009~2013年度に水処理技術の実証研究である「省水型・環境調和型水循環プロジェクト」を実施し、大規模実証施設「ウォータープラザ北九州※1において、「海水淡水化・水再利用統合システム」を確立しました。このシステムは、下水を再生処理する過程で余った水を用いて海水を希釈し塩分濃度を下げることで、従来の海水淡水化法※2に比べて消費電力を30%以上削減できます。また、海水淡水化においては、塩分濃度が高い濃縮海水の排出による周辺海洋環境への影響が問題となっていますが、本システムでは希釈した海水を淡水化することにより排水の塩分濃度を海水と同程度とし、海洋環境への影響を最小限に抑えることを可能としました。

2.今後の予定

今後3年間でダーバン市中部下水処理場に日量6,250トンの飲料水を周辺地域の海水と再生水から生産可能な設備を構築します。そして、従来法に比べ30%以上の省エネルギー化と周辺海洋環境への負荷低減を実証します。アフリカで初のNEDOの実証事業である本事業を足掛かりに、南アフリカ共和国をはじめアフリカ地域に広く日本の技術を普及し、同地域の水インフラ整備や産業発展に貢献することを目指します。

3.従来法に対する技術の優位性

「海水淡水化・水再利用統合システム」について、既に国内では以下の3点を実証し、従来法に対する優位性を確立しています。今回、南アフリカ共和国のダーバン市においても同等の性能を実現するために実証を進めます。

1.省エネルギー

従来法ではRO膜(逆浸透膜)による脱塩処理において高圧ポンプ(6~7MPa)の電力消費が大きいことが課題でした。本事業で実証する技術では、下水を再生処理する過程で余った水を用いて海水を希釈し塩分濃度を下げることで中圧ポンプ(3~4MPa)での処理を実現し、30%以上の省エネルギー化が可能です。

2.海洋環境負荷低減

従来法では海水から淡水を搾り取った後の塩分濃度が高い水を周辺の海洋に排出しなければならず、海洋環境への影響が懸念されていました。本事業にて実証する技術では、海水を希釈してから淡水化するため、排水の塩分濃度は海水と同程度であり、海洋環境への影響を最小限に抑えることが可能です。

3.建設コスト低減

下水を再生処理した水と海水を混ぜて淡水化することにより、従来法に比べ海水の取水設備や前処理設備を小型化することができるため、設備全体の建設コストを15%削減することが可能です。

【用語解説】

※1 ウォータープラザ北九州
国内最大規模の省エネルギー型造水プラントの運営実証を行う「デモプラント」と、多様な水処理要素機器の試験を行うことができる「テストベッド」を設置、運営実証と機器試験の両方を備えた国内初の施設。
※2 従来の海水淡水化法
逆浸透膜法(RO膜法)。海水を逆浸透膜(RO膜)で濾過することで淡水を得る。本事業で実証するシステムとは異なり、海水を希釈せずに濾過する方式。

4.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 環境部 担当:佐藤、藤井 TEL:044-520-5251

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:藤本、髙津佐、坂本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp