本文へジャンプ

Press Release

NEDOプロジェクトの研究開発成果を国際学会ISSCC 2017で招待講演

―プロセッサ間を省電力・大容量につなぐ光配線技術の成果が注目―
2017年2月10日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

NEDOプロジェクトにおいて、光電子融合基盤技術研究所(PETRA)が研究開発したプロセッサ間を省電力・大容量につなぐ光配線技術の成果が、半導体デバイス分野で世界的に権威のある国際学会ISSCC(International Solid-State Circuits Conference)に認められ、PETRAは、2月5日から米国サンフランシスコで開催されたISSCC 2017の招待講演で成果の発表を行いました。

1.概要

クラウドコンピューティングの進展によりデータセンタ等における情報処理量や通信トラフィックが指数関数的に増大し、それに係る電力消費量も急増することが予想されています。このため、情報通信機器等の高速化と低消費電力化を両立できる技術の実現が望まれています。

そのような中、NEDOプロジェクトの「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」において、光電子融合基盤技術研究所(PETRA)はシリコンフォトニクス※1による光インターコネクション用超小型光トランシーバ(図1)などプロセッサ間を省電力・大容量につなぐ光配線技術の研究開発を行っています。その研究開発成果が、半導体デバイス分野で世界的に権威のある国際学会ISSCC(International Solid-State Circuits Conference)※2に認められ、PETRAは、2月5日から米国サンフランシスコで開催された国際学会ISSCC 2017の招待講演で成果の発表を行いました。

ISSCCは、IEDM(IEEE International Electron Devices Meeting)※3、Symposia on VLSI Technology and Circuits(VLSIシンポジウム)※4とならび半導体分野の3大国際学会の1つであり、各研究機関の技術レベルを示す学会として注目されています。

図1 プロセッサ間を接続するシリコンフォトニクス超小型光トランシーバ

図1 プロセッサ間を接続するシリコンフォトニクス超小型光トランシーバ

2.成果発表の概要

【1】ブリッジ実装構造による高密度光トランシーバの実証(図2)

シリコンフォトニクスによる光変調器と光受信器を高密度に集積した光集積回路とその駆動CMOS電子回路の一部を、フリップチップボンディング技術を用いて直接貼り合わせ、かつ駆動電子回路の残りの領域を基板と直接接合することで、高密度かつ高品質に、電源と信号の接続が可能となるブリッジ実装構造(図3)を開発しました。ブリッジ実装構造による高密度光トランシーバを試作し、25Gbpsの光トランシーバ高速動作を実証しました。

  • 試作した光トランシーバトランシーバの断面図 ブリッジ実装構造による高密度光の図

【2】プリエンファシスドライバによる省電力光送信器の実証(図4)

従来、光素子を高速に動作させるためには、光素子に一定の電圧をかける必要があり、光送受信回路の省電力化は困難でした。今回、光素子を低電圧駆動させながら、送信データの変化を捉えて大きな振幅になるように補い(図4)、従来の半分の電力で25Gbpsの高速動作を実現しました(表1)。

  • 送信器プリエンファシスドライバ回路の概念図 作した光送受信器の特性表

【3】量子ドットレーザのシリコンフォトニクスプラットフォームへの直接搭載技術を開発(図5)

温度特性に優れる量子ドットレーザ(図6)を、シリコンフォトニクスプラットフォーム上に直接搭載し、高効率に光接続を実現する技術を開発しました。量子ドットレーザ出力光を、シリコンフォトニクス導波路に高効率に導くための光ビームのサイズを徐々に変換するトライデント型スポットサイズ変換構造と、レーザチップを高精度に搭載するためのシリコンフォトニクスプラットフォーム上の台座構造を開発し、高効率光結合を実現しました。

  • 量子ドットレーザのシリコンフォトニクスプラットフォームへの搭載図 実装した量子ドットレーザの特性グラフ

【4】フラットトップで動作波長範囲の広い波長多重通信用波長フィルタを開発

シリコンフォトニクス技術を用い、平坦な動作波長特性を有し、温度変化に対しても動作可能な波長多重通信用波長フィルタを開発しました(図7)。リング共振器と非対称マッハツェンダ干渉計を組み合わせることで、過剰損失1.5dBと低損失かつ±40℃の温度変化に相当する5nmの広い波長範囲で平坦な透過特性が得られました(図8)。

  • 開発した波長フィルタの図 試作した波長フィルタの透過特性グラフ

開発した技術は、【1】シリコンフォトニクスによる高密度光集積回路の性能を引き出し、光トランシーバを高密度化すること、【2】高密度かつ省電力な光送信器の実現、【3】高温環境下における安定かつ省電力動作の光送信器の実現、【4】温度変化の大きい環境下における波長多重による高密度化の適用を可能とします。本技術を適用し、サーバ内のLSIに光インターフェースを直接搭載することにより、LSIの帯域ボトルネックを解消し、テラビット級の帯域を実現すること、かつインターコネクトを省電力化し、サーバ・スパコンの高性能・高効率化へ貢献することが期待されます。

【用語解説】

※1 シリコンフォトニクス
シリコン基板上に発光素子、受光素子、光変調器などの光デバイスを集積する技術
※2 ISSCC(International Solid-State Circuits Conference)
半導体回路とシステム技術に関する国際学会
※3 IEDM(IEEE International Electron Devices Meeting)
半導体のデバイス技術とプロセス技術に関する国際学会
※4 Symposia on VLSI Technology and Circuits(VLSIシンポジウム)
半導体のデバイス技術と回路技術に関する国際学会

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO IoT推進部 担当:水野、荒川 TEL:044-520-5211

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本、髙津佐、藤本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp