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Press Release

即戦力となるAI分野の人材を育成

―NEDO特別講座を大阪大学と東京大学の2拠点で開講へ―
2017年7月28日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川 一夫

NEDOは、NEDO特別講座の一環として、人工知能(AI)分野の人材不足に対応するため、大阪大学と東京大学を拠点として選定し、即戦力人材の育成講座(AIデータフロンティアコース)を2017年度から開講します。

受講者は最短半年間で、講義を通じてAI知識を体系的に習得するとともに、製造現場や顧客行動等のさまざまなデータを用いた演習を通じて、データの構築方法や解析手法などのAI技術を身につけることができます。

NEDOは、産業界のニーズに応えるため、最先端のAI技術に関して、実践的な力を持った即戦力人材の育成を目指します。

  • 大阪大学 吹田キャンパス、東京大学 本郷キャンパスの外観

1.概要

IoTや人工知能(AI)技術の研究開発の進展により、これらの技術を利活用できる産業領域が広がり、「第4次産業革命」に向けた国際競争が激化しています。しかし、AI分野の専門人材は国内で大幅に不足※1し、政府がまとめた「人工知能技術戦略※2」においては、「トップレベルのAI人材※3を、産学官の強力な連携のもと、即戦力として育成することが急務」とされています。

そこでNEDOは、NEDO特別講座※4の一環で、社会人技術者および研究者を主な対象に、AI技術を活用して新たな事業・産業を創出する力を持つ即戦力人材を育成するための教育プログラム「AIデータフロンティアコース」※5を2017年度から2019年度まで実施します。今回、研究開発や人材育成について優れた実績を有する国立大学法人大阪大学と国立大学法人東京大学を、人材育成の拠点として選定しました。2017年下半期よりパイロットプログラムを開講し、2018年度より本開講する予定です。受講者は最短半年間で、講義を通じてAI知識を体系的に習得するとともに、製造現場や顧客行動等の実社会におけるさまざまなデータセット(リアルコモンデータ※6)を用いた演習を通じて、データの構築方法や解析手法などのAI技術を身につけることができます。

また、拠点を中心にシンポジウムやワークショップを開催することで、多方面の人材の交流を図るとともに、関連技術を含めたAI分野の新たな技術シーズの発掘や技術の応用・発展に資する取組を行い、当該技術を担う人材が育つという「好循環」を事業終了後も継続的に形成することを目指します。

NEDOは、産業界のニーズに応えるため、今回の取組を通じて、最先端のAI技術に関する実践的な力を持った即戦力人材の育成を進めていきます。

2.事業内容

(1)人材育成の講座の実施

コンピューターサイエンスの基礎学力テストと補習、AIに関するトップレベル講義、リアルコモンデータを扱う演習、演習終了時の能力評価を通じて、即戦力人材の育成を行います。

(2)人的交流等の展開

人材育成拠点と受講者の所属企業、大学、関係機関等の人的交流を促進するため、受講者参加型のシンポジウムやワークショップを実施します。

(3)周辺研究の実施

効果的かつ継続的なAI人材育成を実施するため、教育目的において汎用的に活用できるリアルコモンデータのデータセット作成に取り組みます。作成するデータのドメインについては、人工知能技術戦略会議が策定した産業化のロードマップ※7が特定する、生産性、健康、医療・介護及び空間の移動の重点分野を優先します。また、産業界のニーズを踏まえた最先端のAI知識と活用スキルを持つ人材を短期間で育成するための人材育成カリキュラムの開発も進めます。

3.講座の詳細(予定)

プログラムの流れ図

(1)プログラムの流れ

  • コンピューターサイエンスプレースメントテスト(CSテスト)
    基礎学力を受講前に確認し、必要な場合には補習を行う。
  • AIに関するトップレベル講義
    AIに関する先導的知識、基礎的知識の獲得を目指す。
  • リアルコモンデータを扱う演習
    即戦力を高めるために具体的な社会課題を扱う。
  • 演習終了時の能力評価
    教育の質保障として能力評価を行う。

(2)大阪大学での実施内容

吹田キャンパスで大学院レベルの講座を開講します。人工知能の基礎から始まり、前期は、画像、脳データ、各種センサデータ、後期は、自然環境データ、画像、人物データを対象にした、実データからの学びの場を提供します。

講義内容(予定)
  • 「知能と学習」(前期必修)
    キーワード:人工知能・機械学習の概要、決定木による学習アルゴリズム、ルールベースシステムとルールの学習方法、ナイーブベイズ学習と最近傍法、相関ルールとその学習法、クラスタリング、EMアルゴリズム、サポートベクトルマシン、述語論理の基礎、帰納論理プログラミングと関係データマイニング、バージョン空間法と説明に基づく学習、データマイニングのための前処理・データ変換、属性選択・構築と新述語の発明、アンサンブル学習
  • 「ビッグデータ解析」(前期必修)
    キーワード:データマイニングの導入、多次元データ分析(OLAP分析)、データキューブ技術、相関ルールマイニング、パターンマイニング、クラスタリング、グラフマイニング、影響力分析、推薦技術、異常検知
  • 「脳機能計測概論」(前期必修)
    キーワード:IQ等の脳認知機能の推定方法(JART、WATS等)、fMRIの概要、fMRIによる計測技術、fMRI装置を用いた実験、fMRIの時系列データ解析、fMRIデータによる脳ネットワーク解析、fMRIデータに対する機械学習
  • 「知能システム概論」(後期必修)
    キーワード:パターン識別の概要、ベイズ決定則の概要、最小誤り識別則、正規分布に対する識別関数誤差確率、離散特徴、欠損・ノイズデータに対する扱い、最尤推定法、ベイズ推定、ベイズパラメタ推定、十分統計量、次元の問題、主成分分析、線形判別分析、EMアルゴリズム
  • 「マシンビジョン」(後期必修)
    キーワード:マシンビジョンの概要、画像生成過程、フィルタリング、特徴抽出と照合、幾何変換、モデル当てはめ、ステレオ視、Structure from Motion、照度差ステレオと陰影からの形状復元、オプティカルフロー、物体検出、物体認識、マシンビジョンのための機械学習
  • 「知識情報学」(後期必修)
    キーワード:機械学習概要、機械学習の基本的な手順、決定木学習、ベイズ学習、生成モデルと識別モデル、ニューラルネットワーク、サポートベクトルマシン、線形回帰、回帰木、アンサンブル学習、クラスタリング、異常検出、可視化と自己組織化マップ、パターンマイニング、系列データのラベリングと識別、半教師あり学習、深層学習

(3)東京大学での実施内容

本郷キャンパスで学部レベルの講座を開講します。人工知能基礎、統計的機械学習を必須として、自然言語処理、コンピュータービジョンを選択します。そして、その間に広く利用されている人工知能処理APIについての活用の紹介を行います。

講義内容(予定)
  • 「人工知能基礎」(必修)
    キーワード:知能の原理と認知科学、論理とAI、記号主義と幾何学的推論、ゲームとパズルの探索、学習と推論、ニューラルネットワーク、人工知能と複雑系知能、最適化とメタヒューリスティックス
  • 「統計的機械学習」(必修)
    キーワード:線形回帰、分類アルゴリズム、k最近傍法、ロジスティック回帰、モデル選択・正則化、非線形モデル、サポートベクターマシン、決定木、教師なし学習
  • 「自然言語処理」(選択)
    キーワード:単語の分散表現、リカレントニューラルネットワーク、言語モデル、品詞タグ付、構文解析、畳み込みニューラルネットワーク、文書分類、機械翻訳、質問応答
  • 「コンピュータービジョン」(選択)
    キーワード:特徴抽出、畳み込みニューラルネットワーク、物体認識、物体検出、画像検索、領域分割、画像生成、行動認識、顔画像認識、画像・映像記述(言語融合)
  • 「すぐに使えるAI」
    広く提供されている人工知能処理用APIについての活用の紹介。

4.受講方法

大阪大学:
7月28日から公募情報を大阪大学データビリティフロンティア機構ホームページに掲載します。
募集期間は8月7日から8月21日までを予定しています。
東京大学:
11月1日から公募情報を東京大学情報理工学系研究科等のホームページに掲載予定です。
募集期間は11月1日から11月30日までを予定しています。

【用語解説】

※1 AI分野の専門人材は国内で大幅に不足
経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」(2016年3月、委託:みずほ情報総研株式会社)では、「先端IT人材」は2020年に約4.8万人不足見込みとされている。
※2 人工知能技術戦略
政府が2016年4月に発足した人工知能技術戦略会議において2017年3月に策定。
※3 トップレベルのAI人材
コンピューターサイエンスの基礎の上に、AI技術に関するトップレベルの問題解決力、具現化力、活用力を備えた人材。
※4 NEDO特別講座
日本の産業技術の発展のために、先端分野や融合分野の技術を支える人材の育成と人的交流の面から産学連携を促進するための「場」の形成を目的として、NEDOが企画する講座。2006年度から開始し、光触媒技術や知的財産経営など16件を開講。本件が17件目。
現在、「ロボットの社会実装におけるイノベーション創出人材育成」を大阪工業大学で開講中(2016~2017年度)。
※5 教育プログラム「AIデータフロンティアコース」
AIに関する体系的な講義と実データを活用した演習により最先端のAI技術を身につけ、新たな事業・産業を創出する技術リーダーを育成。
事業名称:「NEDOプロジェクトを核とした人材育成、産学連携等の総合的展開/実データで学ぶ人工知能講座」
実施期間:2017~2019年度、予算:約2億2千万円
※6 リアルコモンデータ
実社会・実環境で収集され、個人情報保護や権利保護の問題をクリアした教育目的において利活用可能なデータ。
※7 産業化のロードマップ
「人工知能の研究開発目標と産業化のロードマップ」人工知能技術戦略会議において2017年3月に策定。

5.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO ロボット・AI部 担当:藤田、堀川、金山 TEL:044-520-5241

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:藤本、坂本、髙津佐 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp