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Press Release

排水油脂で発電する国内最大級のバイオマス発電車を開発

―首都圏全域へ展開、新エネの地産地消モデルの確立目指す―
2017年9月8日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
株式会社ティービーエム

NEDOと(株)ティービーエムは、飲食店や食品工場における排水浄化の過程で分離回収される油脂を原料とした発電用燃料の製造に日本で初めて成功し、この燃料を利用し発電する100KVA規模の発電機を搭載した国内最大級のバイオマス発電車を開発しました。

9月10日、入間市主催の「第23回いるま太鼓セッション」において、(株)松屋フーズの協力のもと、同社の入間店ほか埼玉県内98店舗から回収された動物性油脂を原料に発電用燃料を製造し、同イベントに電力供給を行う実証試験を行います。

今後、(株)ティービーエムは、2017年度中にさまざまな自治体イベントで実証試験を実施し、2020年までに排水浄化からグリーン電力を生み出す「フード・グリーン発電システム」を首都圏全域に普及させ、“新エネルギーの地産地消モデル”の確立を目指します。

  • 開発した100KVAバイオマス発電車の外観写真
    開発した100KVAバイオマス発電車の外観

1.概要

飲食店や商業施設、食品工場等における排水に関しては、下水道法や水質汚濁防止法で規定する排水基準以下の濃度で排水することが定められており、下水道や公共用水域へ汚水や油脂が直接流出することを防ぐためのグリース阻集器(グリース・トラップ)※1を設置することが事実上義務づけられています。グリース阻集器で集められる主に動物性油脂から構成される排水油脂(以下、トラップグリース)の賦存量は、全国で年間31万トンにも上ると推定※2されていますが、水分含有率が高く、不純物も多いため、再生燃料化が難しく、未利用資源となっていました。この課題解決に向けて、株式会社ティービーエムは、NEDOの「ベンチャー企業等による新エネルギー技術革新支援事業」において、2013年度からトラップグリースを用いたバイオマス発電システム「フード・グリーン発電システム」の開発に取り組んできました。

今般、NEDOと(株)ティービーエムは、トラップグリースを発電用燃料化することに日本で初めて成功し、当該燃料を利用し発電する100KVA規模の発電機を搭載した国内最大級のバイオマス発電車を開発しました。

さらに本発電車を活用して、9月10日に開催予定の入間市主催のイベント「第23回いるま太鼓セッション」において、グリーン電力の供給を行う実証試験を実施します。このような排水浄化の過程で分離回収された排水油脂を原料に製造された発電用燃料を使い発電を行う実証試験は、世界初となります。

今回の実証試験は、株式会社松屋フーズの全面協力のもと、同社の入間店ほか埼玉県内98店舗から回収された動物性油脂を原料に製造した発電用燃料を使用して発電を行い、同イベントへ電力供給を行うものです。実証試験では、出店の調理機器や電灯、さらに熱中症対策となるクールスポットをつくるミスト発生装置などに、発電車から安定的にグリーン電力の供給ができることを確認します。

10月29日、30日に開催予定の入間市主催のイベント「第39回入間万燈まつり」においても同様の実証試験を予定しており、さらに武蔵野市主催で11月開催予定の環境フェスタほか、東京都内での各種イベントにおける実証試験など2017年度中にさまざまな自治体イベントで実証試験を予定しています。

今後、(株)ティービーエムは、これらの実証試験を積み重ね、2020年までに排水浄化からグリーン電力を生み出す「フード・グリーン発電システム」を首都圏全域に普及させることで、“新エネルギーの地産地消モデル”の確立を目指します。

2.今回の成果

【1】排水を浄化する過程で分離回収した排水油脂の発電用燃料化に成功

食品産業由来のバイオマス燃料として、主にフライヤーや天ぷら油から発生した「廃食用油」(使用済み植物油)をバイオディーゼル燃料としてリサイクルしている例はありますが、グリース阻集器などの排水浄化プロセスで収集されるトラップグリースは、水分含有率や酸価が高く、不純物も多いなどの理由により、再資源化が難しく、これまで産業廃棄物として焼却処分されていました。

(株)ティービーエムは、店舗や施設の排水を浄化する独自技術を有しており、NEDO事業において、排水から分離回収した動物性油脂を精製改質する技術開発を進めた結果、化学薬品を一切使用せず、また副産物も出さない、発電用燃料化に成功しました。

【2】排水浄化から生み出すグリーン電力を供給する国内最大級「バイオマス発電車」の完成

排水浄化由来の発電用燃料によるグリーン電力を、イベントなどに直接供給できる100KVA規模の発電機を搭載した日本最大級のバイオマス発電車を開発しました。この発電車は、優れた防音機能を有しており、また災害時には非常用独立電源としての利用も期待できます。

  • 排水浄化から生み出すグリーン電力の全体イメージ図

【用語解説】

※1 グリース阻集器(グリース・トラップ)
昭和51年1月1日施行された建設省告示第1597号(改定建設省告示第1674号)により、汚水が油脂など排水のための配管設備の機能を著しく妨げる恐れのある物を含む場合に設置が義務づけられている簡易な油水分離装置。
※2 全国で年間31万トンにも上ると推定
「平成24年度環境研究総合推進費補助金・研究事業 国立環境研究所(K2114)」より。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO イノベーション推進部 担当:浅沼、松本 TEL:044-520-5171­

株式会社ティービーエム 担当:佐原、東 TEL:042-347-9671­

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:髙津佐、坂本、藤本 TEL:044-520-5151­ E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp