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Press Release

自律飛行型マルチローター機による土石流シミュレーション実証実験を実施へ

―火山の立入困難区域からデータの遠隔取得を目指す―
2017年11月17日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川 一夫

NEDOプロジェクトにおいて、国際航業(株)、(株)エンルート、東北大学未来科学技術共同研究センター、工学院大学、(株)フィールドプロは、国土交通省の協力のもと、11月24日に長崎県の雲仙普賢岳において、自律飛行型マルチローター機と各種センシング技術の統合システムとして土石流シミュレーションの実証実験を行います。

火山噴火の際、人の立ち入りが困難な区域について、ロボット技術で地形情報、降灰量、灰の性質、降雨量のデータを遠隔取得することができれば、精度の高い土石流シミュレーションを実現でき、社会的に有効な防災システムとなります。

  • 自律飛行型マルチローター機の写真と土石流シミュレーション

1.概要

日本には噴火の可能性がある活火山が多数分布するため、火山周辺など立入制限区域内における早期の現場調査は喫緊の課題となっています。このような背景のもと、NEDOは「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」(2014~2018年度)を推進し、小規模でも大きな被害が想定される「土石流災害」に着目した研究開発テーマ(2014~2017年度)を実施しています。

土石流災害に対する避難計画を検討するには、高精度な予測シミュレーションが必要であり、そのためには、その予兆と発生範囲を正確に予測することが重要です。それには、地形情報、降灰量、灰の性質、降雨量のデータが欠かせません。このNEDOプロジェクトは、火山噴火の際、人の立ち入りが困難な区域について、ロボット技術でこれらの必要なデータを遠隔取得することにより、精度の高い土石流シミュレーションの実現を目指します。

今般、このNEDOプロジェクトの最終年度において、国際航業株式会社、株式会社エンルート、国立大学法人東北大学未来科学技術共同研究センター、学校法人工学院大学および株式会社フィールドプロは共同で、国土交通省九州地方整備局雲仙復興事務所の協力のもと、11月24日に長崎県の雲仙普賢岳の水無川1号砂防堰堤左岸で自律飛行型マルチローター機と各種センシング技術の統合システムとして土石流シミュレーションの実証実験を行います。

今後、さまざまな火山環境を想定した実証試験を繰り返してシステムの改良を行い、十分実用に耐え、より正確で分かりやすい火山調査システムの実現を目指します。人が立ち入ることができない区域でのデータ取得や災害シミュレーションを可能にすることで、土石流災害の防災や減災に貢献します。

2.実証実験の概要

■日時:

2017年11月24日(金)予定

なお、天候等の事情で中止、変更となる可能性があります。

■場所:

雲仙普賢岳の水無川1号砂防堰堤左岸(長崎県島原市白谷町地先)

■内容:

雲仙普賢岳で噴火があった場合を想定し、水無川第1号砂防堰堤左岸を観測場所として、下記の(1)から(5)の手順で実証実験を行います。

(1)降灰量の測定

噴火の前兆現象が発生したと仮定し、噴火後の降灰厚を取得するため、GPS誘導でマルチローター機を自律飛行させ、マルチローター機からつり下げた投下機構によって、ピラミッド形状の投下型降灰厚スケールを観測地点に事前に投下します。一定時間後、再度マルチローター機を飛行させ、画像情報を取得することで降灰量を測定します。

  • 投下型降灰厚スケールの写真
    図3 ピラミッド形状の投下型降灰厚スケール
    大きさの異なるスケールの埋まり具合の画像から降灰の厚みを測定する
    (それぞれ深さが、赤色3cm、黄色2cm、緑色1cm)

(2)地形情報の測定

噴火後を想定し、GPS誘導でマルチローター機を自律飛行させ、土石流発生の恐れがある渓流の画像取得と三次元情報取得を行います。

  • マルチローター機と三次元地形図の例
    図4 マルチローター機(左)と三次元地形図の例(右)

(3)灰の性質の計測

火山灰の粒径や透水性などの性質を確認するため、火山灰採取装置を吊下げたマルチローター機をGPS誘導で自律飛行させ、火山灰の採取と表面の画像取得を行います。

  • 火山灰採取装置の写真
    図5 火山灰採取装置(約20cm角)

(4)降雨量の測定

噴火継続中の雨量を計測するため、雨量計を搭載した小型移動ロボットを吊下げたマルチローター機をGPS誘導で自律飛行させ、小型移動ロボットを現場に設置します。ロボットは遠隔操作により、降雨量の定点観測を行います。その後、マルチローター機によるロボットの回収動作も行います。

  • 雨量計を搭載した小型移動ロボットの写真
    図6 雨量計を搭載した小型移動ロボット(約40cm角)

(5)土石流シミュレーションの実施

(1)から(4)で取得した地形情報、降灰量、灰の性質、降雨量のデータを用いて、土石流が到達する範囲や堆積する深さを予測します(図2)。

【用語解説】

※ マルチローター機
複数のプロペラを連携動作させることで自由な方向への飛行、および空中ホバリングが可能な飛行体。いわゆるドローンの一種。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO ロボット・AI部 担当:安川、川上、内山 TEL:044-520-5241

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:髙津佐、坂本、藤本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp