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Press Release

NEDO燃料電池・水素技術開発ロードマップの燃料電池分野を改訂、先行公開

―産学官が長期的視野を共有するために、2040年以降の究極目標を初公表―
2017年12月20日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川 一夫

NEDOは、水素社会の実現に向けた技術開発の方向性を示すため、NEDO燃料電池・水素技術開発ロードマップの改訂作業を進めていますが、本日、燃料電池分野について先行公開しました。

今回の改訂では、産学官が長期的視野を共有して技術開発に取り組むために、2040年以降に達成すべき技術課題の目標値(究極目標)を初めて公表します。先行公開する燃料電池分野は、燃料電池自動車(FCV)と、家庭用や業務・産業用の定置用燃料電池などを対象としています。

今後、水素ステーション、水素発電、Power to Gasの分野についても公開準備を進め、NEDO燃料電池・水素技術開発ロードマップ全体を2018年春に公開予定です。

1.概要

環境負荷低減、エネルギーセキュリティの確保、新規産業創出など社会的課題の解決の方策として、水素エネルギーを利活用する社会(水素社会)の実現が期待されています(エネルギー基本計画(2014年4月))。経済産業省が策定した水素・燃料電池戦略ロードマップ(2014年6月策定、2016年3月改訂)では、水素社会の実現を目指し、定置用燃料電池や燃料電池自動車(FCV)、水素ステーションの普及・整備目標などが示されています。

NEDOは、産学官が長期的視野を共有して技術開発に取り組むために、燃料電池・水素技術開発ロードマップを2005年に策定し、これまで3度改訂をしてきました。今回、4度目の改訂作業のために、メーカーや電力事業者、大学、研究機関などで構成される委員会をNEDOが企画し、上記の経済産業省の水素・燃料電池戦略ロードマップに掲げられている普及目標に対応する技術課題について取りまとめました。さらに、水素社会の本格導入を目指す産業界のニーズに応えるため、より長期的な視点で2040年以降に達成すべき目標値(究極目標)を初めて設定しています。

本日、燃料電池分野に関する技術開発ロードマップを先行公開しました。燃料電池自動車(FCV)などと、家庭用や業務・産業用の定置用燃料電池を対象としています。今後、水素ステーション、水素発電、Power to Gasの分野についても公開準備を進め、NEDO燃料電池・水素技術開発ロードマップ全体を2018年春に公開予定です。

2.今回の改訂の主なポイント

NEDO燃料電池・水素技術開発ロードマップ(燃料電池分野)は、「FCV・移動体」と「業務・産業用燃料電池」、「家庭用燃料電池」の3つのロードマップから構成されています。以下に、今回の改訂のポイントを説明します。

・「FCV・移動体」技術開発ロードマップ

2040年頃のFCVの普及目標を達成するために、究極目標の数値(最大出力密度:9kW/リットル、最大負荷点電圧:0.85V、作動最高温度:120℃等)を設定しました。これらの目標を実現することで、自動車に積載する燃料電池の小型化と高性能化が進み、多数車種への拡大が期待できます。

  •  「FCV・移動体」技術開発ロードマップより抜粋
    図1 「FCV・移動体」技術開発ロードマップの一部

・「業務・産業用燃料電池」技術開発ロードマップ

新たなモノジェネ※1市場へ対応した燃料電池システムの飛躍的な高効率化を目指し、2040年以降の達成性能レベル(小容量(数kW級):発電効率60%LHV※2以上、中容量(数10~数100kW級):発電効率70%LHV以上など)を設定しました。さらに、大量普及に向けた更なる課題として「系統電力への連携・再生可能エネルギー大量導入時のスマートコミュニティに関する開発・実証」、「将来的な低炭素化ガス※3への対応」、究極目標として「超高発電効率の達成(80%以上)」を記載しました。

  • 「業務・産業用燃料電池」技術開発ロードマップより抜粋
    図2 「業務・産業用燃料電池」技術開発ロードマップの一部

・「家庭用燃料電池」技術開発ロードマップ

2030年頃までに530万台の普及台数、5年で投資回収可能なシステム価格である50万円程度を目指し、小型化等による設置工事費の低減や、2040年以降の究極目標として発電効率45~60%LHV以上を設定しました。

  • 「家庭用燃料電池」技術開発ロードマップより抜粋
    図3 「家庭用燃料電池」技術開発ロードマップの一部

【用語解説】

※1 モノジェネ
システムから電気だけを取り出して利用する方法をモノジェネレーション方式と呼び、その市場はモノジェネ市場と呼ばれている。これに対し、システムから熱と電気の両方を取り出して利用する方法はコージェネレーション方式と呼ばれ、コージェネレーションシステムの市場はコージェネ市場と呼ばれている。例えば、家庭用燃料電池システムであるエネファームなどは既に商品化が進み、コージェネ市場が立ち上っている。電気のみを利用するモノジェネシステムは電気と熱を両方活用するコジェネシステムより総合効率が低いため、技術課題として発電効率を大幅に向上する必要がある。一方で、モノジェネ市場はコージェネ市場に対して市場規模が大きいと言われており、熱を利用しない、あるいは熱利用量の少ないユーザーにも設置メリットを提供できるという点、また電力の安定供給の観点で注目されている。
※2 LHV(低位発熱量)
燃料が燃焼する時に発生するエネルギー(発熱量)を表す際の条件であり、燃料の燃焼によって生成された水蒸気の蒸発潜熱を取り除いたエネルギー(発熱量)を示す。真発熱量とも呼ばれる。
※3 低炭素化ガス
再生可能エネルギーから製造したCO2フリー水素や、既存のエネルギー供給インフラ(都市ガス導管など)が活用可能なカーボンニュートラル・メタンなど。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 新エネルギー部 担当:大平、門脇 TEL:044-520-5261

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:藤本、坂本、髙津佐 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp