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Press Release

世界最高水準の高速負荷応答性を備えた30MW級高効率ガスタービンを開発

―コンバインドサイクル発電プラントとして3月から販売開始―
2018年3月22日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 古川一夫

NEDO事業において、川崎重工業(株)は、高速負荷応答性を備えた30MW級高効率ガスタービンを開発しました。

開発したガスタービンは、同クラスのガスタービンとしては世界最高水準の負荷応答性と発電効率を有しており、不安定な再生可能エネルギーと連系させることで、再生可能エネルギーの有効活用と、CO2排出量削減など環境負荷低減を実現します。

また川崎重工業(株)は、本成果を導入したコンバインドサイクル発電プラント(CCPP)を2018年3月から販売開始しました。

  • 30MW級高効率ガスタービンの写真
    図1 開発した30MW級高効率ガスタービン

1.概要

近年、不安定な再生可能エネルギーの利用拡大に伴い、工場、地域冷暖房などの分散型電源・熱源として利用されることの多い中小型ガスタービンについて、ローカルグリッド※1からの要求として負荷応答性、また同時に発電効率を上げることが求められています。

今般、NEDOの「戦略的省エネルギー技術革新プログラム※2」において、川崎重工業株式会社は、負荷応答性と発電効率を向上させるための技術を確立し、これらを適用した高速負荷応答性を備えた30MW級高効率ガスタービンを開発しました。同クラスのガスタービンとしては世界最高水準の負荷応答性と発電効率を有しており、川崎重工業(株)は、本開発成果を導入した100MW級コンバインドサイクル発電プラント(CCPP)※3を2018年3月から販売開始しました。

今後、川崎重工業(株)は、今回確立した技術を用いたガスタービンやガスタービンコージェネレーション※4など、システムの製品化に引き続き取り組んでいきます。それにより、不安定な再生可能エネルギーとの連系による再生可能エネルギーの有効活用、化石燃料使用量およびCO2発生量の大幅な低減を実現します。

  • 再生可能エネルギーとガスタービン発電の連系による再生可能エネルギーの有効利用イメージ図
    図2 再生可能エネルギーとガスタービン発電の連系による再生可能エネルギーの有効利用
    (イメージ図)

2.今回の成果

今回、負荷応答性を高める技術として以下の【1】と【2】を開発し、また発電効率を高めるためのタービン高温化技術として以下の【3】を開発しました。これら技術の集積により、ガスタービンの負荷応答性は、従来機の10%/分から20%/分となり無負荷状態から全負荷運転まで5分で到達が可能となるとともに、従来機よりすでに世界最高水準であったガスタービン単体効率を向上させました。CCPPシステムとした場合の発電効率は、同クラスのガスタービンを用いた100MW級CCPPとして世界最高水準の55.2%/54.4%(100MW/90MW)を達成しています。

【1】高速負荷変動対応DLE(Dry Low Emission)燃焼器※5

リグ試験・実機試験を行い、高速負荷変動状態であっても安定して燃焼し、低いNOx排出量を維持できる高速負荷変動対応DLE燃焼器技術を確立しました。

【2】高速負荷変動時のエンジン部品の応力評価技術

過渡応力シミュレーションおよび実機での過渡温度計測を実施し、高速負荷変動時に発生する応力の予測技術を確立し部品の健全性をシミュレーションで確認する技術を確立しました。

【3】長寿命型TBCおよび寿命評価技術

TBC(Thermal Barrier Coating)※6のトップコート(セラミック系)とボンドコート(メタル系)の間に堅牢な酸化被膜(Al2O3)による酸素バリア層を形成、コーティング剥離寿命の決定因子であるボンドコート表面の酸化速度を50%以下に抑制することでTBCの剥離寿命を約2倍にする技術を確立しました。

  • 燃焼器高速負荷変動試験結果(負荷率・時間・NOx値))
    図3 燃焼器高速負荷変動試験結果(実機)
  • 過渡応力シミュレーション結果(時間経過)
    図4 過渡応力シミュレーション結果
  • 長寿命型TBC酸化試験(酸化層厚さ・時間)
    図5 長寿命型TBC酸化試験

【用語解説】

※1 ローカルグリッド
地域を限定したスマートグリッドのこと。
※2 戦略的省エネルギー技術革新プログラム
「省エネルギー技術戦略」で掲げる重要技術を中心として、2030年には高い省エネ効果(原油換算で年間10万kL以上の省エネ効果)が見込まれる省エネルギー技術について、技術開発を支援するNEDOのプログラム。
※3 コンバインドサイクル発電プラント(CCPP)
CCPPは、Combined Cycle Power Plantの略称で、発電用ガスタービンの排熱で蒸気を発生させ蒸気タービンによる発電を行う複合発電プラントのこと。ここでは、今回確立した技術等を用いた30MW級ガスタービン2基と、排熱回収ボイラ2基、蒸気タービン1基を基本構成とした100MW級の発電プラントを示す。
※4 ガスタービンコージェネレーション
発電用ガスタービンの電力と排熱の熱電供給をするシステム。
※5 DLE(Dry Low Emission)燃焼器
燃料を空気と混合させて希薄な状態で燃焼させる希薄予混合燃焼方式を採用し、NOxの発生を抑制する燃焼器。
※6 TBC(Thermal Barrier Coating)
表面に熱伝導率の低いセラミックコーティングを施し,金属基材が直接高温にさらされないことを目的としたコーティング。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 省エネルギー部 担当:近藤、今田 TEL:044-520-5281

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:髙津佐、坂本、藤本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp