本文へジャンプ

Press Release

天井内設置が可能な省エネ空調機「調湿外気処理ユニット」を開発

―4月から販売開始、一般オフィスビルのZEB化達成に貢献―
2018年3月29日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
クボタ空調株式会社

NEDO事業の成果をもとに、クボタ空調(株)は、調湿外気処理ユニットを開発、4月2日から販売を開始します。このユニットは、吸湿剤(デシカント)を用いて空気中の水分を直接吸収(除湿)する方式の小型空調機で、湿度と温度を個別制御し、従来の空調機に比べて30%の省エネ化を実現しました。また、既存建物のリニューアル工事にも対応するため、空調機の断面形状にぴったり合う吸放湿ブロックを採用し、省スペース化することで、天井内設置を可能としました。

今後、クボタ空調(株)は、本製品を新設や既設の一般オフィスビルに普及させることで、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化達成に貢献します。

  • 調湿外気処理ユニットの写真
    図1 調湿外気処理ユニットの外観

1.概要

2014年に閣議決定された「エネルギー基本計画」では、2020年までに新築公共建築物などで、2030年までに新築建築物の平均でZEB※1の実現を目指すとの政策目標を掲げており、2030年に向けてZEB化への需要が急速に高まることが予想されています。近未来の事務所ビルでは、OA機器などの省エネ化に伴い、居室内における冷房要求は減少するため十分な冷却除湿が期待できなくなることから、室内換気に必要な外気を高効率で処理できる調湿空調機が必要となってきます。

このような背景のもと、NEDOプロジェクト※2において、株式会社竹中工務店とクボタ空調株式会社は共同で、従来の空調機に比べて30%の省エネ化と空調機内の省スペース化により天井内設置が可能な空調機「調湿外気処理ユニット」を開発しました。このユニットは、吸湿剤(デシカント)を用いて空気中の水分を直接吸収(除湿)する方式の小型デシカント空調機で湿度と温度を個別制御することで省エネ化を、また、既存建物のリニューアル工事にも対応するため、空調機の断面形状にぴったり合う吸放湿ブロックを採用することで省スペース化を可能としました。今般、クボタ空調(株)は、これらの実績を踏まえて4月2日より「調湿外気処理ユニット」の販売を開始します。

2.調湿外気処理ユニットの概要と特長

今回発売する「調湿外気処理ユニット」は、温度と湿度を別々に制御することで省エネと環境を両立できる小型デシカント空調機です。低温熱の利用が可能な高分子収着剤※3を使用した吸放湿モジュールと、新構造の流路切り替え装置により吸湿と放湿を繰り返す構造とすることで、安定的、かつ高い除湿・加湿性能を発揮します。全熱交換器※4には、高分子収着剤を使用した特殊透湿膜を採用、全熱交換効率※560%以上を達成しました。また、独自開発の制御ユニットコントローラにより、安定した湿度制御を行います。

また、従来のデシカント空調機では、大型のデシカントロータ(円形)を回転させて吸湿と再生を繰り返すために、最小の空調機でも本体の高さが約1300mmと大きくなり(図2)、専用の機械室に設置する必要がありましたが、本ユニットは、空調機の断面形状に追従する吸放湿ブロックを採用、空調機内のスペース最適化により機器の高さを450mmに抑え(図3)、天井内設置が可能になりました。これにより、既存建物のリニューアル工事にも対応しやすくなります。なお、本ユニット1台で、床面積200m2(在籍人員20名、0.1人/m2、時間一人当たり25m3で設計の場合)の外気処理を想定しています。

本ユニットは、セントラルシステム※6の空調機として太陽熱・地中熱など再生可能エネルギーや各種排熱を有効利用でき、吸放湿ブロックの冷却や再生に再生可能エネルギーを利用することで、外気処理エネルギー効率を従来空調比で30%向上することが可能となります。

  • 参考図 従来型デシカント空調機
    図2 参考:従来型デシカント空調機(ロータ型)の構成イメージ
  • 調湿外気処理ユニットの構成イメージ
    図3 調湿外気処理ユニットの構成

【調湿外気処理ユニット内の空気の流れ】

夏期: 
吸放湿ブロックは取り入れ外気の水分を吸収し、再生熱などで効率よく再生しながら除湿します。
冬期: 
排気から水分を吸湿し、効率よく取り入れ外気に放湿することで加湿します。湿度が不足した場合は、補助用の加湿器で室内の湿度を一定に保ちます。

  • 調湿外気処理ユニット内の空気の流れ
    図4 調湿外気処理ユニット内の空気の流れ(上段:夏期除湿運転、下段:冬期加湿運転)

3.調湿外気処理ユニットの仕様

図 調湿外気処理ユニットの仕様

※A 室外条件:34.9℃DB/55.7%RH
室内条件:28℃DB/40%RH時

※B 室外条件:1.1℃DB/35%RH
室内条件:22℃DB/40%RH時

※C 運転音測定位置:空調機底面
より1m下方向で測定

※D 機外静圧:150Pa選定時

※E 機外静圧:300Pa選定時

4.今後の予定

クボタ空調(株)は、今回販売開始する「調湿外気処理ユニット」を新設や既設の一般オフィスビルに普及させ、ZEB化の達成に貢献します。

【用語解説】

※1 ZEB
Net Zero Energy Buildingの略で、建築構造や設備の省エネルギー、再生可能エネルギー・未利用エネルギーの活用、地域内でのエネルギーの面的(相互)利用などの対策をうまく組み合わせることにより、エネルギーを自給自足し、化石燃料などから得られるエネルギー消費量がゼロ、あるいは、概ねゼロ、となる建築物のことをいいます。
※2 NEDOプロジェクト
案件名:戦略的省エネルギー技術革新プログラム/近未来ビル対応型ファサード・潜顕熱分離空調システムの開発
事業期間:2014年度~2015年度
2012年度から実施している「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」のことで、本プログラムでは、「省エネルギー技術戦略」で掲げられた産業、家庭・業務、運輸部門などにおける日本の省エネルギーに寄与する14の重要技術を中心に、中小・ベンチャー企業、大手企業、大学、研究機関などに対して、開発・導入シナリオの策定などから事業化まで切れ目のない支援を実施しています。
※3 高分子収着剤
有機高分子系の吸放湿材料であり低温で再生が可能で、かつ多量の水分を吸着できる特徴を持ちます。
※4 全熱交換器
全熱交換器は、空調の換気に使用され、換気によって失われる空調エネルギーの全熱(顕熱(温度)と潜熱(湿度))を熱交換によって回収する省エネルギー装置です。
※5 全熱交換効率
換気によって失われる空調エネルギーの全熱を熱交換し回収する効率を表します。
※6 セントラルシステム
空調機、熱源(冷凍機、ボイラー)、搬送系などを組み合わせたシステムで、熱媒体として水(冷水、温水)が主に使用される空調システムです。
※7 機外静圧
空調機から室内までの空気搬送に必要な空調機出口の空気の圧力を表しています。
※8 全熱能力
全熱能力は、空気の顕熱(温度)と潜熱(湿度)の両方の処理能力を表しています。
※9 潜熱能力
潜熱能力は、空気の潜熱(湿度)の処理能力を表しています。
※10 運転音(A特性)
A特性とは、人間の聴覚を考慮した周波数の重み付け特性の騒音値です。

5.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 省エネルギー部 担当:永井、今田 TEL:044-520-5281

クボタ空調(株) 研究開発部 篠原、加藤 TEL:028-661-3106

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本、髙津佐、藤本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp