本文へジャンプ

Press Release

プラント事業者の自主保安力向上に資するIoTやデータの取り扱い方法を提言

―経済産業省がガイドラインとマニュアルを公表―
2018年4月26日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事長 石塚博昭

NEDOと(株)三菱総合研究所は、経済産業省とともにConnected Industriesの実現を目指し、プラントの産業保安分野向けに、データの契約ガイドラインとサイバーセキュリティマニュアルの原案を取りまとめました。これを受けて、本日、経済産業省がガイドラインとマニュアルを公表しました。これらのガイドラインとマニュアルが産業保安の現場で活用されることにより、プラント事業者のIoT活用による自主保安力と生産性の向上に期待します。

1.概要

産業が目指す姿(コンセプト)として政府が提唱した「Connected Industries(コネクテッドインダストリーズ)」※1の重点五分野の一つに「プラント・インフラ保安分野」が位置付けられています。現在、国内の多くの石油精製や石油化学などのプラント施設では、老朽化が進むほか、ベテラン従業員が引退の時期を迎えつつあり、今後、重大事故のリスクが増大する恐れがあります。そこで、プラント事業者の自主保安力を高めるために、プラントのさまざまなデータを有効活用できるIoTやAIなどの新技術が注目されています。一方、関係者間でプラントのデータ共有や機器のネットワーク化を進めるためには、情報漏えいやサイバー攻撃など、従来とは異なる種類のリスクに備えることが重要となります。

NEDOは、データ利活用がもたらす具体的な効果検証を行うとともに、業界横断的な共通仕様の整備、制度的な課題の特定や改善などを通じて、IoTを活用した社会システムの変革を促すことを目的とする「IoTを活用した新産業モデル創出基盤整備事業」(2017~2018年度)を実施しています。この事業では、産業保安分野については、IoT技術やビッグデータ解析などの新技術を活用することによりプラント設備の信頼性を高めながら効率的でより柔軟なメンテナンスの実現を目指すとともに、異なる製油所・化学プラント間のデータを利活用するプラットフォームの標準仕様を策定し、将来の規制・制度の緩和につなげる提言の取りまとめを進めています。

今回、本事業において株式会社三菱総合研究所は、プラント事業者の協力を得て実地調査やヒアリングを進め、産業保安分野向けにプラントのデータを関係者間で共有するための契約ガイドラインとサイバーセキュリティマニュアルの原案を取りまとめました。NEDOは、本原案を、新技術の導入により規制緩和の適用を受けようとする者にとっての指針となり得るものとして、経済産業省とNEDOにより開催された「プラントデータ活用促進会議※2」に提出し、業界団体、弁護士、有識者の意見を集約し、取りまとめ案を作成しました。これを受けて、本日、経済産業省がガイドラインとマニュアルを公表しました。

今後、NEDOは、経済産業省とともに、2018年度上期に業界団体や民間企業から意見を集約し、2018年度中に必要な見直しを進める予定です。これらのガイドラインとマニュアルが産業保安の現場で幅広く活用されることにより、プラント事業者がデータを有効に活用することで、自主保安力と生産性が向上することを期待します。

2.今回の成果

【1】産業保安分野における「データの利用に関する契約ガイドライン」の原案

プラントにおいては、センサーによる運転データ等のさまざまなデータの収集・活用が行われています。これらのデータを、企業を超えて共有することで、その利用価値を一層高めることができる可能性がある一方で、情報漏えいや当初想定しないデータの利用をされることによるノウハウの流出など、従来にないリスクも内包しています。そのため、事業者間の健全なデータ共有・活用を促進するため、既存の「データに関する取引の推進を目的とした契約ガイドライン ver.1.0」(IoT推進コンソーシアム・経済産業省、2017年5月)を基に、産業保安分野での実際の利用を想定した分野特化の「データ利用に関する契約ガイドライン(産業保安版)」の原案を作成しました。本原案では、データの権利帰属についての基本的な考え方を整理した上で、モデル契約書および各条項の解説を掲載しています。さらに、適切なデータ保護とプラントデータ提供者にとっての具体的なメリットにも言及しています。

【2】産業保安分野における「IoTセキュリティ対応マニュアル」の原案

プラントにおいては、近年、安全性と収益性の向上を目的として、IoT機器の活用が進んでいます。一方、IoT機器の活用の拡大に伴い、ネットワークを経由した、プラント設備やその運転に影響を与えるサイバー攻撃等の脅威が増大することが懸念されます。そこで、プラントにおけるIoTセキュリティの向上を目的に、「IoTセキュリティ対応マニュアル(産業保安版)」の原案を作成しました。本原案では、プラントの管理者を対象として、IoT導入により増加する特徴的な脆弱性(外部接続)等の新たなリスクに対して、適切なセキュリティ対策を検討するための対策例等を掲載しています。

【注釈】

※1 Connected Industries(コネクテッドインダストリーズ)
経済産業省は、Society5.0を実現するための我が国の産業が目指すべき姿(コンセプト)として、「Connected Industries」を提唱した(2017年3月)。Connected Industriesは、既存産業とデジタル技術の「つながり」をはじめとして、機械、データ、技術、ヒト、組織などさまざまなものの繋がりによって新たな付加価値の創出や社会課題の解決を目指すものである。
※2 プラントデータ活用促進会議
経済産業省とNEDOにより開催された、プラントにおけるデータ共有・利活用の実現のために解決が必要な「データ提供のメリット明確化」「データ流出に対する懸念の払拭」「セキュリティの確保」「データ利活用人材の不足」等の課題について議論を行う会議の場。業界団体や有識者により構成された。

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO IoT推進部 担当:工藤、服部、遠藤 TEL:044-520-5211

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:藤本、髙津佐、坂本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

資料

Adobe Readerを入手する