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水道事業の最適化、効率化を目指すシステム標準仕様と導入手引き案を公開
―水道事業者が直面する課題の解決に期待―

2019年4月26日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 石塚博昭

NEDOは、産学官の連携のもと水道事業におけるCPS/IoTの技術を活用した水道情報活用システムを開発し、そのシステムのルールを定めた「システム標準仕様」と、水道事業者のシステム導入時に参考となるように標準仕様の概要を記載した「水道情報活用システム導入の手引き案」を作成し、本日公開しました。

公開したシステム標準仕様は、水道情報活用システムの全体構成、データ流通のためのルールを定めたもので、水道情報活用システム導入の手引き案は、水道事業者向けに、水道情報活用システムの概要、アプリケーションの最適化やコスト削減などの効果、業務の変革イメージ、移行方法などを説明したものです。

今後、このシステムが国内で実現、普及することで、水道事業者が直面する課題解決の一助となることが期待できます。

水道分野におけるCPS/IoT活用の背景と方向性のイメージ図
図1 水道分野におけるCPS/IoT活用の背景と方向性

1.概要

重要な社会インフラである水道事業(水道用水供給事業を含む。以下同じ。)は、人口減少、少子高齢化などの社会的背景により、水需要の減少、ベテラン職員の高齢化、老朽化設備の維持保安コストの増加など、さまざまな課題を抱えています。

他方、センサーやビッグデータ解析などの情報技術が進化し、現実社会を情報(データ)という形でサイバー空間に写し取り、モデル化されたノウハウや経験・知識を活用し、誰でも自由にその情報を組み合わせることで新たな気付きや発見を得ることによって、現実社会で新たな価値を生み出すCPS(Cyber Physical System)や、あらゆるモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)によるイノベーションが加速しています。

急速に進化しているCPSやIoTを活用することは、水道インフラをはじめとする、社会インフラの効率化や高付加価値化にも有効です。

このような背景のもと、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2017年度より、大学の研究者などの有識者、水道事業者(水道用水供給事業者を含む。以下同じ。)、水道設備メーカー、水道業界団体、行政(経済産業省、厚生労働省)との連携による議論をもとに、水道事業におけるCPSやIoTの技術を活用した水道情報活用システムの開発事業を進め、その成果として、システムのルールを定めたシステム標準仕様と、水道事業者のシステム導入に際して参考となる水道情報活用システム導入の手引き案を作成し、本日公開しました。

水道情報活用システムとは、水道事業者が有する水道に関する設備・機器に係る情報や、事務系システムが取り扱うデータを活用して、監視や水運用、台帳管理などのアプリケーションにより、水道事業者が必要なデータを容易に参照、利活用することが可能となるシステムです。(図2)

また、システム標準仕様は、水道情報活用システムの全体構成、データ流通のためのルールを定めたものです。

さらに、水道情報活用システム導入の手引き案は、水道情報活用システムの概要、アプリケーションの最適化やコスト削減などの効果、業務の変革イメージ、移行方法などを説明したもので、水道事業者の職員が水道情報活用システムの導入を検討する際の参考となるように作成したものです。

中長期的視野に立ちつつ、既存の資産と情報を活用して水道インフラの運用などの最適化や維持管理の効率化を図ることにより水道事業のスマート化を促すことは、水道事業が抱える諸課題の解決に大いに貢献し、水道事業の基盤強化に向けて重要な取り組みの一つとなります。

このような仕組みが国内で実現、普及し、水道事業者が容易に利用できるようになることで、システム調達の簡易化と負担の軽減とともに、広域連携の検討の際のシミュレーションや、広域化後の効率的な事業運営につながることから、水道事業が直面する課題解決の一助となることが期待できます。

  • 水道情報活用システムの概要のイメージ図
    図2 水道情報活用システムの概要

2.今回の成果

【1】システム標準仕様

システム標準仕様は、水道情報活用システムの全体構成(アーキテクチャ)、データ流通のためのルールを定めたもので、システム標準仕様書は、識別子(ID)付与・管理とアクセス制限、識別子(ID)に基づく認証方式、データをやり取りする手順、現場の設備データの収集などについて規定しており、基本仕様書と、水道標準プラットフォーム外部仕様書などの10の仕様書から構成されます。

【2】水道情報活用システム導入の手引き案

水道事業者の職員が水道情報活用システムの意義を適切に理解し導入を検討できるよう、水道情報活用システムの概要、アプリケーションの最適化やコスト削減などの効果、業務の変革イメージ、移行方法などを説明したものです。

なお、本手引き案は、以下の項目から構成されています。

目次
  1. はじめに
  2. 水道事業者等における水道情報活用システム活用の方向性
  3. 水道情報活用システムの概要
  4. 水道情報活用システム導入により期待される効果
  5. 水道情報活用システム導入の手順

【注釈】

※ 開発事業
【事
IoTを活用した新産業モデル創出基盤整備事業/水道IoTの社会実装推進に向けた検討、高度なデータ活用を可能とする社会インフラ運営システムの開発
【事業期間】
2017年度~2018年度
【委
株式会社三菱総合研究所、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ、株式会社日立製作所

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO IoT推進部 担当:大谷、工藤 TEL:044-520-5211­

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本、藤本、佐藤 TEL:044-520-5151­ E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp

添付資料

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