スマートセルによる実用ターゲット物質生産のための新規5テーマを採択
―微生物による物質生産「スマートセルインダストリー」の実現を目指す―
2019年5月7日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 石塚博昭
NEDOは、植物や微生物の細胞から工業材料を生産する「スマートセルインダストリー」の実現を目指すプロジェクトにおいて、これまで開発してきたスマートセル創出のための共通基盤技術などを用いて、実用ターゲット物質の生産性の向上を目的とした、新規テーマ5件を採択しました。
本事業では、ポリマー原料、産業用酵素、食品・化粧品・医薬品などへの展開が期待される化合物についてバイオ生産プロセスの確立を目指して技術開発に取り組みます。
1.概要
植物や微生物の細胞が持つ物質生産能力を人工的に最大限引き出した「スマートセル」を構築することで、化学合成では生産が難しい有用物質の創製、または従来法の生産性をしのぐ技術の実現が期待されています。そこで、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、スマートセルによるものづくり「スマートセルインダストリー」の実現を目指して、スマートセルの基盤技術や特定物質の生産における実用化技術の研究開発プロジェクト※を推進しています。
本プロジェクトでこれまで開発してきた微生物スマートセル創出のための共通基盤技術等を用いて、実用ターゲット物質の生産性向上を狙うとともに、量産化を見据えた形でバイオプロセスを最適化することを目的に、新たに採択した5テーマの研究を開始します。
新たに採択したテーマでは、ポリマー原料、産業用酵素、食品・化粧品・医薬品などへの展開が期待される化合物についてバイオ生産プロセスの確立を目指して技術開発に取り組みます。
これにより、将来的な事業化に向けて先行事例となるテーマの課題解決を図るとともに、スマートセルインダストリーの実現に向けて開発した共通基盤技術のさらなるブラッシュアップを進めます。
2.採択テーマと助成予定先
採択テーマ | 助成予定先 |
ポリアミド原料の発酵生産技術開発 | 東レ株式会社 |
組換えBurkholderia stabilis由来コレステロールエステラーゼ開発 | 旭化成ファーマ株式会社 |
希少アミノ酸エルゴチオネイン高生産スマートセルの開発 | 長瀬産業株式会社 |
スマートセル技術を応用した天然ヒト型長鎖セラミド高含有醤油麹菌の開発 | 福岡県醤油醸造協同組合 |
生体触媒の反応機構推定に基づく高付加価値化成品の製造法開発 | 天野エンザイム株式会社 |
【注釈】
- ※ 研究開発プロジェクト
- 事業名:植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発(2016年度~2020年度)
3.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 材料・ナノテクノロジー部 担当:林、尾上、大竹 TEL:044-520-5220
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:佐藤、坂本、藤本 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp