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NEDOのがん対策プロジェクトの現状

進化するPETによる画像診断

図3 マルチモダリティー対応フレキシブルPETおよび図4 がんの特性(性状や位置)を識別できるPET用分子プローブ

 画像診断システムの開発では、マルチモダリティー対応※3のフレキシブルPET(陽電子断層撮影法)と、がんの特性識別型分子プローブの開発を行っています。この技術開発は、がんのより正確な性状把握を行い、適切、的確な治療につなげていくことを目的としています。
 マルチモダリティー対応フレキシブルPETは、検出器が従来にないユニークなひらがなの「こ」の字型をしていることが特徴です。「こ」の字型にすることで、検出部を患者により密着させることができ、その結果、高感度の測定を実現できます。一方、「こ」の字型であるため、信号を検出する面積が少なくなりますが、そこは独創的なセンサーやソフトウェア技術で克服し、しかもMRIの強い磁場の下でも高精度な診断を行える技術に仕上げています。この装置は、既存のMRIやCT、放射線治療機器にも取り付けることが可能な、全く新しいコンセプトのPETと言ってよいと思います(図3)。
 がんの特性識別型分子プローブ※4の開発では、前立腺がん、膵がんなどに大変有用と思われるプローブの開発に成功しています。特に、膵がんだけを識別する分子プローブはこれまで見つかっていなかったので、大いに実用化が期待される成果の一つだと考えています(図4)。この開発では多くの化合物を合成しますので、いかに速やかにかつ正確に合成を行うかがポイントになります。この点で、新規に開発したマイクロフロー合成システムが大きな役割を果たしています。この装置は、従来の装置の2倍以上の合成実験を可能にしているので、研究開発の速度を大きく速めています。また、光、電磁波、電解反応などを活用した合成法を導入することで、これまで合成できなかった化合物の合成も可能となり、分子プローブ探索の可能性を広げます。
 高性能PETと分子プローブは一体となってこそ、各々の機能を十二分に発揮できることから、今後は安全性評価など、実用化に向けた検討を連携して進めていきたいと考えています。

  • 3 【マルチモダリティー対応】 モダリティーとは医療用の画像機器の意で、複数の医療用画像機器と同時に使用できる機器をマルチモダリティー対応機器と呼ぶ。
  • 4 【特性識別型分子プローブ】 疾患の特異的なタンパク分子に反応して病変を可視化し、標的とするがん種に応じて効率的な確定診断を下しうる分子プローブ。


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定期広報誌「Focus NEDO」第46号より