本文へジャンプ

123 

次世代自動車が普及


次世代自動車が普及

様々な方式が提案されている次世代自動車ですが、主流は回生した電力でモーターを駆動する方式です。低電力損失であることに加え、小型化が可能な次世代パワーエレクトロニクスを使用することで、タイヤの中にモーターを搭載し、エンジンルームをなくした自動車も提案されています。また、高周波に対応できる次世代パワーエレクトロニクスによって、コンセントをささなくても充電できる非接触給電システムなど、インフラの整備もさらに進んでいくものと予想されます。

■ 次世代パワーエレクトロニクスが起こす自動車革新 ■

図4 自動車の将来像

次世代自動車に不可欠の次世代パワーエレクトロニクス

 自動車は“走るエレクトロニクス”と呼ばれるほど多くの電子部品を搭載しています。次世代パワーエレクトロニクスの実用化における最大の目標が、次世代自動車への搭載です。次世代自動車には、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)があります(図4)。これらは、車両サイズ、使用目的、エネルギーインフラの整備状況などによって使い分けられると予想されています。
 次世代自動車の主流は、回生した電力でモーターを駆動する方式です。電動化自身でもCO2の排出量は低減されますが、水素などの燃料や電気を再生可能エネルギーから作ることで、CO2排出量の大幅な削減が可能と試算されています。次世代パワーエレクトロニクスは低電力損失、高耐熱性、高耐圧性(大電流を流すことが可能)に強い特性を持っており、自動車やエネルギーインフラの高度化のための鍵になる技術と期待されています。

インホイールモーターが可能に

 次世代パワーデバイスが自動車に採用されるためには、高信頼性、安全性、低コスト化が課題になっています。特に、誤動作が許されず、極寒の極地地域から赤道直下の砂漠まで自動車が使われることを考えると、信頼性と安全性が、車載向け次世代パワーデバイスの最も大きな課題であるといえます。
 次世代パワーデバイスを搭載することで、駆動モーターを制御するインバーターの水冷システムを不要にすることができ、大幅な小型化が可能になります。また、車内の空間が広がるなどのメリットのほか、これまでの常識を覆す新たなデザインの次世代自動車を実現することができます。その一つとして提案されているのが、「インホイールモーター」です。これはタイヤの内部に、モーターとインバーターを搭載する方法であり、これによって「エンジンルームすら無い新しいデザインのEV」を実現することが可能になります。

いっそうの省エネルギー化を実現する

 自動車の基本機能は「走る、曲がる、止まる」ですが、「走る」にかかわる部分を「主機」(主にエンジン)と呼び、それ以外の部分は「補機」と呼ばれます。現在は主機・補機ともにSiパワーデバイスを搭載していますが、さらなる小型化を実現するためには、次世代パワーデバイスの導入が不可欠です。
 次世代パワーデバイスを主機に導入した場合だけでなく、補機にも採用することで、大きな省エネルギー効果が期待できます。現在、SiC(炭化ケイ素)の次のパワーデバイス材料として、補機の効率化を実現できるGaN(窒化ガリウム)の開発も進められています。GaNパワーデバイスは、SiCパワーデバイスよりもさらに小型化・効率化が実現可能であり、燃費の良いEVの実現に重要な技術です。
 自動車への搭載に向けたGaNパワーデバイスの研究開発は着実に進められていて、現在は2インチのウエハー開発を達成しつつあります。GaN分野についても、引き続き「高品質化による信頼性・安全性確保」と「大口径化によるコスト低減」に向けて取り組んでいく必要があります。
 また、次世代自動車の本格的な普及に向けて「非接触給電」技術が注目されています。現在のEV利用者からは「もっと手軽な充電を」といった意見があります。停車するだけで自動的に充電ができる非接触充電を開発しています。さらにその原理を応用して充電器を埋め込んだ道路上を走行することで、走行中に給電を行うシステムも提案されています。これらの分野でも次世代パワーエレクトロニクスを利用するための研究開発が進められています。


≪≪【前ページ】再生可能エネルギーの利用拡大


【特集ページ目次へ戻る】

定期広報誌「Focus NEDO」第48号より